Googleの「どう思います」はそんなところにはないなぁ

何度か書いているように、私はGoogleはあまり好きではないので、その分割り引いて読んで欲しいけど。

ITpro読者の皆さん、グーグルのことをどう思われますか?

例としていくつか挙がっているけど、そんなところは別にどうでもいい。

私がアンチなのも同じような理由であるし、Googleの先行きに疑問を感じるのも同じ。

Googleを見ていて、いろいろ疑問を感じるのは、それが「普通の会社の常識からはマトモに見えない」ということ。もちろん、いわゆる「新しいやり方」を否定するつもりはないのだけど、そういった目先のことではなくて「深層」の部分に疑問を感じるのだ。

まず第一は、「顧客への対峙」だ。Googleで指摘される諸々の問題はここにある。AdSenceで一方的に契約を切られて文句を言っている人は大勢いるのだが、そういった類のことの「深層」にあるものが知りたいのだ。あるいはストリートビューに対していろいろ問題が挙げられたのだが、それへの対処もそうだ。どうも彼等の思考から「顧客」というものが欠如しているとしか思えないのである。

彼等は「顧客」をマスで把握し、マスで管理しようとしているようにしか見えない。確かに全世界の人を顧客にしようと思う会社なら、それはある程度しょうがないのかも知れない。とは言え、「マスは個の積み上げの結果」でもある。個人の満足なくして、マスの満足はないはずだ。

これは70億いる顧客と顧客候補の全てに対して個別に対応するべきというわけではない。でも、

いつでも個として対峙出来る

ことは、ビジネスとしては必要なことではないのだろうか? でも、Googleに「もの申し」て来た人達の話では、どうもそうではない。いわゆる客商売やってる者にとっては、どうしても「それでいいのか?」という疑問がわく。

第二はビジネスをどう考えているかわからないということ。「第一」で挙げたこともそうだが、それ以外のビジネスモデルもどうもよくわからない。

Googleは今のところ広告業だ。でも、どう考えてもいわゆる「挿入される広告」は未来がない気がするのだ。Adblockの類を入れられれば、見られることすらない。今はそんな人は少ないのだろうが、これからもっと増えて行くだろうことは想像に難くない。そうなると今のGoogle的ビジネスは成立しないだろう。

とは言え、Googleも馬鹿じゃないから、その辺のことはわかっているはずだ。となれば、「次のビジネスモデル」を考えていてもおかしくない。でも、あまりそれが見えて来ないし、見えているものに関しても成功している雰囲気がない。

まぁ他人が稼ごうがどうしようが、それ自体はどうでもいい。でも、ある程度稼いでくれなければ商売(サービス)は続かない。サービスの永続性が期待出来なければ、永続性を前提とした使い方は難しい。

Googleの諸々のサービスは、ほとんどが無料だし、「利用契約」というものがない。それはいろいろ敷居を低くしてくれていて良いのだが、それは同時に「サービス品質」の保証がないということである。こういった「ビジネスの基本」の部分が全く欠如している点で、いろいろ不安を感じる。

第三は「非ハッカーの待遇」だ。これもしばしば話題になるのだが、たとえばウェブデザイナの待遇は微妙なとこにあるらしいことは、「元中の人」が書いていた。「ハッカーの楽しい楽園」であることは、あちこちでマンセーされているのでよく知られているのだけど、「それ以外」の人のことはほとんど語られない。事務方や営業や、「普通のプログラマ」はどうなのだろうか。

よく比較されるMSは、その辺は何も不思議な状態にない。それぞれの人達がそれなりの待遇で雇用され、それなりに満足したり不満を持っていたりしている。いわゆる「普通にいい会社」だ。待遇だけではなく、ビジネスモデルも顧客対応も、それなりの水準でそれなりに成功している。だからまぁ、払えと言われたライセンス料だけ払っておけば、その商品の寿命の範囲であれば十分安心していられる。それが高いとか安いとか、あるいは良いとか悪いとかってことはあるけれど、それなりのレベルにあることは確かだ。永続出来るかどうかについても、単に「他人のビジネス」と割り切れる。でも、GoogleにはMSにさえあるような「安心材料」があまりない。

もちろん「Googleは今までの会社の常識を覆すものなんだよ」というのもわかる。「普通の会社」の「普通のサービス」では効率が良くないとかそういったのは、まぁよくわかることだ。

とは言え、「顧客」というのは保守的なものだし、サービスに期待するものと「会社の常識」とは関係がない。要するに「顧客」というのは、

良いサービスが安定して提供されることを期待する。

だけである。そのことさえ守られていれば、会社の内情ややり方なんてのはどうでもいい。

ところがGoogleは「顧客」としての我々が漠然として持つ期待や疑問に明確な答え、つまり「安心感」の元となるものを与えてくれていない。また、同業界で働く我々が納得出来るような諸々にも答えてくれていない。逆に言えば、「どう思います」については、そういった答えが返って来るような質問をしたい。

それと比べれば技術がどーだこーだとか、そんなものはもう飽きる程聞いて来たから、どうでもいいことだ。