いつの間にかコの業界は「IT業界」と呼ばれるようになった。
原意を考えれば、確かにコの業界は「IT業界」で総称されるものは、みんな含む。だからと言ってどうも「IT業界」とひとくくりに呼ばれるのは、どうも釈然としない。
Matzやitojunやdankogaiが活躍するのも「IT業界」だし、
社員を奴隷としか思ってないとしか思えないオヤジどもが跋扈するのも「IT業界」だし、
笑わないプログラマがデスマしてるのも「IT業界」だし、
六本木ヒルズじゃ狭いからタワー建てちゃうのも「IT業界」だし、
梅田望夫がweb 2.0を語ってるのも「IT業界」だし、
今や世の中は「IT」抜きには語ることは出来ないんだから、ありとあらゆるものが「IT業界」に含まれてしまう。それらはみんな無関係じゃないし、同じ技術基盤の上にあるし、人材も流動してたりするわけだけど、どうも「IT業界」というくくりで語られるのは釈然としない。これは、
製紙も印刷も新聞も出版もみんな「紙業界」
と呼ぶこととか、
テレビもラジオも携帯電話も衛星もみんな「電波業界」
と呼ぶこととかに似ている。これらもみんな無関係じゃないし、同じ技術基盤の上にあるし、人材も流動しているけれど、「紙業界」とか「電波業界」と呼ぶのはごく限られた場合だけで、普通は呼ばない。
そればかりか、いわゆる「タグ屋」も「プログラマ」も「システムコンサルタント」もみんな「IT関係者」だ。あまつさえ、「ネット通販」のお店まで「IT関係」と言ったりする。そりゃ、「新聞配達」も「マスコミ関係者」であるという事実があるのだけど、どっちからどっちを見ても、
蝶々蜻蛉も鳥のうち
でしかない。
そんなものだから、就職する学生にしても、
テレビのつもりで「電波業界」に来たら、
マグロ漁船の無線士だった
みたいなことが起きてしまう。嘘じゃない。確かに嘘じゃないけど、何かが違う。技術ベースが同じだけで同じ業界だと言われてしまうのは、何かが違う。まるで事務員もプログラマも、
パソコン使うのが仕事
と言ってまとめられてしまっているようなものだ。
やりたいことだって、
やらなきゃいけないことだって、
見たい未来の姿だって、
そこにどうやって到達するかだって、
みんなみんな、違うのだ。それを「ITだから」という理由でまとめてしまうのだ、あまりに無茶だ。
コの業界人は、そろそろ「自衛」のために、「IT業界」という表現は避けるのが良いのではないだろうか? いかに基礎技術が同じとは言え、「従業員を単価で抽象化して計算」する世界の人達と同じ業界として語られたくない。
昔、ファンレター(メール)を送って丁寧な返信をいただいたものです。その節はありがとうございました。
ちょっと前、なんでもかんでもITってつけばステキ、と思われていた頃に、
「ITってインチキの略じゃないのか」という説を打ち立てたのですが、あんまり賛同をいただけませんでした。
派遣会社の営業の人にはウケました。
私は「IT」を「インチキテクノロジ」とスネてみのはあまり好まないです。つーか、そういったスネ方があまり楽しくないから、味噌も糞も一緒にして「IT業界」と読んで欲しくないなと。
5年くらい前の話なので、当時は本当になんでもいっしょくたで、確かにスネてたかもしれません。
いまだに自分の職業を選択肢の中から選ぼうとして、ITナントカにしか該当しないときには激しい抵抗を感じます。