禁止しない方がいいと思う

お散歩で不忍池方面にはよく出掛ける。

今の時期はハスが見事なことになっている。

不忍池のハス

花も多数咲いていて、なかなか壮観だ。まぁ私は花よりもその後にある実の方が気になるんだが。ハスの実って食えるんだぜ。

と思って見ていると、

禁止

というように、ハスの花や実を切り取ることが禁止されている。実に残念だと思うと共に、それはナンセンスではないかと思う。

不忍池は富栄養化されていて汚ない。そのため、いろいろな浄化が行なわれているのだが、どうも成果がイマイチで、よく見るとアオコがいっぱいだ。

アオコ

一見綺麗に見えるハスの下の水は、こういったドブみたいな状態になっている。

水質の浄化で一番確実なのは、そこにある諸々の栄養塩類や有機物を外に運び出すことだ。大規模な換水をするというのも手だが、そこに生育している動植物を収穫することはいろいろなメリットがある。収穫によって持ち出した分だけ、その水域の栄養分や有機物は減る。つまり、水質は良い方向に向かう。

今行なわれている浄化はこういったことではなく、曝気をすることによって「代謝」を活性化させるものだ。これも無意味ではないのだけど、有機物は減るのだが栄養塩類は減らない。有機物はCO2になって消えるのだけど、塩類はそういったことにはならないからだ。だから、結局栄養塩類は多い状態のままで、水質悪化しやすい。まぁこれの目的は、曝気によって嫌気的環境を改善するということなので、これが無意味とかナンセンスということはないのだけど、栄養塩類を減らすという効果はない。

というような事情があるから、不忍池を浄化したければ、ハスやら魚やらを収穫してやるのが一番いい(美味そうな鯉もいっぱいいる)。そうすればその分だけ池の栄養分は減る。逆にそうしないと、育ったハスは冬になって枯れ、それが池に沈むことにより栄養分が循環することになり、水質は悪くなる一方だ。

とか考えると、「花や実を切り取ること」を禁止するのは、水質が良くなる機会を失なわせるということだ。

まぁこれを野放図にしてしまえば、ナワバリ関係の利権がどーこーという問題を起こしたり、無茶なことをやる奴が出たり、危険なことが起きたりという問題が起きないとも限らない。だから禁止したいという気持ちはわからないではないが、それは「花や実を切り取ること」とは直接関係ない。問題が起きるようであれば、許可制にするなりすればいいだけのこと。そういったことをうまく克服するようにすれば、ハスが家でも楽しめて水質浄化も出来るようであれば、一石二鳥と言える。

ついでに言えば、冬になったら不忍池のレンコンも収穫するべきだ。今のハスの状態は見事だとは言え、あまり秩序が感じられない。と同時に、これも効率的に栄養分を運び出すことになるから、水質浄化につながる。前にも書いたような気がするのだけど、

上野名物不忍レンコン

とか言って出荷すれば、それはそれで良いことだろう。また、適当な間引きはハスの生育を促すことになり、これも水質浄化にプラスになるはずだ。

禁止しない方がいいと思う” への3件のコメント

  1. 富栄養化を植物の溜めた栄養分を食物として人が食べる事で解決ですか…。
    成る程。
    生態系は中々複雑で難しい事多いです。
    物理・化学系の様に単純じゃなくて。

  2. 呼ばれたような気がして参りました。

    あら、お呼びでない。
    こりゃマタ失礼いたしました~。

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