今はTVの改編期である。この時期は放送回数の調整の必要から、レギュラー番組は少なくなり、特番が増える。この特番を
改編特番
などと呼ぶというのは、まぁ一般人にはどうでも良いことである。
この改編特番でよくあるのが、前にも挙げたNG大賞だったりするわけであるが、同じように多いのが、今回挙げる
なつかしの××
である。
これらの番組はいずれも見てなつかしい。それ故に
あったった
などと楽しむのは悪くないし、子供を前に
おとーさんおかーさんの子供の頃
の話をするのも悪くない。そういった意味では
一家だんらんのテレビ
ということで、非常に良いものである。
しかし、そう言えるのも、これらの番組がごくたまに行われる場合である。ところが、この時期になると、いきなりそういった番組が増える。また、改編特番としてこのような番組をやるというのは、近年やたらに増えたような気がする。こうまで増えてしまうと、この手の番組を見る時の
わくわく感
が減ってしまうのである。
また、この手の一見非常に良い番組と言うのは視聴率が簡単に稼げる。それはそうだ。なつかしさを味わいたい人は多少わくわく感が減っても当然見るだろうし、リバイバル流行りだったりするので、子供も見る。さらに良いことは、このような番組は一々制作する必要がない(ほとんどない)から、制作費が安くつく。つまり、局にとっては、
高視聴率が簡単に稼げる
ということで、とてもオイシイ番組である。となると、視聴率を稼ぎたい連中(営業や編成)にとっては、どんどんやりたい番組である。それゆえ最近やたらに増えたのだろうと思う。
とは言え、このような素材と言うのは、いわゆる
骨董品
と同じで、いくらでも後から生産させるというものではない。また、テレビが本来的に持っているべき
先進性
というものはまるでない。つまり、このような番組で視聴率を稼ぐということは、言うなれば
遺産で食っている
ようなものである。だから、このようなことで視聴率を安易に稼ぐということは、
遺産で放蕩
しているのも同然である。テレビマンはその辺は心して欲しい。
また、このような「なつかしの××」は、CSでは結構レギュラー番組としてやっている。現時点でざっと挙げるなら、「宇宙戦艦ヤマト」やら「仮面ライダー」やらのアニメ系番組や、「太陽に吠えろ」のような人気のあったドラマは、たいていやっている。このような零細のCS放送局がやっているのと同じようなことを、大企業たる地上波放送局がやるというのは、何ともなさけない。
また、CS放送がより普及すると、このような番組で視聴率を稼ぐということは、何も地上波放送局でその断片をやったくらいでは出来なくなってしまうだろう。何しろCSだと特番ではなくレギュラーだから、その気になれば全部見れるのだ。
ところが、このような安易な方法で視聴率を稼げば、その分番組制作力は落ちる。CS放送に押されてからあわてては遅いのだ。