高木浩光@自宅の日記より
私はあまりセキュリティのことは得意でない。もちろん必要最低限のことはわかるし、必要な対策をするくらいのことは出来るのだけど、未知の穴をどうこうするなんてわからないし、はまちや氏みたいなことも出来ない。そもそも必要だからやるだけで、興味がない。だから、得意でないところを下手に説明されるとさっぱりだ。
そういった意味では、リンク先にある朝日の記事はさっぱりだった。ちゃんと説明したことなら、難しい言葉が出て来ても平気なのは、まぁこの業界に働く者は当然だろう。だけど、普段直接業務にしてなくて、特別に興味のない者にとっては、こういったわけのわからない説明をされると、さっぱりわからない。慣れてる人だったら、うまい具合に補間したり、間違っているところをスルーしたり出来るのだろうが。
で、件のページの嘘朝日新聞記事が、実に秀逸でわかりやすい。こう書いてあれば何が言いたいのかすぐわかるし、問題点もわかる。多分、素人であってもゆっくり読めばわかるだろうし、まるっきりわからなくてもどんな対策をすれば良いかはわかる。最初からこんな記事ならいいのに。それにしても高木先生、「らしい」文章を書くのが上手いなぁ。
この手のわけのわからない記事は、朝日新聞に限らずどこにでもある。「科学部と言えどしょせん文系記者だから」と説明されることだったりするのだけど、別に理系文系関係なく、「わからない」ということを素直に認めて「専門家」にちゃんと教えてもらうなり、書いてもらうなりすればそれで良いんじゃないかと思う。もちろん「新聞」というメディアの都合から、「書いてもらう」のは無理だとは思うが、聞くべき専門家に記者が本当にわかるまで解説してもらってそれを元に記事を書くことなら、今だって出来るはずだ。
今の時代、いろんなことが高度化してしまっているから、自分の専門外のことのかなり先端の部分なんてわからなくて当然で、別にそれ自体を恥じることでも何でもないし、「しったか」したり半可通で偉そうにすることもない。「わからない」ことを素直に認めちゃった方が、自分の知識のためになると思うし、時間のムダにもならなくて良いと思うんだが。わかったフリしたって、ちっぽけな自尊心を満足させる以上のメリットなんてないよ。