Google Adsenseはダメな件

Geekなぺーじより。

Adsenseを貼り付けているだけで評判が落ちてしまう恐れ

ちょうど部下とそんな話をしていたので、とてもタイムリー。

Google Adsenseは、そのページの内容に合わせて広告を出してくれる。お手軽にアフェリをやりたい人にとっては、とても楽なシステムだ。ページの内容に合わせた広告を出すのは、視聴者の興味のベクトルと一致した広告になるのだから、たいていはうまく行く。

とは言え、そうそういつもうまく行くとは限らない。最近気になったのは、Geekなぺーじでも触れられているような、「情報小罪^H^H商材」の類なのだけど、これに限らないで普通の広告もダメな時はダメ。

これはあくまでもテレビ屋のセンスなんだが…

たとえば、「トヨタ」がタイム契約をした番組(要するに「提供」と出ている奴)に「日産」がスポットCMを入れることはタブーとされている。それどころか「事故」として扱われ、下手すれば保償の対象になったりする。つまり、競合する広告を入れることはダメということだ。これはスポット同士でも問題にされ、たとえば競合する広告が同じ枠に中にあると事故になったり、そこまで厳しくなくても続いていたりすると事故になったりする。まぁそれを事故にするか笑って済ませるかは、いろいろな条件によるのだけど、原則的には禁忌。

ところが、「提供」になっていることと「本編」が何であるかというのは、必ずしも一致してないし、いくら提供になっていてもベタベタなPR番組になっていることはおよそない。でも、無関係な内容の番組に提供することもないから、自動車会社が提供している番組のスポットには、自動車会社を選んでしまいやすい。まぁその辺は人間がやっていれば避けるので、実際に入りはしないのだけど、単純に意味処理だけでやるとそうなってしまう。

こういったわかりやすい「競合」なら、競合の情報を入れてしまえるのだが、昨今の家電のようなものだとわかりにくい。たとえば、「Blu-Ray」が先日HD DVDに勝ってしまったわけだけど、その原動力の1つがPS3であったことは想像に難くない。「次世代DVD」という観点だと、SONYと東芝は競合関係になるのだが、そのPS3のCPUという観点だと、SONYは東芝に作ってもらっていたりするわけなので、協力関係にあるとも言える。これがコンピュータメーカの話になったりすると、もっともっとややこしい。だから、「競合」という情報を入れることも、それを運用することも容易ではない。

また、実際にあった話だと、確かZakZakがGoogle Adsenseを使っていた頃、「バリ島の爆発事件」という記事があった。テロだったか何かでディスコが爆発したとか、そんな事件だ。その事件の広告は「バリ島の観光なら」という類だった。まぁそりゃ「本編」がバリ島の話なんだから、広告として「バリ島観光」が出て来るのは、あるい意味正しいのであるが、同じものを扱うのにポジティブな扱いかネガティブな扱いかによって広告の見られ方は違う。テレビのセンスで言えば、本編でネガティブに扱っているものの広告を出すのは、「事故」である。

広告で「事故」を起こした時は、たいてい「保償」する。それはたいてい事故に見合うだけのCMを無償で出すことを意味する。

そういったことで、たいていの場合だいたい上手く行くであろうGoogle Adsenseのやり方は、たまにこういった「どんでん返し」的なものに遭遇してしまう。もちろんGoogleのことだから、精度を上げる努力はしているのだろうが、人手でやるのも容易でないレベルのものがある世界なので、なかなか簡単には行かない。そういったことを考えれば、あの手のものは出さない方が無難と言える。Zakzakの広告ががGoogleではなくAmazonになったのは、「メディア会社」としては妥当な選択と言える。

広告に対する「ヒント情報」を与えられるようになっていれば、そういったことも減るのだろうが。

まぁ出稿する側にしてみれば、「悪い宣伝はない」という話もあるので、「間違って出した」の類で保償されるのは、何度もおいしいと言えなくもないが、メディア側としてはみっともないことに変わりはない。

なお、Geekなぺーじの方で「評判が落ちてしまう恐れ」とあるけれど、それは間違い。「恐れ」どころかはっきり

落ちてしまいます

件のエントリの中で書かれているように、一般視聴者は「広告の信用は媒体の信用に裏打ちされる」ものだと考えます。だから、逆に広告で騙された人が出た場合、それは媒体の方にはね返ります。「あれはあくまでも広告だから」という言い訳は(法的な問題はどうだか知らないけれど)たいてい通りません。そういったことがあるものだから、既存メディア(テレビ新聞雑誌)は掲載する広告を選別するのです。

また、

Adsenseを見慣れていて、それが広告だとわかる人が多い業界であれば何の問題も発生しませんが

なんてのが通用するのは、ごく一部のGoogle Adsenseの理屈がわかっている人だけ。たいていの人はそれはわかっていません。それに、そういった広告配信メカニズムを採用してしまった責任は免れません。テレビで言えば、「ダメな広告代理店に枠を任せてしまった」のと同じなので、その「ダメな広告代理店」に任せてしまったという時点でアウトです。

そういったことを考えると、Google Adsenseを使うというのは、「媒体」としては非常に危険な行為だと言わざるをえません。悪い噂もいっぱい聞くものでもあるので、

Google Adsenseを使ったら負け

と思っておいても間違いはないでしょう。まぁ素人にはお勧めしない。