教材商法

就職景気が悪いんで、こんな話があるんだとか。

“就活商法”4年で4割増 消費者庁、大学に注意喚起要請

就活じゃないけど、新人の頃にご丁寧にも2度もやられ、さらに何度も騙されかけた私がちょっと語ってみる。まぁ、

遠慮なく騙されろ

なんだけど。

まぁもう20年以上も前のことだ。法律もいろいろ変わっているだろうし、手口も変わっている。でも、基本的なところはそんなに変わってない。

商売する方は、いろんな形で自尊心だとか向上心だとかを刺激して来る。でまぁ早い話が、

「こういったチャンスに自己啓発しないあなたはクズですね」

的な言葉をいろんな表現で言って来るわけだ。こっちも遠回しに「クズ」と言われると「いや、そうじゃない」って思うし、それが向こうの罠だ。

で、まぁ余裕のある時、時間のある時なんかは、あれこれ反論出来るので、「そんなの騙される奴が」みたいなことを思うんだけど、当然のことながら相手はそんな余裕は与えない。どんどん追い込むようにして来る。私の時は喫茶店だったけど、モノによっては事務所で「契約しないと帰れない」的な空気にされたりする。しまいには、「○万円契約すれば、もうこいつと話さないで済む」な気分にされたりもする。私が契約したのはそんな感じ。

で、いろいろ騙されない方法とかあるんだけど、あんまりそれは役に立たない。向こうは百戦錬磨だったり、ありがちな想定問答集があったりだから、素人がどうこう出来るもんじゃない。常識的な行動を取る限り、向こうの言いなりに契約してしまうことになる。そう思った方がいい。だから、まず取れる対応としては、

非常識な行動をする

ことだ。

私の場合は、喫茶店でのアポだった。電話で呼び出されてアポ取ってとゆーのは、アポイントメントセールスとゆー手法なんだけど、この手の商売のほとんどはこれだと思う。キャッチセールスなんてのもあるんだけど、それこそキャッチはスルーしておけばいい。まぁモテなさそうな男におねーさんがキャッチしたりする

エウリアン

もあるわけだけど、それはそういったお店に近付かなきゃいい。まぁ秋葉にもいるんで注意が必要っちゃー注意が必要なんだけど。

で、先にアポの方の話をしておけば、一番簡単なのは

すっぽかし

だ。すっぽかすと電話がかかって来ていろいろ言って来ることもあるけれど、「急な仕事で」とか言っときゃいい。多分相手は「社会人が約束した時間をどーたら」とか言って来るんだろうけど、「個人的なアポなんかより仕事の方がずっと重要です(キパ)」と言ってしまえば、「お前はダメ人間」攻撃も出来なくなる。そこで次のアポとか取られても、同じようにやってりゃ向こうも暇じゃないんで、アポの間隔がだんだん開いて来て、そのうち諦める。

それでもうっかり喫茶店に行ってしまったら、「逃げろ」と言いたいところなんだけど、それは机上の空論。たいてい、そう簡単には逃げられない席に座らされているから、トイレのフリをして逃げるとか無理。

そんな時には、トイレに行って携帯のアラームをセットして、これみよがしに鳴らして、あわてて電話に出るフリをしてその場を外し、「急用が」と言って消えるのがいい。その場で電話に出てお芝居するって手もあるけど、演技力に自信がある人でなきゃ無理。喫茶店で電話出るなんて「社会人として常識ある行動」じゃないから、席を外す。

で、まぁそんな工夫をやったところで、たいていは追い詰められる。私が二度目にやられた時は、「もうそんなの他でもやっちゃってるんで余裕ないです(事実)」とか言ったら、「じゃあ私の方でその契約を解除しますから」とかやられて、うっかり信じてしまった。ご丁寧にも翌日電話があって「今手続きしてますんで、もうちょっとお待ち下さい」とか。二度目でもそのザマだ。

そんなことで、結局契約することになるんだけど、遠慮することはない。ローンでも何でも組んで契約書にサインなり印鑑なり押してしまっていい。なぜなら、アポイントメントセールスで教材とかは、ほぼ無条件で

クーリングオフ

が有効だからだ。家に帰ってからローン屋に電話して、クーリングオフの連絡をすればいい。と言いたいところだが、向こうもプロだ。そう簡単にクーリングオフなんぞさせない。

まずあるのが、「時間稼ぎ」だ。何らかの約束をさせられて、クーリングオフ期間中にその連絡が出来ないようにさせられる。たとえばさっきの私の場合だと「今手続きしてますんで、もうちょっとお待ち下さい」って奴だ。つまり、「前の契約」を潰してもらうために待ってると、その間にクーリングオフ期間が過ぎてしまう。もっとも私の場合は、相手が引き延ばす時間を言うのを忘れたのか、「いつまで待て」がわからなかったんで、結局クーリングオフしてしまった。どういうことかと言えば、クーリングオフ期間が終わる前に第一回の引き落としが来たんだけど、

引き落とし口座に金なかったら落ちないんでね?

