「数値的目安」の解釈に注意

これは前のエントリとも関係があるのだけど。

1日8時間、週5日働いて年収139万円

これの元記事に、

時間外労働月80時間以上は過労死ラインだ。

言わんとするところはわかるのだが、これは危険なミスリードを誘う危険性がある。

ミスリードの例を書いてみよう。

私は別に残業が200時間なんて、別にどうってことがない。まぁ自由時間が減って遊ぶ間もないんだけど、逆にいろんなことに悩むこともないから、それくらいの仕事量はむしろ諦めもつくし仕事の没頭出来るんで、心地良い。徹夜ったって別に去年の今頃は5日くらい連徹やってたけど、まぁ今のところ生きてる。何を80時間くらいで騒ぐのだ? 80時間ならむしろ、少な過ぎて死ぬレベルだろJK

↑は実際のところ嘘ではない。と、同時に、これは「私の場合」でしかないのは言うまでもない。

時間だけの「80時間」ってのは、特に「好きな仕事をやってる」人達にしてみれば、むしろ物足りなくらいの時間で、ぜんぜん危機的でも何でもない。でも、今までの過労死の判決では、だいたいその辺の残業時間があると、過労死認定されているようだ。詳しいことは自分でぐぐってね。

もちろんその「80時間」は一つの目安に過ぎない。「過労死」の判定には、様々なポイントがある。でも、その「目安」が独り歩きすると、それはいつしか「暗黙の基準」になってしまう。また、「別にどってことないじゃん」って話にもなってしまう。

でも実際に「過労死」だってことにしたい人達(ここに非難的ニュアンスはない)は、その「目安」をベースに考える。本当なら過労かどうかってのは、時間だけで評価出来ないはずなんだけど、ついその「目安」の時間で判断してしまう。「あの人過労死だよなー」とか思っているものであっても、その「目安」に達してなければ「まぁ持病もあったようだし」的な話になってしまいかねない。

一度判断の土俵に載ってしまえば、単に時間だけじゃなくて多角的な判断がされる。残業50時間くらいであっても、実は過度なストレスがあったとかなら、その「過度なストレス」について判断されるようだ。でも、「目安」としてそこに至ってなければ、「過労死かどうか」という判断の土俵に載せられることすらないかも知れない。

「数値的目安」ってのは、非常にわかりやすい。でも、こういった「わかりやすもの」ってのは、思考停止を招きやすい。

この前のエントリを書いた後に思ったのは、実は

TOEICのポイントがハードルになってるのではないか?

ってことだ。大企業だと、TOEICが何点かで海外赴任があるかどうかを決めるとかあるらしい。留学する時もTOEFLの点数が問題になったりす。もちろんそれはそういったもののハードルとしての「ポイント」存在しているという事実は存在するのだけど、逆にそういった「ポイント」そのものが独り歩きしている。「海外生活させるには500点はないとね」的なものは「目安」として間違っていないけど、「500点はないと海外生活は出来ない」的な話になるとちょっと違うぞと。

「過労死」でも「残業80時間以上は過労死レベルだ」という「目安」は、独り歩きすると「過労死って言うには残業80時間以上ないと」的な解釈になると、それはちょっと違う。

この手の「目安」、特に「数値的目安」ってのは、わかりやすいし使いやすいのだけど、ついこういった妙な独り歩きをさせてしまう。だから、その分注意しなきゃいけない。むしろ、

わかりやすいものは疑え

というくらい注意しても良いかも知れない。

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This entry was posted on6月 21st, 2010 at 18:08:52. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. You can Leave a response, or Trackback.

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