ポーラーエクスプレス

ある日突然鰻が食いたくなったので、鰻を食いに。と共に映画も見ることに。

いくつか見たい映画もあったのだが、連れの希望で「ポーラーエクスプレス」を見る。内容はまぁ「お子様向けファンタジー」である。全編CGで、実写は0だと思う。少なくとも目立つ部分に実写はない。

# ストーリは書かない

連れは「もうちょっと頑張れば実写みたいなCGになったのに惜しい」とか言っていたのだが、以前「バットマン」だったかで、1シーン全部CGでやったらハリウッド俳優組合が騒いだとゆー話があったので、多分「実写みたいなCG」というのは俳優組合が許してくれないのだろう。今のCG技術で、ハリウッド映画くらい金かければ、やってやれないことはないはずだし。

内容そのものは「お子様向け」であるが、見ているうちに「これはなかなかのものだぞ」という気がして来た。

中でミュージカルよろしく人物(もちろんCG)達が歌い踊り始める部分がいくつかある。最初は「ホットチョコレート」を子供に配るシーンなのであるが、これを見るとなんとなく「サウンドオブミュージック」とか「チキチキバンバン」のような、「ミュージカル映画」が連想される。もちろん他のCGアニメでもそんなシーンがないわけではないが、それらを見てチキチキバンバンのシーンを連想したりしなかったのに、この映画では連想するのだ。「CGで作ったファンタジー」だから、「ありえない」シーンがいっぱいあるわけだが、それらも含めて、どうも「チキチキバンバン的」なのだ。つまり、この映画は、「現代の技術を使って作ったミュージカル映画」なのである。

実は偶然にもしばらく前、今日の連れに、「お前、チキチキバンバンって映画を見たことがあるか?」と聞いていた。そいつは「ない」と答えていた(こいつは随分若い)のであるが、その後で「現代にアピールするようなチキチキバンバンみたいな映画は作れないかも知れないな」と思ったものである。

「チキチキバンバン号」のような水陸両用万能自動車は、今ではかなり現実的な技術であったり、007の小道具であったり、あるいはSFの小道具であったりと、あまり「夢と希望」の世界のものではなくなってしまっている。「i,robot」の中のおまわりの自家用車みたいな車では、SFは作れても「ファンタジー」は作れない。また、時代の背景も、そういったものが「夢と希望」であるような背景であった。なので、現代ではもうチキチキバンバンのような映画は成立しえないだろうと思っていたのだ。

「ポーラーエクスプレス」は、ストーリも舞台も何もかも「チキチキバンバン」とは大違いではあるが、現代の技術を使い、現代を舞台にした「チキチキバンバン」なのである。時代がどれだけ変わろうと、「チキチキバンバン」のような「その時代を舞台にしたファンタジーミュージカル」は作れるということである。「現代にチキチキバンバンは不可能」という仮説をあっさり覆してくれた。そういった意味でかなりショックを受けた。

ついでに。最後のシーンで、車掌が「どこに行くかが問題ではない。乗ることが重要だ」と少年に注げるシーンがある。要するに「決断することが重要だ」と言っているのだ。ところがここについ、「反対向きの電車に乗ったらどうするのだ?(実は映画の後鰻屋を目指して電車に乗った。その時にこの話をしていた)」とか、「知らないおじさんに追いて行っちゃいけないんだよ」とかツッコんでしまった。この手のツッコみは、知識が増えれば増えるだけ湧いて来ることだと思う。しかし、そのツッコみは、件の台詞の本質から遠避ける意味しかない。知識が増えるということは、実は物事の本質から遠避かるということなのではないかという気もした。

「子供のためのファンタジー映画」のはずが、随分と自分を考え直させてくれる映画だった。

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