児ポ関係の事件の時に、大人側の言い訳として「真剣な交際」ってのがよく出て来る。

「真剣な交際」と無罪主張　教え子の裸撮影の中学教諭

まぁベッドの上のことなんで、他人があれこれ言うのも野暮でしかないので、この事件自体はどうでもいい。「汚ない大人の性欲に」と言いたい人も「思春期の好奇心に」と言いたい人もいるだろう。その辺は本当に勝手にしてくれと。

ただ、ちょっとひっかかったのは、いつも常套句のように出て来る「真剣な交際」だ。

果して「真剣な交際」って何だ？ どうやら件の記事だと「結婚を前提とした交際」のことをそう呼びたいようだけど、じゃあ結婚を前提していない交際は「ふざけた交際」になるわけ？

仮にそれが真だとすれば、今時の「交際」の8割やそこらは「真剣でない交際」ってことになる。「8割」は結果論に過ぎないかも知れないが、「別に結婚を前提としてない」類の交際はいくらでもある。じゃあそいつらは自分たちが「真剣でない」と思っているかと言えば、そうでもなかろう。お互いの人格を認め、お互いを大事に思っているのがほとんどだと思う。

客観的には「単なるセフレ」であっても、だからと言って「真剣でない」かどうかは他人にはわからないだろうし、「単なるセフレ」でも関係維持のための努力はあるわけだから、「真剣でない」ってこともなかろう。セフレを作るからと言って、相手は誰でもいいと思っているかと言えばそうでもないし。

仮にどっちかがどっちかを一方的に搾取してるからと言って、それが「真剣でない」ということもないだろう。搾取する側はそれなりに「真剣」なんだから。搾取される側も、それで納得していたらそれでいいだろ。

また、「結婚を前提」だからと言って、その関係が「清く正しい」とか「崇高な意識」ばかりでもあるまい。金や身体が目当ての結婚なんていくらでもあるんだから、「結婚する」ということが「真剣」になるかと言えばそうでもない。

昔何かのマンガで読んで、私も肯定しちゃった話で、「若い頃は虫がつかないように育てた娘が行き遅れてしまって、あの時虫でもつけときゃ良かったと後悔している親」ってのがあった。マンガでなくてもリアルでも結構聞く話だ。多分、その「親」にとっては「虫」の類の交際は「真剣でない」と思っていたのだろう。でも結果として、それは「真剣」なものも退けてしまった。そもそも、そこで「真剣かどうか」なんてのは何か意味があったのだろうか。

とか考えると、「交際」に真剣かそうでないかなんて、そもそも考える意味なんてないような気がする。結局本人達の問題でしょ。交際の内容に他人があれこれ言う権利はない。本人達が納得していれば。

だから、件の教師を罰しようと思ったら、青少年関係のことしかない。青少年は判断力に乏しいから「本人達が納得」の部分が疑わしいという話にする。これが正しいかどうかはまた別の話だけど。

そこに「真剣だったかどうか」という主観的なものを持って来てもしょうがない。「真剣にハメ撮りしてました」ということを否定出来る合理的客観的な指標も考えにくい。

という罰の話はどーでもいいとして、どうもこの「真剣な交際」ってのは、いろいろひっかかりを感じる語だ。そういった言葉を使う人達は、何をもって「真剣」と言っているのか、あるいは何をもって「真剣でない」と言っているのか、ぜひとも説明して欲しいところだ。