例の韓国のIPアドレスの件

私よりも頭良くて経験豊富な奴が書くと思うんだけど、とりあえずFacebookに書いたので、修正転載しておく。

ネトウヨが韓国の悪口を言うのは、パン屋がパンを売るようなものだと思うのだが、腐ったパンを売るのは悪いパン屋だ。

例の韓国の件で、「よそのグローバルアドレスつけるなんてwww」とか言ってるガキが多いので、解説しておく。まぁ、彼の農協がそういった事情であるかどうかは別だが、「未開の韓国人」的なイメージと共に語ってる恥知らずがいるので、黙らせておきたい。

「ローカルIPアドレス」とゆー概念が一般的になったのは、RFC1918によるものだ。

プライベート網のアドレス割当

これ以前は、そういったものはなかったので、IPを使う時のアドレスはちょっと苦労したものだった。何せ今ほどネットワークについてわかりやすい解説書はなかったし、「わかってる人」も今の目で見ると、「ちっともわかってない人」程度の知識でなかったりした。

LAN上のプロトコルとしてTCP/IPが一般に普及したのは、1980年代の半ば頃からだ。その当時は「イソターインターネット」なんてものは、一般には存在していなかったので、LAN間が接続されるなんてことは想像もしなかった。だから、IPスタック設定の説明書に「IPアドレスは…」とか書かれていても、なんつーかピンと来なかったものだ。しょうがないから、適当な数字を使う。

そんな時代のネットワーク機器ってのもいい加減なもので、デフォルトのIPアドレス設定が、なんか適当なアドレスだったりするのはザラだった。今だと192.168.0.1がルータのLAN側のデフォルトアドレスだったりるうので、「よそのグローバルアドレス」なんてつけるアホはおらんけど、その当時はそのアドレスがよそのグローバルアドレスだったとゆーベンダーも少なからずあったのだ。そこで「適当な数字を使う」のガイドラインが出来る。買って来たネットワーク機器についてたデフォルトのアドレスを使うのだ。頭いいww

そういったいい加減さでも誰も困らなかったのが、インターネット以前だ。でも、その当時からnfsとかtelnetとかは便利に使っていた。てか、それは

LANのコマンド

とか思っていた。そんな時代であっても先進的なところは、それなりの規模のLANを構築していた。特にメインフレームがあったところだと、端末の配線が結構大変だったり、分配装置がいい値段だったりしたので、LANはかなり重宝されたものだ。メインフレームやUNIXのあったところは、Netwareとかはお呼びではなかった。

そういったものがインターネットにつながるようになったのは、1990年代の後半以後だ。その頃から「そのうちIPv4のアドレス足りなくなるぞ」な話はあったし、それ以前(1990年代前半まで)はclass Aやclass Bを大判振舞いしていたのが、90年代後半になってくれるのはclass C単位とかCIDRでもっとちっちゃい単位とかもらうようになった。

その頃NATとゆー技術が開発された。初期はアドレスだけのマッピングだったので、グローバルアドレスがいっぱい必要だったけど、masquaradeなんつー「LANのアドレスとポートをグローバルなアドレスにマッピングする」とゆー技術が出来たので、IPアドレスの問題はいろいろ楽になった。お陰で、RFC1918に従ったアドレスだろうが、そうでないアドレスだろうが、うまい具合にインターネットに出て行けるようになった。

ネットワークのおもりやったことがある奴ならわかると思うが、IPアドレスのつけかえは面倒臭い上にリスクがある。クライアントだったら今時はDHCPだったりするから問題ないのだけど、サーバのアドレスを変えるのは当該サーバだけではなくて、そのサーバを参照しているところのアドレスまでつけかえなきゃいけなかったりするので、相当に面倒臭い。そこで、RFC1918が一般的になる以前に構築されたLANは、いまだに「適当なアドレス」が振られたままだったりする。私も比較的最近そんなLANに遭遇して、「そーいやーそんな時代もあったよな」とか思い出したものだ。

ローカルにグローバルのアドレスを使っていて困ることと言えば、

正式にそのグローバルアドレスを持っているところには接続できない

とゆーことぐらいだ。使ってるアドレスの規模にもよるだろうけど、仮にそれがclass Aだとしても、接続出来ないところはインターネットの1/256に過ぎない。本当はもうちょっと確率高いけど、大雑把にそんなものでしかない(あくまでもアドレスの確率)。そこが重要なところであれば、アドレスつけかえするコストを払う価値はあるけど、どうでもいいところだったら別に困ったりしないから、放置してあっても不思議ではない。件の事件、中国のアドレスらしいけど、普通の韓国人は中国には用はないので、アドレスかぶっていても何も困ってなかっただろう。困ってなかったら、少なからず工数のかかる作業に金払う奴はいない。組織内のヲタはgdgd言うかも知れないが、そんなのクビにしちゃえばいいだけだ。コストバランス考えろよと。

まぁそんなわけで、韓国の農協が中国国内に割り当てられたグローバルアドレスを使っていたなんてことは、歴史的には不思議でも何でもないし、それが「今」であっても殊更に問題が起きるわけでもない。また、それを誤認したとしても、あらゆる可能性を考えない限り、「勝手なグローバルをローカルに振っていた」と断定するのは難しい。まぁ、「中国からだ!」とか言っちゃったのも、相当アレではあるけど、素直に「間違いでした」って発表したのは、少なくとも一連の「猫事件」の捜査当局よりは知性がある行動だwww

PS.

仙石氏から、「最初に出たのはRFC1597だよ」と指摘を受けた。

閉じたインターネットの為のアドレス割り振り

「歴史」と言う意味では、現行RFCではなくて、先に出た方を挙げるべきなので、↑の文章は

s/RFC1918/RFC1597/g

s/1996年/1994年/g

と読み替えて下さい。となると19年も前なので、ますます知らん奴が増えて来るなぁw

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This entry was posted on3月 23rd, 2013 at 11:43:51. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. Responses are currently closed, but you can Trackback..

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