チベット中国問題とエロ妄想

チベット騒動が続いている。

これについては、中国の発表、西側メディアからの情報が交錯していて、メディアからしか情報を得ることの出来ない我々は、どれを信じて良いのかよくわからない。また、「チベットの衝撃映像」なるものが、実は捏造ではないかという話も出て来ていて、ますます何を信じて良いのかわからない。

とは言え、少なくともこれは「中国の対応の下手さ」というのがあるのは確かだ。

ここでは、事実関係については何も述べない。なぜなら、私の知る事実はメディアを通じて得られたものだけだ。「インターネット」の情報も、人伝に過ぎない。人は伝えたいものを伝える性質があるから、「誰が伝えたか」によって情報は歪曲される。

中国は今回のことに限らず、諸々の事件では情報統制を行う。つまり、情報が伝わって来ない。だから、我々は断片的な情報しか得ることが出来ない。つまり、垣間見ることしか出来ないのである。

たとえばここに「手」だけの写真があったとする。それを見た時に、その人が美人かどうか、いい身体しているかどうかわかるだろうか。多分、たいていの人はわからない。でも、2ヶ月くらい禁欲していて、どうしても一発コキたいと思っている時、そんなオカズしかなかったとしたら、一生懸命そこから妄想して… とするだろう。その時、その「手」に似た綺麗なおねいさんと会った経験があれば、「きっとこの手の持ち主は綺麗なおねいさんに違いない」と思うだろうし、逆であれば逆を妄想するだろう。事実はどうあれ、与えられた情報が少なければ、そういったことをするしかない。

これはちょうど中国の情報統制に似ている。中国から聞こえて来る情報は「手」だけだ。だから、特別に中国にシンパシーを持っている人は中国側の妄想をし、そうでない人はチベット側の妄想をする。最近はいろいろと中国の良くない話を聞くから、特に妄想のネタを持ってない人は、何やら悪い方に妄想するだろう。

これが「手だけ」が「局部モザイク入り全身」とか「顔以外全部晒し」とかになっていれば、また違った想像になる。もちろん全てが見えているわけじゃないから、あくまでも見えていない部分は想像するしかないという点では同じだが、元になる情報が多ければ、「妄想」の部分は減る。もちろん「ナイスバディなブス」とか、「美人だけど真っ黒○んこ」だっているには違いないが、たいてい隠れている部分が見えている部分とかけ離れていることはないだろうと思えるから、見えている部分の傾向から大きく外れた妄想はしないはずだ。

西側諸国はあまり情報統制はしない。しても、「肝心な部分」だけだ。もちろん戦略的にわざわざ隠すからには隠すだけのことは隠れているはずなのだが、たいていの人は見えている部分から隠れている部分を想像するから、見えている部分が悪くなければ悪い想像はしない。だから、本当に隠したい部分だけ隠しておく方が、悪く言われないで済む。

かつて中国は神秘なイメージと共に、共産党による宣伝もわりと信用されていたから、隠してある部分については、そうそう悪い想像をされなかった。そういった状況であれば、「悪いこと」を隠してしまっても、あまり悪いように思われなかった。ところが、今はそういったことのあちこちにほころびが出ていて、「悪いことが後から表ざたになる悪い国」と思われてしまっている。そこで情報統制をしてしまえば、ますます悪い方向に解釈されてしまう。

さらに情報統制下であれば、基本的に情報は伝わらないわけだが、それでも漏れて来る情報がある。そして、そういった「漏らす」人達は漏らすだけのモチベーションを持っている人達である。中国側は漏らす必要性なんてないから、漏らすモチベーションを持っているのはチベット側だ。そうなると、中国に都合の悪い、チベットにとって都合の良い情報ばかりが漏れて来る。結局のところ、

情報統制は都合の悪い情報を増やす

ことになってしまうわけだ。それに負けないように、中国側はいろいろ声明を発表するわけだが、元々信用のない国がいくら声明を出したところで、それを鵜呑みにする馬鹿はいない。これがたとえば西側のメディアが自分で取材した結果であれば、信用する人もいるだろうが、そういった客観性がないものを信用する人はシンパくらいなものだ。逆に、見えている部分がどんなに綺麗であっても、「隠れている部分も綺麗です」と自称すれば、自称したということで逆に解釈されることだってあるくらいだ。信用がなければ「自称」は逆効果だ。

これも、中国は「公開することによる情報統制」ということに慣れていなくて、過去の成功事例である「隠蔽による情報統制」しか出来ないということなのだろうけど。

無闇と隠すよりは、十分晒しておいた方が変な妄想をされなくて済むということは、何でも共通のことなのだ。