今年会社に入る人達に

うちは零細企業なんで、新卒なんて入らんわけだが。

多分、あちこちのblogで、あるいはメディアの特集でこういった記事が書かれるだろう。そしてそこにいろいろなアドバイスが書かれているのを目にするだろう。ここで1/4世紀前に新卒だった私からのアドバイスだ。

そういったアドバイスは聞くな

まるっきり「クレテ人は嘘つきだ」みたいなアドバイスだし、このアドバイス自体もアドバイスだから、聞くも聞かないのも勝手だ。でも、理由を書いていこう。

なぜなら、世の中の諸々のアドバイスは

アドバイスに過ぎない

からだ。アドバイスは本人じゃない人が与えるものだ。だから、本人が本当に必要なものがわかっているわけじゃない。また、本人の立場を100%理解しているわけでもない。

もっと砕いて言えば、アドバイスをしている人達は、それぞれの立場でしている。つまり、それぞれにとって都合の良い人になることを求めているに過ぎない。だから、「あなた」にとって良いものだという保証はない。もちろん多くの人が「良かれ」と思ってしているのだが、それは当然ながらその人の経験と主観が含まれている。会社が頼りにならなかった人は、「会社なんて頼りにならないんだから」というアドバイスをするだろうし、会社が頼りになった人は、「会社の上手な使い方」みたいなアドバイスをするはずだ。

比嘉さんが、

会社から「頼りにされる」危険性

というのを書いている。基本的に比嘉さんの意見は私と同じ意見が多いし、やっている領域も近いところにあるので、私にとっては「比嘉さんの言うことはほぼ無条件に賛成」でもほとんど間違いはない(正しいかどうかではなくて、一致しているということ)。それくらい同じような意見をいつも書いてらっしゃるので、私が駄文を書く必要はないと思うくらいだ(かなりマジ)。でも、件のエントリに関しては私はまるで逆の意見を持つ。もちろん件の意見も、個々の主張はかなり納得が行くのだが、結論のつけ方がまるで違うのだ。多分これは、比嘉さんの経験と私の経験が違うことに起因するのではないかと思う。つまり、極めて当たり前のことなのだが、

意見と経験は100人100様

なのだ。

「アドバイス」なんてのも同じもので、普段意見や考えが似ている人でさえも、まるで違う結論になったりする。そんなものに右往左往しても、精神の浪費でしかない。

もちろん、「新卒」は一人で歩くにはおぼつかない。それは自覚もしているだろう。「いや、俺は大丈夫だ」という人もいるかも知れないが、その根拠のない自信は1ヶ月もあれば崩れる。そして結局「おぼつかない」ということを自覚する。

そうなると、他人の言葉を頼りたくなる。もちろん他人の意見は重要だ。ましてや自分の経験ない、その代わり回りじゅうが経験者ばかりの世界であれば、アドバイスを受けまくれる余地がある。また、おせっかいな先輩達は頼みもしないのにアドバイスをして来るだろう。家に帰ってネットを見れば… 世の中アドバイスに満ち満ちている。聖書に「占いなんてすると助言者が増えてよけいに迷うぞ」という意味のことが書いてあるのだが、まさしくそんな感じだ。自分がどう進んでいいかわからない、かと言って助言を求めると多過ぎる。

そんな時には、自分のロールモデルになる人の助言を聞くのが一番いい。でも、新人の時はそれすらわからない。じゃあどうするか。それは、

わからないうちは目の前の先輩だけ見とけ

あちこち浮気しないで、自分に教育している先輩だけ見ておけばいい。もちろん彼/彼女は正しくないかも知れない。でもそれで構わない。間違いは後でいくらでも直せる。それよりは、まずは「ふらふらしない」ことにしてしまうのだ。基準が決まれば、判断もしやすくなる。

もしかしたら、それは「ダメな先輩」かも知れない。それならそれで「他山の石」にすればいい。いろんな意見にふり回されるよりもずっとマシだ。

会社に入ってしばらくは、「仕事をする環境」に身を慣らすことが一番大切なのだ。一生サラリーマンでいようと将来独立しようと、結局「仕事」はしなきゃいけない。だから、最初はそんな環境に身を慣らさなきゃいけない。そうやってしばらくすれば、いろいろ自分で判断出来るようになる。だけどとにかく最初は「身を慣らす」ことに注力するべきなのだ。

だから、当事者でない人のアドバイスなぞに耳を貸すことはない。しばらくは目の前の先輩にひたすらついて行け。まずはそうやってまず身体を慣らせ。しばらくはそれが仕事なのだ。

PS.

ほら、こんなふうに意見は割れる。

IT業界に来た新社会人に本音を言っておく

IT業界に来た新社会人に本音を言っておくを読んだ人に言っておく

どちらも少なくとも一面の真理ではある。また、どちらも間違いではない。でも、その一面同士は矛盾に満ちている。

今年会社に入る人達に” への3件のコメント

  1. 私は、この文章読んで「アドバイスに過ぎない」というのにインスパイアされて「思いついたことを無責任にぐりぐりと」書いたので、ちょっとびっくりです。

  2. ピンバック: 悶々と学ぶ研究者兼エンジニア

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