東京という都市のアドバンテージ

もう遅きに失した感があるのだけど。

上野のあたりが再開発になっている。どうやら地下駐車場を作っているらしい。いろいろ反対意見やら運動やらあったと聞いているのだけど、結局作っている。

今さらどう言ってもしょうがないのではあるが、私もあんなものはいらないと思う。なぜなら、東京という都市は

駐車場がない

ということがアドバンテージだと思うからだ。

他の大都市、大阪なりソウルなりに行った上で東京を見れば、これはわかるんじゃないかと思う。特にソウルの自家用車による渋滞は酷い。ソウルにはとんでもなく広い道路がいくつもあるのだが、これが渋滞するのである。

ところが、東京ではそんなことはない。確かに商業車で渋滞していることはしばしばだが、自家用車で渋滞しているのを見ることはほとんどない。商業車がいない休日昼間の道路は、ガラガラだと言って良いくらいだ。どれくらいガラガラかと言えば、うちから三鷹方面に行くのに、平日深夜と休日昼間の所要時間はほとんど同じだというくらいだ。

これは東京の人が車に乗ることを諦めている結果だ。理由はいろいろあるのだが、とにかく東京の街は車で出掛けるようには出来ていない。駐車場は確保しにくいし、料金も安くない。それなら電車やバスを使うという判断をする。私も荷物がある時とか、夜郊外に出掛ける時以外は、電車やバスだ。何しろその方がいろんな意味で気楽だから。逆に松江にいる時はどこに行くにも車だった。コンビニに行くのでさえもだ。

自動車は本質的に環境に優しくない。だから乗らないで済めばそれに越したことがない。幸い東京は電車やバスが便利だから、あまり必要じゃない。おまけに駐車場が使いにくいから、使いたくても使わない。その結果、東京は人口密度のわりには空気は綺麗だ。交通事故も少ない。つまり、ここまで不便だと逆にアドバンテージになるのだ。

ソウルはいつも渋滞している。また、あまり駐車違反とか言わないのか、裏通りには車がずらーっと路駐している。狭いし危ない。盆地状の地形のせいもあるのか、気候のせいなのか、空気はいつもかすんでいるように見える。

東京はそうなっていないのだから、何も今さら東京で自動車にとって便利にするという必要はないのだ。不便なくらいの方が環境にも優しい。確かに「ガソリンが高い方が環境に優しい」的な論はあまり良いとは思えない。しかし、東京はそうやって自動車が使えないという前提で交通機関が出来ている。だから、自動車が使えなくても不便はない。そんな「逃げ道」があるからこそ、「不便でいい」と言える。

もう今さら東京を自動車にとって快適な街にする必要なんてない。それよりは、自動車が使えないという前提で都市設計をしてくれる方がいい。だから、何も金かけて地下駐車場を作る必要もない。既に緊急時や商業車は不便でない程度には、都市駐車場はあるわけだし。

東京という都市のアドバンテージ” への7件のコメント

  1. B2?開放ですか。駐車場にしたのは後付けの理由で、本来の目的は銀座線が「陥没」したらまずいからではないでしょうか?

  2. まだ開放はされてないです。

    駐車場は後づけの理由なのですか。駐車場になってる部分も地下街にしてくれた方が恩恵を受ける人は多かったのに。

  3. 都電の線路が残ってるうちにそういう事をいう人が多ければ….今みたいにさびれなかったんだろうね。
     オリンピックが終わったら、街中から車を隔離するために首都高を作ったなんて事わすれちゃって…..
     読売新聞の「1960年代の東京」、とか歩道広くて人一杯でにぎやかでうらやましい。

  4. 「駐車場がないのがアドバンテージ」なんて言って良くなったのは最近ですからねぇ。今ならそれなりの数の人が「確かにそうだ」と思ってくれるでしょうが、かつてそんなことを言えば、単なる馬鹿だったわけで。

    車ってほとんどが街を通過するだけだから、街にとっては邪魔でしかなくって、「にぎわい感」には遠い存在ですよね。

  5. んー、大正時代には言われてた事だよ。東京都市計画高速度交通機関路線網とかで。

    政府(つーか政府を指導する財界の方々)は自動車の都市内の通過速度を二倍にする計画だそうで……

  6. 地下街、には出来ないでしょうねえ。店賃が明朗会計になっては困りましょうし。

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