「三波春夫」の呪縛

遊技場通信メルマガより。

4月14日の午後3時55分ごろ、鹿児島県加治木町の「マルハン加治木店」の駐車場に止めていた乗用車内で、鹿児島市内の1歳7カ月の男児がぐったりとしているのを母親が見つけ119番通報した。男児は病院に運ばれたが、約1時間10分後に死亡。鹿児島県警では熱中症とみており、詳しい死因を調べるとともに、重過失致死などの疑いもあるとして、母親から事情を聞く方針。

加治木署などの発表によると、母親は男児を車内に寝かせてパチンコをしていた。鹿児島地方気象台によると、近くの霧島市牧之原ではこの日の午後、最高気温21・9度を記録、5月中旬なみの暖かさだったという。

今回の事故を受けてマルハンは同日、亡くなった男児と遺族に哀悼の意を示すとともに、事故の概要を発表。それによると、母親は同店併設の小学館プロダクションが運営する託児所に午後2時ごろ訪れ男児を預けようとしたが、託児所の定員がいっぱいであったことから、託児所運営の安全管理上の理由で断ったという。また、同店では1時間から2時間おきに駐車場清掃時に安全点検をスタッフが実施していたが、今回は発見できなかった。マルハンでは同日付けで駐車場の見回りと、店内放送の徹底を全店舗で行うように通知。再発防止に努め、安全管理の徹底を促していくという。

なかなかやり切れない話だ。

私はパチンコは好きだ。最近は出なくなったし暇がないので行かないが、かつては給料日前に出掛けては「あと数日分」の生活費を稼いでいたものだ。だから、パチンコ自体にネガティブイメージはない。「朝鮮玉入れ」とか「北との関係」とかいろいろ言われるのだが、パチンコで学んだビジネスセンスというものもあるので、あまり悪いようには言いたくない。元々タバコは苦手だったのだが、パチンコで慣れたりもした。

とは言え、どうもパチンコ屋に漂う「DQN臭」はあまり好きでない。勝ってる人負けてても遊戯と割り切っているのか余裕を漂わせている人はいいのだが、たいていの負けている人余裕のない人は見ていてイライラする。まぁ気持ちはわからんではないが。

というのはいいとして、件の事件をよく見ると、店はちゃんと託児所を持っていた。駐車場の巡回もしていたと言う。確かに結果論で言えばそれらは役に立ってなかったということになるだろうが、これらがなかったらもっと多くの幼児が犠牲になっていたのではないかと思うと、店としては上出来なんじゃないかと思う。実態として、託児所や巡回がどうであったかは想像の域を出ないが、マルハンは会社としてはそれなりに悪くはないから、「一応やってます」以上のことはやっていたのではないかと信じたい。

てか、託児所や巡回の実態や真偽はどーでもいい。とにかくそういったシステムは少なくとも存在していたという点が重要。

人は甘いもので、そういった「セーフティーネット」があると、そこに甘えてしまう。最初からないのなら、「幼児がいるからパチンコしない」ということを思う人であっても、「今日は打つぞ〜!」と気合を入れて出て来て、頼りにしていた託児所がなかったら、「ちょっとなら」とか思う人がいてもおかしくない。もちろんそれはダメに決まってるのだけど、

余裕のないDQN予備軍

にそこまでの理性を期待する方が無理だ。出掛ける前には「幼児いるから」とやめることが出来る人であっても、目の前にパチンコ台がある状態でやめるのは難しい。

店としては、そういった「幼い儀牲者」を少しでも減らす努力をし、またそういった「やりたいけど難しい」な層の需要を掘り起すということで、最善の努力をしていたのだろうと思う。パチンコ屋の経営の厳しい昨今、「やりたくてもやれない」人を来やすくするのは、当然の企業努力だ。そういった意味ではよくやってると評価していいと思う。

ところが、それは同時に「DQNを甘やかす」ことになってしまう。

そもそも、あらゆるマーケッティングは

いかに顧客の不満に応えるか

ということである。ところがそれは行き過ぎれば当然、「顧客の甘やかし」につながってしまう。企業とすれば、顧客に便利さ快適さを与えるのが、良いマーケッティングだ。ところが、それが行き過ぎれば、顧客を甘やかすことになってしまう。いくら立派な企業理念があっても、そんなものとは関係なく「より多く顧客を甘やかした」企業の方が儲かるものだ。通常の企業努力を越えて値段の安い商品は、いろいろと疑うべきものであるのに、「安さは正義」とばかりに安いところに飛びつくというのは、その典形だと言える。

まー、そんなわけで件のパチンコ屋はいろいろな意味で万全を尽した。それは「安全」という意味でもそうだし、「顧客サービス」という点でもそうだ。ビジネスとして責められることは何もない。

ところが、それは同時に顧客を甘やかし過ぎたということでもある。もちろん、自分たちが何とか出来る範囲で頑張るのは、いい努力だ。しかし、それを越えてしまったところで何が起きるかまでは把握してなかっただろうし、それが起きる危険を作ってしまったのも店の問題だ。限界を越えてしまうまでは、彼等の努力は賞讃されるべきことだったと思うが、限界を越えてしまったところで、潜在的な問題が表面化してしまったわけだ。そして、その潜在的な問題というのは、「顧客を甘やかした」ということだ。「セーフティーネット」があるのは悪くない。でも、そこでトランポリン遊びをさせてしまってはいけない。

とは言え、そんな深層の現実とは無関係に、顧客は自分を甘やかしてくれるサービスを求める。サービス側もそれを知っているから、どんどん顧客を甘やかして行く。顧客はわがままの限りを尽し、限界を越えさせる。そして、サービス側の限界を越えさせて起きてしまった問題は、「企業の責任」ということになる。

そろそろ「お客様は神様です」から脱却して行かないと、この国はどうかなってしまうのではないか? まぁ国内企業が正しい「理念」を持ったところで、海外企業が甘やかしに来るのだろうけど。

「三波春夫」の呪縛” への4件のコメント

  1. パチンコの経営母体が、この国の人ではないからね。
    脱税天国まんせー。

  2. それはここで挙げている問題の何と関係がありますか? 別に「パチンコ屋の問題」を言っているわけではないことは明白だと思うのだけど。

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