小学生の疑問にお答えします。
回答者:大森 孟
(Q11)質問です。
東京都や埼玉県には森林はありますか。
(A11)お答えします。
東京都も埼玉県も森林の面積は都や県の面積の3分の1強が森林です。東京都
も埼玉県も西部の地域が山岳地帯になっており、その地域に森林が多くなってい
ます。
日本全体では、国土の面積の67%(約3分の2)森林です。このことから考え
ると、東京都も埼玉県も森林の多い方ではありません。
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(Q12)質問です。
びせいぶつは、洋服にもついているのですか。びせいぶつは、死ぬのですか。
(A12)お答えします。
みなさんは「ばいきん」という言葉を使うでしょう。あれが微生物をあらわす
ことばのひとつです。微生物は、大きく分けると
[1] 細菌(さいきん)
[2] 糸状菌(しじょうきん)
[3] 原生動物(げんせいどうぶつ)
[4] 藻類(そうるい)
[5] ウィルス
にわけられます。
これらの生き物は地球上での歴史が古く、相当過酷な環境でも生きることができ
ます。耐えられなくなると「休眠体」(きゅうみんたい)という姿になってお休
みしてしまいます。
もちろん、これらの生き物の間では、食べたり、食べられたりという関係があ
ります。食べられてしまえば死んでしまいます。また、環境の変化があまりひど
ければ、生きながらえることは難しくなります。
微生物は、様々なものがいて、大気中、衣類にももちろん、動物の体の中、木
の葉、草の葉、水中、熱水の中、土中などどこにでもおります。
衣類にカビが生えたのを見たことないでしょうか。皮膚にできるミズムシ、タ
ムシ、カイセンなども微生物によるのです。
微生物については、まだ研究が十分ではないので、わからないことばかりとい
うのが本当のところです。
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(Q13)質問です。
自然の循環の仕組み・その中でのきのこの役割について、もう一度くわしく教
えてください。
(A13)お答えします。
草木が土中から水分と養分(ミネラル)を採り、大気の中から二酸化炭素を採
り、太陽の光をエネルギ−として、葉の部分で有機物(砂糖の親戚)をつくりま
す。それが、草木の葉・枝・幹を作るのです。このように有機物を作り出すので
草木は「生産者」だといわれます。
この草木を餌として、動物(昆虫、野鳥、いわゆる動物)が生活しています。
肉食動物も草木を餌にして生活している動物を食べて生きているのですから、間
接に草木を食べていることになります。食べることは草木を消費することですか
ら、「消費者」と呼びます。
草木も動物も寿命が尽きると地上に倒れます。この倒れた生き物を分解し、元
のミネラルなどに戻(還元)しているのが微生物です。ですから、これらの微生
物を「分解者」(あるいは「還元者」ということもあります。)といいます。
よく考えてみるとミネラル(窒素、リン、カリ、カルシウム、マンガンなどの
元素)と炭素(二酸化炭素をつくっている元素)が姿をかえて、草木→動物→微
生物→草木という具合に循環していることがわかります。
ところで、きのこの役割ですが、きのこは分解者のなかの微生物です。とりわ
け、セルロ−ス・フェミセルロ−ス・リグニンの分解には重要な働きをしており
ます。これを分解できるのは、糸状菌(しじょうきん:きのこはこのなかま)だ
けだからです。
きのこの発生場所は、木材、落葉・落枝、生きた植物の根、動物の排泄物、昆
虫やクモ類等です。
発生の条件は、温度(気温)、水分、栄養分が整うことで、条件が適当であれ
ば、寄生した草木から栄養を吸収して生長します。植物の根に取り付くものは、
土壌の表層の乾湿の激しい変動にも耐え、きわめて悪い環境でも繁殖します。し
かし、その程度を超えると休眠器官(シストという)を作り、環境が良くなるま
で眠ってしまいます。
きのこ発生の条件は、温度、栄養分、水分が適当であることです。
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(Q14)質問です。
木の実はどんな所で育ちやすいのですか。ぼく達は、八国山の木の実は日が当
っている所が育ちやすいと思いましたが、ほかの事も関係ありますか。
(A14)お答えします。
「木の実はどんな所で育ちやすいのですか」ということは、「芽を出して育つ」
ということでしょうね。
木の実は種です。種が芽を出すためには、土壌があり、水分・温度が適当であ
ることが必要です。芽を出せば、日の光、養分がなければ育ちません。
木の種類は大きく分けると陽樹(ようじゅ)と陰樹(いんじゅ)に分けられま
す。陽樹は育つためにたくさんの日の光が必要です。陰樹は、わずかな光でも生
きていくことができます。
