7805と7905は非対称

ハマった話を書くと、技術的にアレだと思われるのは残念だけど、知っておくと良い話なので。わかってる人にとっては読む価値がない。

負電源というのは、あまり縁がない。近頃はせいぜいDCアンプ… Op Ampとかオーディオアンプとか、そんな時にしか使わない。昔はロジックLSIでも負電源を要求したものがあったりもしたのだけど。

そんなわけで、79xxという3端子レギュレータを使うことはあまりない。最後に使ったのは、Lkit-16の時か。もう30年以上も前だ。

今回は、わけあってOp Amp回路を作る必要があって、負電源が必要となった。まぁ、今時はOp Amp回路と言っても、片電源で良いものを使うとか、レールスプリッタを使うとかが普通なのだけど、いろいろ実験をする必要があるので、きっちり正負電源を用意して試そうとか、そーゆーこと。量産っつーか基板起こすようになったら、またいろいろ考えるのかも知れないけど。

ついでなので、実験に便利なように

  • +5V
  • -5V
  • +12V
  • -12V

が出せる電源を作った。と言っても、元は100Vではなくて、汎用4端子直流電源、世間ではUSBと呼ばれるものを元に作る。つまり、+5Vを元に4種類作る。

まず、12Vを作る。これにはCOSELSUW30512を使った。

この選択に凄い意味があるわけではないのだけど、お手軽に正負の12Vを5Vから生成出来るし、値段も安い。千石の店頭で手に入る。容量は小さいけど、元がUSBだし、実験で使うのは高々Op Ampが数個だから、そんなに電流が取れる必要もない。ちゃんと作り用の電源は、別途若松で購入して来た。

出来た12Vを元に5Vに落とすのは、お約束の7805/7905。ここでハマる。

そもそも、「どうせ元はUSBの5Vなんだから、正電源はそのままで良くね?」と手抜きをすることを考えていた。となると、とりあえず必要なのは-12Vから-5Vを作る7905の回路。7905はとりあえずピンコネクションをちゃんと調べて、動作する回路を組む。ちゃんと動いた。

これで「やったー、汎用実験電源出来た!」と思って使っていたら、なんともノイズが凄い。何のノイズだろうなと調べたら、+5Vに結構なノイズが乗っている。調べると12Vを作っているSUW30512のスイッチノイズだった。まぁ、それはありがちのことなので、パスコン入れて… とか一瞬思ったのだけど、よく考えたら5V側にレギュレータを使ってない。まー、USBの5Vとか言ってもそんなに正確じゃないだろうし、どうせパスコン入れるんだったらと思って、7805の回路を組む。もちろんピンコネクションも念のため調べる。まぁ、7805のコネクションなんて調べるまでもないんだけど。

回路組むなら、出来るだけ対称形にしたいなーとか思って7905の方の回路を見ると、なんかまるっきり違う。最初にちゃんと動いていたのは偶然だろうと勝手に思い込んで、リワークする。7805と同じような配線にした。

わかってる人は「馬鹿…」と思うだろうが、

7805と7905はピンが違う。

3番(向かって右端)が出力であることは同じなのだが、7805の入力は1番、7905の入力は2番だ。

まー、そんなわけで、リワークして逆に誤配線してしまったとゆー。幸い、GNDの配線を忘れるとゆーチョンボやらかしていたので、「炎上」は免れたのだけど。

まー、気がついて直せばどうってことない話。

で、ここでちょっとした疑問を感じるわけだ。こんなピンを入れ替えて

誰得

なのかと。

パターンを作る人にとっては、正負電源みたいなものは、なるべく対称形の方が嬉しい。その方が間違いは少ないし、部品の置き方も楽だし、見た目も美しい。それなのに、なんでこんなピン配列になっているかと。

この辺Twitterで嘆いていたら、訳知りの人が教えてくれた。それは、

プロセスの都合

であると。7805も7905も、同じプロセスで作られるので、Siの基板はどちらもp型半導体。

以下、わかってる人にとっては完全に余談。てか、このエントリ自体がわかってる人にとっては余談に過ぎないんだけど。

p型半導体の基板で、通常のプロセスでICを作ると

基板は一番低い電位

でなければならない。なんでそうなのかとゆーのは、p型基板のICの図でも見て考えてみるといい。もし基板の電位が一番低くなかったら、寄生ダイオードのせいであっちこっちショートしてしまう。最初のところで、昔はロジックLSIでも負電源が必要だったと書いたのだけど、それはいろんな事情から、基板をGNDよりも下にしなきゃいけなかったとゆー都合からだ。今時は負電源いらなくなっているけど、これは中で作ってるからだと思う。[要出典]

で、「一番低い電位」ということになると、正電源回路である7805の場合、GNDが一番低い。対して、負電源回路である7905の場合、入力端子が一番低い。

端子が3つある半導体の場合、通常真ん中のピンは基板直結になる。てか、真ん中のピンにつながっている金属板の上にチップを載せる。リード線の構造的にそれが一番自然だからだ。そして、真ん中のピンはヒートシンクにつながっていたりする。

この結果、7805と7905はピンの使い方が違うことになる。と同時に、ヒートシンクの電位も違うことになる。7805だとそのままGNDに落としても問題ないが、7905は絶縁してやらないといけないし、うっかり7805のヒートシンクと接触すると、負電源の入力が地絡してしまう。

まー、言われりゃもっともだし、データシート見ながらだと間違えることもないだろうけど、「79xxは78xxの負電源版」みたいなウロ覚えでやってると、こーゆー失敗をやらかす。

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This entry was posted on8月 26th, 2013 at 14:32:45. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. Responses are currently closed, but you can Trackback..

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