在宅勤務

部下が、「私は休日出勤するのに他の人は休日は会社に来ませんよね」とか言っていたので、「他の人は家で仕事ができるようにしているのだよ」と説明をしておいた。

というように、弊社では在宅でお仕事するのもアリになっている。この業界、打合せとかがない限りは、家であろうが会社であろうが、やろうと思えばどこでもいくらでも仕事はできる。会社に来るといろいろわずらわしいことがあったり、気をつかったりすることがあるので、そんなことのオーバーヘッドが嫌な人は家で仕事していても別に構わないということである。だから、休日出勤はしなけりゃしないで済む。

であるが、個人的にはあまり在宅勤務というのは良いものでないなと思っている。なぜなら、人間は一般にバランスを取るというのが下手なので、「自分の労務管理」がうまく行かないからである。

仕事をするテンションの時、「疲れたら眠ればいい」という在宅勤務だと、つい働き過ぎてしまう。何しろ「いつでも眠れる」ということは「今無理して眠らなくてもいい」ということでもあり、そんな環境で働きまくるのだから、「本当に眠りたい時にだけ眠ればいい」ということになってしまう。働くテンションの時には結果としてほとんど休まないことになってしまう。これは確実に身体を悪くする。

逆に仕事をしたくないテンションの時、「無理に時間分働かなくてもいい」という在宅勤務だと、ついダラダラしてしまう。まるで働く気が起きなかったりする。もちろん心の底では「働かないと」という気はあるのだが、仕事するという行動にまでは至らない。そんな時には「働かないといけない」という義務感と、「働きたくない」という気分にはさまれて、なんとなく鬱になって来たりもする。

職場に行かなければならないという義務があれば、これらのアンバランスさが強制的にリセットされる。なので、自分でペースを作るのが下手な人でも何とかなる。

それとは別に家庭のある人だと、在宅だとつい家事をしてしまうという問題がある。特に恐妻家の人なら、この辺は理解できると思う。調べものでwebでも見ていたのがバレた時には「遊んでる暇があったら家のことをやれ」と言われてしまうであろう。うっかり息抜きもできないから、少なくともずっと仕事が忙しいフリはする必要がある。

というように、在宅勤務は何重もの障害が存在する。在宅勤務できるというのは、一種の理想のように思っている人も少なからずあるようだが、現実にそれが可能な状況が揃ったところで、それをするかどうかについては、私は消極的な意見を述べざるをえない。あくまでも緊急避難的に「家でも仕事ができる」という程度に思っておく方が良いと思う。

これが私が在宅勤務を何年かやって来た経験である。