冷し中華のタレ

これはもう「料理」なんてものじゃないんだけど…

冷やし中華のタレは扱いに困る。他のことに使えるわけじゃないし、余ったところで翌年使えるわけじゃない。「冷し中華」として売っている麺に付属のものは、量が多くでジャブジャブになってしまう。余らせると… ということで案外面倒だ。

じゃあ、麺だけ買って来てタレは作ればいいじゃないかということになるのだが、このタレ作りが面倒臭い。材料としては「醤油」「酢」「味醂」「その他」を混合するだけなのだが、比率が難しい。東海林さだおの「料理一本勝負」にも、「いろいろ味を見ながら作ると、バケツ一杯分くらい作りそうになる」みたいなことが書いてある。いろんなところで微妙である。

そこで、誰にもお手軽にそこそこのものを作る方法を開発した。それは、

ポン酢と味醂を混ぜる

ことだ。ポン酢も本当にポン酢だけのではなくて、その辺で売っている醤油入りの奴。これをそのままタレにしても良いのだが、そのままかけるとどうも味が舌に刺さる。そこで、味醂でやわらげてやる。

比率は味を見ながら適当に。作り方は「ポン酢に味醂を入れる」ことだ(逆はだめ)。ポン酢の味が適度にやわらげられるまで、味醂を入れる。甘いのが好きな人は味醂多めにすればいい。

「適当」ということで「やっぱりバケツ一杯か」という声もあるだろうが、「醤油」「酢」「味醂」の三元混合から、「ポン酢」「味醂」の二元混合に問題が縮退しているので、バケツ一杯作ってしまうということはない。もっとも、ここで「もうちょっと」と醤油の参加を促したりすると、「バケツ一杯」になりかねないので注意。

こういった「いい加減料理」は、元々の味を最大限に生かして、徹底的に手抜きをしていい加減に作るのが成功のコツだ。この「冷やし中華のタレ」でも、手を入れようと思えば、レモン汁を入れてみるとか醤油で調整するとか、いろいろとやれそうなことはたくさんある。しかし、それはあえてやらないで「重大な問題(この場合は味舌に刺さる)だけが解決すればいい」ということで、手を加え過ぎないようにする(加えるのは味醂だけ)。

実はこのことは「素材の味を大事にし、無用な味つけをしない」という、普通の料理の基本にも通じることでもある。