クリ、コナラやクヌギなどは陽樹です。ですから、さんさんと日の照るところ
がよいのです。ところが、シイ・カシの類、ヒサカキ、アオキなどは陰樹なので、
少ない日の光で生きていくことができます。
八国山のような手入れの悪い山では、シイ・カシの類、ヒサカキ、アオキなど
の陰樹が、大きな木の下の光の少ないところに茂っているのです。それに対し、
日の光の指す明るいところには、クリ、コナラやクヌギなどの陽樹が顔を出して
います。
つまり、日の光の量と草木の種類が、その山の草木の種類や量と関係がありま
す。
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(Q15)質問です。
このごろ、うめのつぼみがふくらんできました。植物は、どうして春・夏・秋・
冬の季節の変化が分かるのですか
(A15)お答えします。
冬至を境に日脚がのび、日照時間(日のさす時間)が長くなってきます。外気
の中は寒いのですが、土が蓄熱して土中の温度が徐々に上がってきます。
それを関知して、植物は芽を出したり、つぼみが膨らんだり、葉を開いたりす
るものと考えられます。
また、季節により、太陽の高度が異なり、それも日射の量に変化を引き起こし
ます。それは土中の温度変化の原因になります。今頃(2月)でしたら、風の吹
く日などは、外気より土中の温度の方が高くなっていると思います。
発泡スチロ−ルの箱に土を入れて、日向に出しておきます。土に温度計を差し
込み、はかってみるとおもしろいでしょう。その代わり、1年かかってしまいま
す。日照時間の長さと、光の量によって、土中の温度が変化することがわかるは
ずです。
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(Q16)質問です。
八国山でみかけたシジュウカラやキジバト(?)は「渡りをする」と書いてあ
る図鑑があったのですが、ほんとうに渡りをするのですか?
(A16)お答えします。
シジュウカラは留鳥(りゅうちょう)といって、渡りをしません。ただ、キジ
バトは、留鳥ですが、北海道のものだけが冬季に暖かいところへ移動します。こ
れを「渡り」と考えて図鑑に書かれていたのかもしれません。
国内の移動ですから、「渡り」とせず、留鳥でよいと思います。
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(Q17)質問です。
夏や秋にはあまり気がつかなかったのですが、12月に行った時、木の幹にこけ
が生えていました。こけのはえかたは、季節によって違うのですか?
(A17)お答えします。
やはり、温度と湿度が高いときには増えるようです。冬目立つのは、周囲の木
々が葉を落とし、緑の草木が少なくなるからです。注意して歩いているから、周
りの色と比較して緑のこけが目につくのですね。大変よいことです。いつまでも、
注意して物を見る習慣を持ち続けるようにしてください。
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(Q18)質問です。
八国山に、クヌギやコナラのように人が植えた木はほかにどんなものがあります
か。
(A18)お答えします。
はい、ケヤマハンノキとアカマツがあります。そのほかは、鳥や風が運んできた
種から出たものか、人が利用しはじめる前からある草木です。ほそぼそと生きなが
らえてきたわけです。
庭から逃げ出したものにはユズリハ、サカキ、マンリョウ、センリョウ、トウネ
ズミモチ、クロガネモチなどがあります。
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(Q19)質問です。
鳥のふんの中に混じっていた種から芽を出したような、自然に生えてきた木は
どんなものがありますか?
(A19)お答えします。
ムクノキ、ガマズミ、イイギリ、ヘクソカズラ、アオキ、ヒサカキ、エノキ、
ムラサキシキブ、 ネズミモチ、コブシ、ゴンズイ、ヤブコウジ、ユズリハ、サ
カキ、マンリョウ、センリョウ、トウネズミモチ、クロガネモチなど、おいしそ
うな実のなる木はみな鳥の糞の中の種から出ます。
ケヤキ、ニレ、カエデ類、シデ類などは風に乗って飛んできます。ずいぶん遠
くまで移動します。水があるところでは流れていくこともあります。
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(Q20)質問です。
12月の八国山でマンリョウという木の実に似た実を見つけました。八国山に
マンリョウは、はえていますか?
(A20)お答えします。
周囲の住宅の庭から逃げ出してたくさん生えています。また、ヤブコウジが
自生していますから、これを見たのかもしれませんね。
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