ネガティブ情報は具体的に

shi3zさんのエントリ

謝罪という名の押し売り

のブコメより。

shi3zさんは我が身に起きた理不尽について、具体名を挙げて嘆いている。それに対し「店舗の名前はぼかした方がいい」的なコメントがついていた。

いろいろ考え方はあると思うが、私はぼかすべきではないと思っている。

具体的にどんなことが起きたかは、このエントリの趣旨とは関係ないので、そっちの方で。重要なのは、shi3zさんは具体的な店舗の名前を挙げ、ブコメには「ぼかした方が安全」的なことが書かれていたということ。

確かに世間では、明かにそれとわかるような時でも、伏せ字にするのが普通だ。いわく「S○NYタイマー」の類だ。あるいは「HTTP復帰コードのブログの奴」の類もある。メディアの質や内容を問わず、この手法はよく使われている。裏ビデオのタイトルとか、スクープ記事の類にもよくある。

私はこの手の手法はズルい上にマズいし、意味がないと思っている。

ズルいというのは、当事者からクレームがついた時に、「いや、僕はあなたのことなんか言ってませんよ」と言い逃れでもするんだろうということ。dis disにdisっておいてなお、「いや、私はあなたのことは悪く言ってません」と逃げる。実にズルい。つまり、責任逃れだ。

ところが、やってる人には気の毒だけど、こういった「対象が明らかな伏せ字」の類は、刑事的には「対象を明らさまに書いた」のと同じ扱いらしい。だから、「ズルい奴」の期待している効果は全くない。残念でした。

さらに、これはマズいことでもある。と言うのは、わかる人にとっては明白な伏せ字でも、わからない人にとっては全くわからない。そうすると、「何か理不尽があったな」ということはわかっても、「どこでその理不尽にあったか」という意味の情報はないのと同じになってしまう。もちろん「わかる人」にとっては十分な情報なのかも知れないが、それがわからない人にとっては、意味がないことになってしまう。

そればかりじゃなくて、「誤爆」の危険がある。「HTTP復帰コードのブログの奴」とか書いた場合、「奴」は完全には特定されない。つーか、特定されちゃったら伏せる意味がないわけだから、特定されないのは本質だ。そういったあいまいな表現があった場合、「読者がよく知っているそれ」であると理解される。それが書いた人の意図と一致していれば問題はないが、必ずしもそうではない。となると、本来指されていない方の人が迷惑被る。つまり、

無実の人を巻き込む

という危険が伏せ字にはある。

これが、ポジティブ情報なら別に問題はない。ポジティブ情報で「被害」はありえないからだ。ところがネガティブ情報だと「冤罪被害者」を作りかねない。そういった危険を避けるためにも、ネガティブな情報は具体的に書かなければならないのだ。

意味がないというのは既に書いたように、「誰でも簡単に特定出来る伏せ字はないのと同じ」という判断がされるから、何らかのトラブルが起きた時に「俺はそういったわけじゃない」という言い訳は通用しない。

まぁ今どきだと、ネガティブ情報が元で「祭」でも起きたら厄介というのがあるけど、どうせ祭りたい奴等は伏せ字どころか匿名であっても、自分で調査して裏を取ったりしてやるから、多少伏せ字にしたところで避けられるものでもない。伏せ字で配慮したところで、何の効果もない。

そんなわけで、理不尽のウサをネットで晴らす場合には、出来る限り具体的に書くべきだ。そうしないと、情報としての価値は下がるし、悪くすると「誤爆」の危険すらある。だから、「ぼかして書く」の類のことというのは、やめておいた方がいい。また、そうしないと身に危険が及ぶような場合、どうせぼかしておいても保身にならない。いずれにしても意味がないのでやめておくべきだ。

PS.

さらにその「ネガティブ情報」自体が冤罪だった場合を考えると、言われた側は「うちではありません」と言わなければ、つまらない風評被害の元になってしまいかねない。だから、誤爆された場合は「うちではありません」と言えなきゃいけない。ところが、変に伏せ字にされているとそれがあまりはっきり言えない。言われた側はもにょって終わりになってしまう。それで済むことなら別にそれでいいのだが、炎上騒ぎみたいなことになると、それで終わりというのも困るだろう。

だから、そういった「冤罪」を避けるためにも、「実名晒し」をして「反論」の機会があった方が良いと思う。

ネガティブ情報は具体的に” への2件のコメント

  1. 実際、どう使われてますかね? しっかり「わかる人だけにわかる」という使われ方なんですかねー。それとも「クイズの応募」的なんでしょうか。

    示す対象が「世間一般の常識で明白な伏せ字」は伏せたことにならないということはあるのですが。

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