「たかだか数1000億」で騒ぐな

ちまたでは、年金関係の役人やら、機構やらが数1000億の無駄使いをしているとかと騒いでいる。確かに数1000億は大金だし、一種の目的外使用なのだから許せるものではない。

とか言え、年金の問題で言えば数1000億は、「たった」なのだ。このあたりの問題で騒いでいるのは、問題を矮小化するためでしかない。

本当の「年金問題」と言うのは、積立財源が230兆あるのに、それを170兆だと言い張る政府にある。60兆も違うのだ。それから見れば数1000億なんてゴミでしかない。

この違いは何かと言えば、その算出方法にある。年金の収入の見積りと支出の見積り、積立額の見積りが違うからである。

年金の収入の計算の時は国民年金分だけの計算である。それゆえ、積立額の計算の時も国民年金分だけを計算している。これが約170兆。ところが支出を計算する時には、なぜだか企業年金分も込みになっているのだ。企業年金分が約60兆ある。つまり、「収入や積立の計算の時には、国民年金分だけなのに、支出の計算の時には国民年金分+企業年金分になっている」のである。そしてマズいことに、この計算方法の違いについては、年金関係の委員ですら知らない。医療系のマスコミの連中も知らない。だから、「積立170兆」であり、「支出見積りは危機的」になるのである。

ちなみに、230兆あれば普通の経済成長(3〜5%)を続ける限り、支給財源については問題ないはずである。それでうまく行かなかったら、それは様々な無駄使い(返すアテのない地方債とか無意味な市場介入)に使ったということである。

といった大問題が実はあるのに、高々「数1000億」の「使い込み」に対して騒いでいるのは、問題の隠蔽でしかない。

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