とか思って口座を空にしておいたら、案の定ローン会社から電話があったんで、事情を話したらクーリングオフにしてくれた。この時に知っていた知識は唯一、

契約が完了しなけりゃ金払わんでいい

ということだけで、クーリングオフのことなんてまだ知らなかった。ただ、「まだ約束(前の契約を解除すること)が果されてないんで金払えません」とローン屋に言い、「それは何だ」と聞かれて事情を話したら教えてくれた。ローン屋の口調が「またか」的だったので、多分札のついていた業者なんだろう。

あと、「エウリアン」にやられたのだと、おねーさんが「クーリングオフとかしないで下さいね。私が…」とか妙な身の上話をされてしまう。そこで、ついかわいそうになってクーリングオフしなかったりするとゆー仕掛け。でも、そんなのも気にすることはない。何しろ、「あなた」は

数あるカモの一人

に過ぎない。後から電話かかって来たりするかも知れないけど、それもスルーしとけばそのうちやむ。どんなに「いい感じ」の会話になっても、どんなにラブラブっぽい感じになっても、元々モテもしない「あなた」がいきなりモテになるわけがない。とにかく「数あるカモの一人」であることを忘れてはいけない。だって向こうはそれが商売なんだから。

まぁそんなわけでクーリングオフはありがたいことなんだけど、運悪くそれが出来なかった場合でも、諦めてはいけない。私の最初にやられた方は、クーリングオフ期間過ぎてから契約を解除した。

それはどうやったかと言えば、

契約解除の交渉をした

だけだ。それも一人で。

もちろん素人が一人だと、完全に馬鹿にされる。たいてい解除は無理だ。でも、そこで諦めないで、「非常識な行動」をするのだ。どうしたかと言えば、

駄々をこねる

のだ。私は適当な俺様論理で解除解除と言い続けた。そうしたら、相手はあれこれ言って散々馬鹿にしたあげく「続きは来週」と言い出した。これは知識のない私にとっては運が良かった。

「散々馬鹿にした」時に、相手は契約が解除出来ない理由を言っている。つまり、手の内を晒してしまった。私はそれを覚えて帰って、いろいろ調べ上げてから次回に臨んだ。向こうもまっとうな商売やってるわけじゃないから、探せば穴はある。この時の場合は契約が完了してないこと(教材は分割で送られて来ることになっていた)くらいが穴らしい穴だったのだけど。で、実は一番効果があったのは、

他の事例

の話だった。調べりゃ同様の事例なんていくらでも出て来る。20年前の当時だって、その手の本を買えばいくらでも事例が出ていた。今ならぐぐって5分もあればいくらでも事例は集まる。で、「あなたの言うことは正しい。でもそうだったらこんな事例はありませんよね」と言ったら、一瞬で引き下がってくれた。多分、いろいろマズいと思ったんだろう。

まぁ知恵のある人はゆっくりいろいろ考えたらいい。大事なのは、こういった交渉は最初のアポとは違って、

こっちのペース

だってことだ。テンパってることもなければ、急なことでもない。何なら「弁護士」でも連れて行けばいい。最初のアポと違って、一人で行く必要がないんだからどうでも出来る。あらかじめ消費者センターで相談することも出来る。打てる手はいくらでもあるのだ。好きなだけ「勝てそうな土俵」に持ち込める。

で、まぁいくつか騙された、あるいは騙されかけた経験から言えば、契約解除のためには、

  • 不本意な契約であること
  • どうせ相手は商売
  • 諦めない

ってことが大事。

「不本意な契約」ってのは、「やってみたけど飽きたので」とかってのはダメで、それは単なるクレーマーでしかない。それは相手のつけこむところだし、そもそもイタい。だから、「マズい契約をした」と思ったら、極力手をつけないことだ。私は逆に知識がなかったのが幸いして、「開いてなかったら返品出来るよね」とか思っていたんで、配送物の確認以上の開封をしなかった。「不本意な契約」ってのはそんなものだ。

まぁそんなことで、その場で契約しちゃってもどうにでもなる。下手な動きをして身の危険を感じるくらいだったら、契約したことにしてその場から逃げろ。逃げてしまえば「目の前の客」の立場から「数あるカモの一人」になれる。そうすれば、どうとでも出来る。

教材商法” への1件のコメント

  1. 今まで読んだおごちゃんの雑文の中で最も役に立つ記事ですね。
    ちなみに私の場合、「クズですね」と言われた場合、
    「ええ、その通りですけど、何か?(-ω-)ノ」
    で片付けますし、基本、ビンボーなので
    「ない袖はふれん。金がないのは首がないのといっしょやー」
    という西原理恵子的逃げをしておま(笑)

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