普段着、カフスボタン、パンツスーツ

結論から言えば、常識ってのはまず持っておいて、それを破るか守るかはそれぞれの判断であり決断なんだよって話なんだけど。

表題に挙げたものは、人に会う時に運用を間違いやすいもの。

一番わかりやすい「人に会う時」ということで、「会社訪問」を例に。「会社訪問」と言っても就職試験もあれば、客先のこともあるんだけど、多分これは両方に通用する。いずれもオフィシャルな時のこと。私的なお遊びとかはこの限りじゃない。

常識的には、初めての会社に行く時はスーツであるべきだ。これは相手がどんなにラフな会社であっても同じだし、ガテン系であっても原則的には同じだ。場所や環境の都合があって、相手から「スーツはやめておいた方がいい」と言われても、何とかなりそうな場であればスーツだ。もちろん何とかならなさそうな場だったら言われた通りにした方がいいけど。

これは若い人、特に学生がよくやらかすんだけど、ついうっかり相手に合わせたつもりになってラフな格好で行ってしまう。相手がそれがわかる人ならいいけど、たいてい

これから会う人は目上

だと思っておいた方がいい(わざわざこっちが出掛けるんだから、たいていはそうだ)。目上の人は基本的に「上から目線」であることが多い。だからそんな時にラフな格好は死亡フラグだ。もちろん偉い人が全部上から目線であるとは限らないし、そもそも服装を気にする人ばかりとは限らない。また逆に「こんな場所にスーツで来やがった」と思う人だっている。でも、常識的な行動としては、やっぱりスーツで行くものだ。

さらに間違いやすいのは、カフスボタンだ。みだしなみとして、正装としてついつけてしまう。まぁ結婚式のような場とか、パーティーとかだったらつけてて構わないし、つけているべきなんだけど、「会社訪問」だとなかなか微妙だ。

何年か前に新卒の採用の時の格好で一番不愉快に思うものというので、カフスボタンが挙げられていたことがある。つまり、少なくともそういった時には避けるべきだ。カフスボタンってのはアクセサリーの一種だから、センスとTPOが非常に大事だ。だから、せいぜい「みだしなみ」としてしか把握出来ない人だったら、「会社訪問」の時には着けない方がいい。女性の指輪と同じようなものだと言えばわかるだろうか。

また、女性の場合、「正装」は「ひざよりもちょっとだけ上くらいのタイトミニのスーツ」だとされている。街を歩いていて、スーツを着た「おばさん」が妙に短い丈のスカートをはいているなと気がつくことがあると思う。特に自転車とか乗っていると目のやり場が微妙になってしまったりするんだけど、あれが本来の丈の「正装」なのだ。てか、件の「おばさん」達は別に「色ボケ」しちゃったわけじゃなくて、そういった「常識的な行動を取るべき倫理観」を持っているというだけだ。まぁ丈については時代や流行で微妙に上げ下げがあるけど、あまり長いのも短いのも×だ。ましてやパンツスーツは「スーツなんだけど何やら活動的なことをしなきゃいけない」という状況の時の格好であって、普通の「会社訪問」の時は×なのだ。

とかいうのは、間違いやすい常識の話なんだけど、これらは原則的には守った方がいいし、守る気がなくても常識としては持っておいた方がいい。なぜなら、いまだに世の中は、こういったことが常識だと思っている人達が支配しているからだ。

私なんかはこういったことを気にするギリギリ下限の歳だから、知ってはいるけど守ってなくても「まぁ知らなくて当然だよね」と思ってあまり気にしない。でも気にする人達は確実にいて、特に「採用試験」の時に出て来るおっさん達はその辺を非常に気にするものだ。

たとえば何かを主張したい時、こういった「常識」をあえて崩すことはアリだ。でも、その時本来はそれ相当の「覚悟」やら「センス」やらというものがないとダメだ。なぜなら、「常識を破った格好」というのは、それ自体がかなりの記号性があるからだ。その「記号」は自分が求めたものと合致してなかったら不要なものだ。

ところが常識を持たないで、うっかりやってしまっても、気にする人達は記号だと思ってしまう。そして、その「記号」は細部はどうあれ、たいてい「俺は非常識だ」というものを含んでいる。

でまぁ若い人とか「先進的」な人達ってのは、そんな「常識」なんてとっととなくなれと思ってるんじゃないかと思う。私も昔はそうだった。でも、そういった「常識」がなくなってしまうと、「あえて常識を崩す」ということが出来なくなってしまう。そう考えると、こういった類の常識は続いていてもいいんじゃないかという気がする。

PS.

RSSを消化しないでいたら、まるっきり「まんま」なことを宋さんが書いてた。

宋文洲の会社員哲学(11)「男は中身」だけではない

普段着、カフスボタン、パンツスーツ” への9件のコメント

  1. >ひざよりもちょっとだけ上くらいのタイトミニのスーツ

    うーん。私は抵抗がありますね。せめて、膝が隠れる丈でないと落ち着かないです。それ以前に
    「常識を取るか、パンストにかぶれないことを取るか」
    で悩まなくてはならなかったんですけど。

  2. 以前お邪魔した時に、後になって

    「あ、スーツの方が良かったかなぁ..」なんて考えたのですが、

     - 就職や (将来の) お仕事のことを考えながらの会合なのか
     - 友人 (マイミク!?) ベースでの会合なのか

    というのを考えて、より後者にあたると判断しました。

    # しかし後になって考えてみると、「あれは無難にスーツの方が良かったかも..」なんて考えてしまって.. 見事に指摘されてしまいました。

  3. > 私は抵抗がありますね。

    誰が「自分の都合」の話をした? 相手はあなたの事情なんて知らない人なのよ。どんな事情があっても、それは「記号」となって相手に伝わっている。

    > 以前お邪魔した時

    あれは遊びに来ただけだし。

    てか、「私」は気にしないし、相手にもそれを強く求めない。でも、もっとおっさん相手だったら気にしないとね。

  4. >それは「記号」となって相手に伝わっている

    もちろん、それはそう。さらに「記号」を評価する自由は、まず相手にあるんです。そこは踏まえたおいた上で、さて何をしますか、なんですよ。

  5. 意図した記号であるなら、それはそれでいいわけですよ。

    私だってスーツ着ない時はあるし、スーツ着てても茶髪はそのまま。もちろんその「記号」は意図してる。

  6. > もっとおっさん相手だったら

    おっさんはスーツで来い,と言われたのかと勘違いしてガクブルしました(謎

    # 次回は東十条でお願いします(更謎

  7. > でも、そういった「常識」がなくなってしまうと、「あえて常識を崩す」ということが出来なくなってしまう。
    常識はなくならないと思うんですが、その中身は変わっていくのではないでしょうか。フォーマルな場での今の常識的な服装はスーツなので、和服を着ていくのは非常識というか特殊だと思いますが、昔はこっちが常識だったと思います。
    IT業界ではカジュアルな服装がわりと一般的ですが、こっちが主流になっていくとこれが常識になるので、スーツは逆に非常識になると思います。そうなると記号的意味はスーツのほうに付与されるのではないかと思います。

  8. > おっさんはスーツで来い

    おっさんはスイーツ持って来いw

    > 記号的意味はスーツのほうに

    今もそうだったりするので、その辺は上手に運用するわけやね。こういったものの記号性は忘れてはならないと。

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