Facebookで「ネット探偵」をした話

もうほとぼりが冷めただろうから、注意喚起とゆー意味で書いておく。

先日、「探偵」もどきの依頼を受けた。わかっているのは、だいたいの素性と本名(後に本名でないことがわかる)。そこから、より詳しい

  • 住所
  • 勤務先
  • 行きつけのスポット

等を洗い出してくれとゆー話だ。

この他にわかっているのは

Facebookを使っている

ということくらい。もうちょっとネット民になじみのあるように書くなら、「Facebookから個人情報にどこまで辿りつけるか」という話だ。

以下、特定されないように適度にぼかしたりfakeを入れたりして、だいたいの方法について書いておく。

とりあえず本名でFacebookの検索をかけてみる。「本名」と言っても文字はわからないので、ローマ字で入れてみる。そうすると、なんとなくそれっぽい人が複数見つかったので、アイコン画像を確認してもらう。「アイコン画像」と言っても、正面から撮られたものではなくて、後頭部を写したもの。女性のアイコンにありがちの奴。とは言え、依頼人はわかっているので特定はできた。

Facebookのページがわかったところで、個人情報だだ漏れ状態になっているとは限らない。件の人については、ほとんど何の情報も出ていない。まぁ、Facebookの恐しさを知っている人なら、これくらいの対策は常識だろう。さて、仕事はここからだ。

個人情報が置いてあるのか、公開されてないだけなのか。そんなことはわからないし知る術も(多分)ない。幸いにしてとゆーか本人にとっては不幸にして、「ウォール」は公開されている。ここから情報を拾う。

まずは自宅住所の推定。Facebookのウォールには、「どこからポストしたか」という情報が勝手につく。もちろんこれはつけないように設定出来るのだけど、特に外さない限りはついてしまう。と言っても、区止まりの情報なので、それ程精度が高いわけではない。余談だけど、この情報は結構揺らぐ。携帯だとかなり精度は高いのだろうけど、それ以外だとそんなに正確にわかるわけでもない。私の場合、この揺らぎは「千代田区、台東区、文京区」の範囲になる。揺らいでるのがこの3区に跨るとゆーことは、この3区の境界付近だろうとゆー見当がつく。確かに、ちょっと歩けば千代田区、文京区だ。

ポストによくついてる土地が数カ所に絞られる。勤務先のグループはわかっていたので、一つは職場からだろうと思われる。職場の写真をポストした時の位置情報もあるので、1つは職場ということで除かれる。

ウォールに書かれた話、写真から想像して、住所とおぼしきが1つに絞られる。

今時、携帯で写真を撮るとEXIFに位置情報がついているのだけど、Facebookはアップロードされたところで、そういった情報は除くらしい。なので、ウォールの写真からピンポイントで住所に到達することはない。とは言え、だいたいの住んでいるところとか職場の住所はわかるし、そうなれば電車の路線もわかる。そこまでわかれば、そこからは本物の探偵さんにでも張ってもらえばいい。何の手掛りもない状態で依頼すると高くつくらしいけど、これくらいわかってりゃいろいろ楽だろう。

それ以外の個人情報も、ウォールとか友達関係から結構わかってしまう。同僚、同級生、恩師… そういったものがわかれば、結構精度良くわかってしまう。タメ口きいてるのは、たいてい同僚か同級生。その勤務先なり出身校なりを適度に名寄せすれば、そういったのはわかる。

後頭部だけじゃなくて、正面から見た画像も欲しいなと思ったので探してみる。これも意外なところからわかってしまう。ウォールに書かれた「○○のイベントに行きました」ということと、外部の知人(恩師?)が書いたと思われるブログに書かれたそのイベントの話が一致してしまった上に、件の人に会って記念撮影とかした画像が発見された。ほぼ正面からの画像が入手出来たので、探偵さんにも頼みやすかろう。

「行きつけのスポット」についても、ウォールの画像からわかってしまった。ある教室の予定表の写真が貼られていて、その教室について調べると、「ポストについてる位置情報」で開催されてる教室がわかった。あとは、そこのホームページでも調べればわかる。

ということで、Facebookにほとんど個人情報を公開していなくても、ウォールがあるだけでかなり細かい個人情報に到達できる。ウォールはつまり「定点観測」みたいなものなので、これを分析すると、いろんなことがわかってしまう。当初「本名」だと思っていた名前も、ウォールの情報とGoogle様を駆使することで、戸籍名ではない(通名?)ことがわかった。家族と同居しているかどうかも、独り言っぽいことからおよそ見当がついた。つまり、世間で言われているような、「プライバシー管理」をしたところで、やる気でやればかなりのことがわかってしまう。

これを以ってして「Facebookは恐しい」とか言うのはナンセンスだ。同じ手口はmixiでも可能だろうし、SNSでなくてもブログでもTwitterでも同じことだ。また、本人が気をつけていても、周囲に自分の情報をだだ漏れにしている人がいれば、そこから結構な情報が漏れてしまう。とか考えると、もう止めることが出来ると思うこと自体がナンセンスなファンタジーなのかも知れない。