技術者が読むと元気になれる「プロジェクトXモドキ文書」達

いろいろ書こうと思ったけど、単なるブクマ的エントリにすることにした。

ネットを探すと、意外なところに意外な文書が落ちている。「プロジェクトX」や「匠の時代」「メタルカラーの時代」といった、「エンジニア記」が大好きな向きには、なかなか興奮出来る文書達だ。それでいて、当事者がわりと淡々に書いていて、プロジェクトXみたいな余分な力が入ってない分、本家よりも好感が持てる。

エレクトロニクス立国の源流を探る

掲載されているサイトや古いエントリを見ると、アマチュア無線に特化した話かと思うのだが、途中からエレクトロニクス全般の話になっている。

産業技術史資料情報センター かはく技術史大系(技術の系統化調査報告書) 分野別全文PDF

「国立科学博物館の産業技術史資料情報センター」というのがあるらしい。内容は要するに文字通りだ。いろんな産業分野の歴史を調査整理した報告書のPDFらしい。ここはエレクトロニクスに限らず、いろんな産業分野のものがある。

コンピュータ博物館

情報処理学会のやっている歴史資料。まー、「本家」がやってるんだから、ある意味間違いがない。残念なのは、スポンサ()の関係かコンピュータメーカ偏重になっていること。まぁ、結局歴史の主流はそこにあるわけだけど。

 「メディコム開発物語」

三洋メディコムのレセコンの開発の話。単なる1メーカの製品開発の話だし、いわゆる「電子立国日本」的な話とは違った感じなのだけど、あえて挙げておきたい。それは、この「レセコン」がコンピュータの「正史」とは違ったものだからだ。

「正史」扱いされていないコンピュータと言えば、「FUJIC」がある。日本で最初のコンピュータでありながら、いろんな歴史から「なかったこと」にされている空気がある。まぁこれはおそらくは他のコンピュータの「系譜」から外れたものだからだろうと思う。それでも最近はいろいろ評価されてるっぽいけど。

「三洋メディコムのレセコン」はそれとはまた違ったコンピュータの話だ。読んでいると、「なんじゃそりゃ?」なアーキテクチャが出て来る。「目的を持って作る」というのは、そういうことなんだということ。

平成21年度 先端研究施設共用促進事業 「地球シミュレータ産業戦略利用プログラム」利用成果報告書

これはタイトルの通り、地球シミュレータについての成果報告書。報告書と言うか、エッセイくらいの規模で、何に使ってどんな成果が… って話なので、「プロジェクトX」的とはちょっと違うかも知れない。ただ、よく読むとそういった匂いがただよって来るものがあって、単なる報告書とは一味違う。「2番目云々」とかどーでもいーのだ。何番目かよりも「使える」ことが大事なのさ。

学術的ロボット研究の問題点について

これはさらに毛色が違う。「学術的ロボット研究」についての批判文書。これを書いているのは産総研のロボットの研究者だってところがミソ。

そう言えば福島の原発の事故にロボットを投入するって話があったのに、なぜか国産はみんなダメで… ってことを思い出しながら読むと、いろいろ面白い。

海軍レーダー 徒然草

最後はこれ。第二次大戦中の日本のレーダについて書かれたもの。技術的にも面白いし、当事者の話としても面白い。まぁ、今読んでどうなるってものではないんだけど、歴史として。

今から見れば「こんなもの」がかつては新兵器秘密兵器だったわけだ。

まぁ、探してみると、こんな文書は結構あちこちに落ちてる。それは「自分史」の一種として書かれたものもあれば、そこで朽ちて行くものを記録しようと書かれたものもある。調査されて書かれたもの、ライターが書いたもの、それぞれみんな趣きがあるのだけど、読んでいると

胸が熱く

なって来るものだ。「偉人伝」とは違った、むしろ「無名の社畜」みたいな人達が歴史を作って来たのが日本なのだなということを伝える文書達でもある。