ここは、「里ネット」の小学生向けのペ−ジです。 


小学生の疑問にお答えします。 回答者:大森 孟

 (Q21)質問です。
  秋にきのこをたくさん見つけました。きのこは、なぜ秋に出てくるものが多いい 
 のですか?僕は、夏が終わって冬が始まる前でじめじめしている所が多いいし、落
 ち葉が散って栄養がついていくから秋にいっぱい生えると思ったのです。
 (A21)お答えします。
  皆さんの考えられたとおりでしょう。ただ、その年の落ち葉を栄養にしているの
 ではないでしょう。どの季節に出るかはそれぞれの種によりちがいます。進化の過
 程で得た、遺伝子情報によるので、これは誰にもわかりません。
  八国山の場合、10年ほど前は、秋より夏出るものの方が多かったのですが、人が
 入り込んで荒らしてしまったので、秋の方が多くなっているのかもしれません。
  (注)役所の行った工事、散歩者、ペットの犬、ハイキングの人、自転車や自
    動車、これらが上の「人」の意味です。
  他の地域の環境のよいところでは、秋にきのこがたくさん出るようです(信州、
 関東北部、東北地方)。ただ、秋に落ちた葉を養分にしているのではなく、その前
 の年に落ちた葉、あるいは枯れた木を栄養にして、菌糸(きのこの本体)が十分に
 成長するときのこを出すものが多いのだと思います。
  水分、栄養、温度の条件が整わなければ、キノコは出ません。同じきのこが春
 (夏)と秋の2回に顔を出します。秋だけ、春だけ、冬だけのものもあります。こ
 れは遺伝子情報によるので、どうしてなのかはわかりません。
  シイタケの原木に注意して下さい。秋の終わりにも、春先(今頃)もでているで
 しょう。また、菌を植えてから、一年以上経たないときのこはでてきません。
  このごろは気温の高い年が多いので、きのこもけじめがつかず、だらだら出てい
 ることも多いですね。 


 (Q22)質問です。
  日本の森林はどの位の割合でどれだけ減っているのですか?

 (A22) 日本の森林面積について

  先ず、日本の森林面積についてですが、政府の発表している統計が不正確で、き
 り分かりません。元になる統計は毎年発行される「林業白書」なのですが、それに
 よりますと日本の森林面積は、
  平成9年(1996)現在 2514.6万ha
  平成11年(1999)現在 2514.6万ha
 で、全く減っていないことになります。
  しかし、みなさんもご存じのように、森林はあちらでもこちらでも破壊され、家
 が建ち、工場が出来、観光施設が生まれ、・・・と言った具合ですから、全く変化
 がないなどと言うことは考えられません。
  国連食糧農業機関(FAO)の統計(State of the World's Forest) を見て見まし
 ょう。これは、各国の政府の提出した資料に基づいて作られたものですが、それに
 よりますと、日本の森林面積は、
  1995年(平成8年) 2471.8万ha
 となっています。国連の統計は新しいものが、昨年あたり出ているはずなのですが
 手に入れてないので、その前のものです。
  ご覧になると分かるとおり、国内向けと国連向けの数字が違っています。おそら
 くは、国連の数字が正しいのだと考えられます。最近送られてくる、林野庁の関連
 の団体の出版物の数字は上記の国連の数字に近くなっています。
  現在の日本の森林面積は、実際は2300万〜2400haぐらいかとも考えられます。
 【参考】林業ハンドブック(全国林業普及協会) 
    本書を見ると、日本の森林面積は、1985年頃、2500万haとなっています  
   から、1995年ごろまでの10年で100万ha減ったのではないでしょうか。す
   る年間、10万haづつ減っていることになります。
    世界中では一年に1200万haづつへっていると、FAOでは発表しています。


 (Q23)質問です。              
  紙をたくさん使うことは森林破壊につながると聞いたのですが、それは本当です
 か?またそれ以外に森林が無くなってしまう原因はなんですか?
 (A23)お答えします。
  紙の原料はパルプです。おおかたの紙は広葉樹パルプを使います。昔は針葉樹パ
 ルプを多く使ったのですが、今では、針葉樹パルプを使うのは、新聞紙のような粗
 悪な紙だけのようです。いうまでもなく、パルプの元は木材です。木材は森林資源
 の一つです。
  森林資源(森林の生産物のこと)は、生産量(草木の生長量)を超えない範囲で
 利用すれば、利用した時点では絶対量(そのときの蓄え)は減りますが、利用した
 ときから、生産量が復活するまでの時間を考えれば、大気中へ排出する二酸化炭素
 の量と固定された二酸化炭素の量はほぼ同じなので、大気中の二酸化炭素は増えま
 せん。つまり、環境破壊にはなりません。
  そういう点から、化石燃料(石炭や石油)に変わるものとして、バイオマス(植
 物)の利用が注目されているのです。何十年かののちには、必ず、そうなると思い
 ます。それと自然エネルギ−(風力、水力、潮力、波力の持つエネルギ−)、太陽
 熱などが併用されることになるでしょう。
  お分かりいただけたと思いますが、紙を使うことが森林破壊になるのではありま
 せん。ただし、森林の再生産(成長していく量)をこえるような使い方あるいは無
 駄に使ってはいけません。それは、森林破壊だけではなく、いわゆる地球の「環境
 破壊」になります。

