日本でFacebookとか流行らない理由を考えてみた

仕事のこととかあって、ちょっと前からFacebookとか見ている。

いろいろ興味深いし、「これが日本語化されていたらな」と思うことしきりなんだけど、MySpaceはまだしもFacebookは日本でやるという話を聞かない。日本語化されてなくても、YouTubeのように日本人が押しかけて「植民地化」してしまうサービスも少なくないのだが、Facebookはそうでもないようだ。

面白そうなのに流行らないのは残念に思うので、流行らない理由を考えてみた。

まず、日本のSNSは画一的だ。

それは言うまでもなく、「要するにmixi」という言葉で片付けられてしまう。競合する(周回遅れの)準大手も「要するにmixi」だし、オープンソースのエンジンも「要するにmixi」だ。最近喧伝されている社内SNSのエンジンも、関係はそれなりにアレンジされているとは言え、どうやら「要するにmixi」らしい。

つまり、日本では

SNSとはmixi(のようなもの)

ということになってしまっている。ほとんど全てのSNSは、「要するにmixi」をいろいろアレンジして運営しているに過ぎない。対象ドメインが違ったりしていくらか違いはあるが。

片や海外のSNSはバラエティに豊んでいる。それは一言で言うことが出来ないくらいだ。一時流行ったorkutは「要するにmixi」なんだが、Facebookはまるで違う。同じカテゴリに入っていることが不思議なくらい違う。

そこに「FacebookというSNS」を入れたとしたらどうなるか。もちろん日頃いろいろ調べている人は「おお、やっとFacebookが来たか」と思うだろうが、よく知らない人は「要するにmixiみたいなのが増えただけね」としか思わないだろう。つまり、「SNS」という語が強くmixiと結びつけられてしまっているものだから、たいていの人達は「SNS」と聞くと「mixi」と思ってしまうわけだ。この地位で寡占状態になれば、他の競合は入りようがない。IBMのPCが日本に入った時、結局シェアが取れないでNECのPCばかりが売れていたのと同じようなことだ。

これはちょうど、「パソコンと言えばPC」とか「携帯音楽機器はiPod」とかそういったのと同じ現象だ。対象物にそれ程深く興味を持たないエンドユーザは、「わかったつもり」になって一般名詞と特定のものを強く結びつける傾向にある。だからこそ、「一般名詞化」はマーケッティング的に重要だとも言えるし、そうなってしまったら他のものは入りようがない。

というのは、マーケッティング上の話。

じゃあmixiがそんなサービスをすれば良いじゃないかという話になる。

経営判断的なことを一切無視して、純粋に技術的に考えると、これも現状ではほぼ不可能だ。

mixiのデータベース管理の大変さは、そこらじゅうに資料があるから探してみるといい。とんでもない規模のデータベース群を力技としか言いようのない方法で動かしている。また、どうやらマトモなミドルウェアを使わないでperlでゴリゴリのCGI群らしい。だから、

mixiのシステムはプラットフォームではない

わけだ。そうなるとすぐに「新機能はつけ足しだから問題ないでしょ」という話をしたがる人もいるだろうけど、これがそうは行かない。なぜなら、mixiで新サービスを追加するということは、

いきなり1000万ユーザ級のサービスを立ち上げる

のと同じことだからだ。人気が出れば出るだけアクセスは集まり、サービスがスケールするかどうかが大問題になる。

mixiの本体は、時と共に徐々にユーザ数が増えて来たのだから、力技で何とかする時間的な余裕もあっただろうし、基本的に単一アプリケーションだから、データベースとアプリケーションが密結合されていても困ることはなかった。そのため、そういった「新しいアプリケーション」をどんどん作るためのプラットフォームにはなってない。

現状の「1000万ユーザ」の処理は特定アプリケーションでのみ有効なアプローチの結果でしかないから、「特定でないアプリケーション」を動かすとなると、同じ手間をまたかけることになってしまう。しかし、既に1000万ユーザのサービスになってしまっているから、その手間をかける時間はない。ましてや、Facebookのように外の人にアプリケーションを書いてもらうなんてことは、少なくとも現状は不可能だ。どこかで思い切ってそういったパフォーマンスを出せるプラットフォームを作って、その上で現状のアプリケーションを動かせるようにしなければ、解決は困難だ。だから、当分そんなものは出て来ないだろう。

人、特に日本人は群で行動したがる。だから、ネットワーク上のサービスにSNS的なものを導入することは、ある種の必然だ。「SNSマーケッティング」なるものが単なるスパマーのための言葉でなくなるためにも、そういったシステムは望まれるところだ。でも、mixiじゃ出来ないだろうし、他の「SNS」はもっと難しい。Open IDもなんとなく微妙な空気になって来たようだし。

などということを考えながらシステム設計しているわけだな。

日本でFacebookとか流行らない理由を考えてみた」への1件のフィードバック

  1. > 要するにmixi

    うーむ.PC-UNIXが「要するにLinux」と言われてしまうのを思い出しました(笑)
    # 論旨から外れてすみません.

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