確かに「見殺し」は罪ではないが

昨日書いた、「コメント欄をどうするか」の元ネタに使った極東ブログのさらに元ネタの事件について、いろいろ考えてみた。

ここで私は無責任にも「そういったのはSNSでやればいいと思う」と言ってしまったのだが、よく考えるとこれは無理だ。

日本でSNSと言えば、mixiを指す。異論は認めない。いや、確かに他もあるんだけど、他では意味をなさない。なぜなら、日本でSNS言えば「ふつーmixi」というのが常識だからだ。これは同じことを繰り返したんじゃなくて、それだけメジャーな存在だということ。mixi以外のSNSは「ちょっとSNSやってみましょうか」という人達にとってはないのと同じなのだ。利用者が多いというのはそういったことだ。

ところがmixiは今のところ

18歳未満は使えない

というタテマエだ。他のSNSでも、かなりのところが「18歳未満お断わり」になっている。それは、それぞれいろんな理由があるのだけど、要するに「18歳未満」と関わると、マジメにやればやるだけ面倒が増えるからだ。

「18歳未満」と関わる面倒さについては、またそのうち他の機会でも詳しく触れるけど、とにかく面倒になるのでマトモなところは避けたがるという事実がある。

となると、件の自殺した娘については、「SNSがある」なんてのは何の役にも立たない。なぜなら、彼女には使えないからだ。

他方、「18歳未満」がネットが使えないかと言えばそうじゃない。私はあまり感心したことではないと思うが、使えるという事実は存在するし、使えなきゃリテラシーも育たない。理由は様々あれど、とにかく今は使えるのだ。

そうやってネットが使える人達が、「ブログ」や「プロフ」や「SNS」に魅力を感じることは、何らおかしいことじゃない。使おうと思えばそこにあるのだし、世の中にはそういったものの魅力を語るメディアも多数ある。事業者自身も「うちのサービスは魅力的ですよ」とささやく。それは「18歳未満」が使えないサービスであっても同じことだ。

だから「18歳未満」がそういったサービスを使いたいと思うことは、是非は別にして当然だ。だから、使おうと思う者がいても何ら不思議はない。つーか、使うだろ常考。

ところが、「マトモなところは避けたがる」という傾向にある。そりゃそうだ。面倒なんて起こされた日にはサービスどころか企業の存続にも関わってしまう。株主のうるさい上場企業ならなおのことだ。だから、規約で使わせないことにしてしまう。それは倫理的な意味でも、企業防衛的な意味でも悪くない選択だ。

しかし、この「マトモなところは避けたがる」ということをひっくり返すと、「マトモでないところはやっている」ということだ。そして、ニーズがしっかりあるんだから、「マトモなところ」でニーズが満たされない者はニーズを満たすために「マトモでないところ」に流入する。これも当然起きることだ。そして、「マトモでないところ」はマトモでないがゆえに、いろいろな問題を起こして行く。

サービスを提供していない「マトモなところ」にしてみれば、「うちはちゃんとやっているから」と言える。そりゃそうだ。よそで起きたことまで責任取らされちゃかなわん。でも、「マトモでないところ」に流入した何割かの利用者は、そういった「マトモなところ」のプロモーションに刺激された者であることは想像に難くない。

たとえばこんなことだ。街で「クリスマスパーティーやるよ。みんなおいでー」と宣伝をして歩いた。その声に誘われて「18歳未満」もやって来た。ちょうど折悪しく、吹雪になっていた。で、「パーティー」に入ろうとしたら、「うち18歳未満ダメだし」と言って中には入れない。外に放り出された「18歳未満」は吹雪で行き倒れ。「あー外で人が倒れてる。でもうちのせいじゃないし」と。

つまり、「マトモなところ」がやっているのは、こういった行為だとも言えるのだ。そうして考えてみると、そういったサービス提供者が「18歳未満お断わり」と挙げていることは、どれだけ無責任な行為かわかるだろう。

確かに「出会い系」みたいなものから「18歳未満」を守るというのは、正しいことなんじゃないかと思う(本当は「規制」じゃなくて「教育」でするべきだと思うけど、日本の「教育」がそうなってないんだからしょうがない)。そうやって守っていても使ってしまうのは、まぁ自業自得だとも言える。だけども、その面倒を過剰に避けるために、普通のネットコミュニティみたいなものまでサービス提供を避けるというのは、結局無責任な行為なのだ。もちろんサービス提供するからには、それなりの対策が必要なのは言うまでもないけど。

私はこういったことの「責任範囲」が難しいから、「18歳未満はネットを使うな」と言いたいのだけど、現に使えるようになっている。現にそうやって使えるようになっているからには、

18歳未満にマトモに向き会え

と思うのだ。「18歳未満にはサービス提供しません」というのは、企業としては正しいが、社会としては問題がある。

多分に電波で乱暴な言い方かも知れないけれど、件の娘は「mixiに見殺しにされた」のかも知れないのだ。

PS.

そう言えばmixiは最近18歳未満も使えるようになった。でも、あまりに機能を限定しすぎていて、「楽しいmixi」的な部分はほとんど使えない。意味がない。

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