  紙をたくさん使うこと、それが直ちに「森林破壊」になるとはかぎりませんが、
 輸入先によっては、森林の伐採がもとになり、難民による適切ではない焼き畑など
 が行われます。紙の原料を得るための伐採が、「森林破壊」の元になっているので
 す。
  最近、ケナフで紙をつくる、等と言うことが盛んですが、そのために森林を伐採
 してこれを栽培するなどと言うことになれば、環境保全の意味はほとんどありませ
 んね。
  また、その栽培のために、生息地が狭められ、他の生物の生息が圧迫されるよう
 なことになれば、ケナフの栽培が「環境破壊」(生物多様性の減少)を招くことに
 なります。
  海外から生物を移入してものごとをするときには、よほど慎重に考えないと思わ
 ぬ不都合を引き起こします。よく考えて実行することです。


 (Q24)質問です。
  資源を大切にするために、私たちにできることは何ですか。
 (A24)お答えします。 
  森林資源(森林の生産物のこと)は、伐採して使い、森の若返りを図ることによ
 り、活性のある(元気のよい)森林を育成していくことが出来ます。山に木がある
 だけでは、環境問題の解決に役立つ割合が低くなってしまいます。活性を失った森
 林が、大気中から吸収し固定する二酸化炭素の量は、活性のある森林の固定量より、
 遙かに小さいと考えられからです。
  また、森林の生産物(木材など)を大切に使い、長い期間使うことも大切です。
 たとえば、家を建てたら、5年や10年で壊すのではなく、百年も二百年も使うとい
 うふうに考えることです。
  本であれば、すぐにゴミとしてすてるような本は買わない、買う本は自分だけで
 はなく、家族が、或いは次の世代の人が使うようなよい本を買うと言ったようにし
 ます。  
  資源はいずれも、皆さんだけの物ではなく、これから生まれてくる人間をはじめ、
 この地球の未来の生命体と共有しているのです。したがって、無駄な消費をするこ
 とは許されません。
  紙一枚であっても、大切に最大限に利用しなければなりません。大きな字を書く
  のではなく、小さめの文字をきれいにかくことにより、5枚使うところを3枚です
  ませる、と言った配慮が求められます。すべての物について、このような考えが求
  められ
  ているのです。
 【参考】封筒の再利用(私の試み)
    私のところへは、役所から立派な封筒に入った郵便物が、ほとんど毎日の
   ように送られてきます。私は、1991年から、それらの封筒を丁寧にはがし、
   再利用しています。これなども立派な資源節約でしょう。
    そのため、封筒を買うことはほとんどありません。皆さんはどうしている
   のでしょうか。


 (Q25)質問します。
  「森林破壊」という言葉をよく聞きます。教えて下さい。
 (A25)お答えします。
  では、「森林破壊」について、説明します。日本では、森林を伐採しても、土砂
 崩れや土壌の流出は簡単には発生しません。雨量が多いのですぐ草木が茂るからで
 す。樹木を伐採し利用することは、「森林破壊」とは言えないのです。
  森林を伐採した跡地が、工場、住宅、観光施設(スキ−場、ホテル、遊園地、レ
 ストラン、競技場など)、ゴルフ場や公益施設(学校、美術館、公民館、運動施設、
 都市公園、自然公園、役所など)などと言ったものになり、再び森林に戻ることの
 ない場合、これを「他の用途に転用する」といいます。これが「森林破壊」です。
  私達が贅沢(ぜいたく)をすることにより、森林破壊は加速されます。私達の周
 囲で、森林破壊が日常化するようなことになれば、後世の人々の暮らしは苦しいも
 のになったり、あるいは、くらしを続けることがむずかしくなることもあるでしょ
 う。
  もちろん、「森林破壊」のために、人間以外の生物も生きていくことができなく
 なり、それらの生物の中には人間より早い時点で絶滅するものがでてくるのではな
 いでしょうか。

