ちょっと時期はずれのネタになってしまったが、テレビ改編期、特に年末あたりの番組ネタとして「NG大賞」というのがある。つまり、番組収録中に出したNGを集めて番組を作るわけである。これが結構お手軽に視聴率も稼げるということで、時期によってはそこらじゅうの局でやっている。
他人のNGは面白い。特に普段シリアスにやっている人のNGなぞは、現物を見なくても、それが存在すると思うだけでも痛快である。時にはそーゆーものをまとめて見たい気持ちにもなる。
しかし、ちょっと待って欲しい。テレビと言うのは本質的に
仮想空間
なのである。つまり、全ては虚構である。ところが、NGなどというものは、仮想空間構築上の失敗であり、その公開は仮想空間を
崩壊
させる行為である。ひらたく言えば、「ドラマ」という仮想空間での出来事がNGなどというもので崩壊させられてしまえば、それ自体で
どっちらけ
なのである。確かに面白いのではあるが、その代償で仮想空間の楽しみを捨ててしまっているのである。しかも、それがごくたまであるなら、
たまには楽屋落ちもいいか
と思うのであるが、あまり度重なると、
テレビそのものの否定
になるのではないか。「タレントの素顔が見えるのも良いよ」という声もあるだろうが、それは突き詰めれば、
ストーリーよりもタレント
的な安直な視聴率稼ぎと表裏でしかない。
ついでに言えば、
○○大賞
というやり方もどうかと思う。素直にNGだけを集めて笑うのなら、それはそれでまだ許せるのだが、それに「大賞」などということで順位をつけたり、賞を与えたりするのは、どう考えても
異常な行為
である。NGとはあくまでも失敗であるからだ。