日本のエンタープライズにアジャイルは多分無理

多分、アジャイルまんせーな人達も、薄々気がついていると思う。「日本のエンタープライズ」にはアジャイルは多分無理だということを。

そもそも「日本のエンタープライズ」自体がアジャイル向きに出来てないんだから、そこにアジャイルを持って来ても「インピーダンスミスマッチ」を起こすだけだ。もちろんちっちゃいシステムとか、「先進的な企業」とかなら、あるいは可能かも知れない。そういったシステムだって少なくないから、「成功する」と言いたい人達はそういった事例を持ち出して「成功する」と言うだろう。しかし、一番肝心の「基幹業務システム」は、なかなかそうは行かない。

だいたい、それなりの規模の「しすてむいんてぐれーしょん」で一番時間とコストがかかるのは、そういった「政治」に属する部分だ。個々のアプリケーションがどうだこうだというレベルまでブレークダウンされていれば、あとはどうやっても出来るし、やれない方がおかしい。「プログラマ」は、そういったレイヤだけを見ているから、「プログラムをとりあえず作ってしまって、詳細は担当者レベルで調整」ってやれるのは、夢の開発手法に見えるのかも知れない。しかし、「システム」というレベルで見れば、そこまで来れば「自転車の下り坂」みたいなもんで、

ちゃんと出来て当然

だ。まーそれでも砂踏んで転げてしまうようなことが起きてしまうのが、システム開発の面倒なところではあるし、担当者レベルで納得のできないシステムなんてのは、使われなかったりするからプロジェクトとしては失敗ということになるわけなんだが。

もっと上位の「システムをどうするか」というのは、少なくとも日本の普通の企業では「トップダウン」の「政治」の世界だ。そのレイヤまでアジャイルを及ぼそうものなら、「誰それの顔を潰した」だの「○○さんが勝手にやっている」だのになってしまう。

アジャイル開発に一番重要なことは、「キーマン」を得るということ。ところが、「日本のエンタープライズ」での「キーマン」は誰かと考えた時に、一般論では何とも言えない。それをうまく引き出すのが技術ではあるけど、逆に言えばそこを見誤ると「卓袱台返し」が起きてしまうということだ。

本当に「システム」のわかるキーマンだったら、システム開発なんかに付き合ってる暇はないだろうし、システム開発に付き合える「担当者」はキーマンじゃないだろう。

「権限の移譲」について、異常なまでの抵抗を示す「日本のエンタープライズ」では、「アジャイル開発」は多分死亡フラグ。死亡フラグではないにしても、「銀の弾丸」にはなりえない。月並だけど、この世界はどんな手法であっても「適材適所」以上のものにはならない。