  赤道付近の国々には、熱帯林と呼ばれる森林があります。日本の国と違って、平
 均気温が高いので、微生物の活動が活発です。こういうところでは、枯れた木、落
 ち葉、生物の死体、そういった有機物は簡単に分解されてしまいます。そのため、
 有機物と母材(岩石が崩壊して出来る)から出来ている土壌は僅かしかできません。
  日本では100年に2cmほどの厚さの土壌が出来るといいますが、熱帯林では、現在
 の土壌がそのくらいしかありません。熱帯林を伐採すると、大きなエネルギ−を持
 つ、毎日襲ってくるスコ−ルと呼ばれる強雨のために、その僅かな表土が短期間に
 流されてしまい、そこへ森林が復活することは不可能になります。樹木が育つだけ
 の栄養分がなくなってしまうからです。これが、日本の森林と熱帯の森林との大き
 な違いです。熱帯林では、森林の伐採が「森林破壊」そのものなのです。
  また、ロシアにはタイガと呼ばれるカラマツやヨ−ロッパアカマツの森林があり
 ますが、シベリアも森林環境は十分ではなく、伐採すると復活できないところが多
 いと言われています。
  タイガの植物は永久凍土の一部が夏期に解ける部分(活動層といいます)に育ち
 ます。夏が短く、冬の寒さが厳しいので、短期間に成長し、耐凍性(寒さに負けな
 い性質)の高い(凍りにくい)植物が育っています。
  ここでも、森林を伐採すると、凍土が溶け出して沼が出来、それが自然に広がっ
 てさらに周囲の凍土を溶かすという困った現象を引き起こしたり、土中の深部にあ
 る塩分が吹き出して、樹木が生育できなくなったりしています。
  以上のような処では、間違った森林の伐採が「森林破壊」をひきおこします。特
 に熱帯林は大半が開発途上国にあり、難民が多く、伐採跡地に火を放って焼き畑化
 して不毛の地になるまで土地を利用します。このため、広大な地域が砂漠化してい
 ます(「熱帯林の砂漠化」といいます。)。また、潅漑方法が適切でないと、土中
 の深部から塩が湧き出して、これまた、土地を不毛化してしまいます。
 


 (Q26)質問します。
  森林が無くなってしまう原因はなんですか?
 (A26)お答えします。
  森林破壊の原因は世界の各地域によって異なります。日本の場合は、森林の他の
 用途への転用が大きな原因です。工場用地、イベント会場、ゴルフ場(森林面積の
 3%にもなるという)、宅地造成、観光施設、道路、新幹線、大規模宅地造成、公
 共施設などへの転用です。森林の樹木の伐採利用とは異なり、これらの用途に使わ
 れた森林は再び森林に帰ることはありません。これが、我が国の「森林破壊」で、
 森林のなくなる原因です。
  アマゾン川流域の場合は、海外の企業(米国およびヨ−ロッパ)が森林を焼き払
 って、大規模な牧場に転用しています。その面積の広大さは衛星写真を見ても、は
 っきり写っているので、びっくりします。この牧場で飼育された牛の肉は、アメリ
 カへ輸出され、そこで、アメリカ人の食糧となります。もちろん農業用地にも転用
 されています。いずれにしても、再び森林にもどることはなく、過耕作(カコウサ
 ク:有機肥料を与えず、繰り返し作物を作ること)と過放牧(カホウボク:家畜の
 頭数を増やしすぎ、草木が生えなくなるような飼い方をすること)から、不毛化し
 ていくことになるでしょう。これが、「砂漠化」の一つです。
  アマゾンの森林破壊とアメリカの関係を「ハンバ−ガ−・コネクション」などと
 皮肉を言う人もおります。ハンバ−ガ−が米国人の食べ物の代表と言ってもよいか
 らでしょう。
  同様に、東南アジアの熱帯林は、日本人の責任が大きいと言われています。フタ
 バガキ科の大木(何種類かを総称してラワンといいます。ラワンという木はない)
 を伐採し、日本へ輸出します。その伐採のために作られた道路を伝って、都市の難
 民(民族闘争、宗派の違いによる争い、政権の不安定、国家間の争い、内戦、旱魃
 など、いろいろな苦しい事情から、生命の安全を求めて逃げてきた人たち)が入り
 込み、大面積の森林に火を放ち、焼き畑を行っています。これが最も大きな森林破
 壊です。もちろん、都市化、工場化、住宅化等も少なくはありません。
  汽水域(引き潮の時は真水がかかり、満ち潮の時には塩水がかかるような地域)
 のマングロ−ブ林なども日本へ輸出するエビの養殖池のために伐採されてしまいま
 す。これも森林破壊です。マングロ−ブもラワンと同様、汽水域に育つ樹木の総称
 です。
  東南アジアの熱帯林と日本の関係を「割り箸コネクション」という人もいます。
 割り箸は廃材や間伐材からつくるので、「森林破壊」の原因にはなりませんが、日
 本人が割り箸をよく使うので、このような言葉が出来ました。
 【参考】日本にも鹿児島県や沖縄県にマングロ−ブがあります。ヤエヤマ
   ヒルギ、オヒルギ、メヒルギです。
 
  また、アフリカ中部の熱帯林は、ヨ−ロッパ人が破壊をしてきました。特にお棺
 の材をこの熱帯林に求めたことから、ヨ−ロッパ人とアフリカの熱帯林の関係を
 「棺桶・コネクション」などと言います。
  このヨ−ロッパ人の森林利用の跡も焼き畑や過放牧の結果、砂漠化しているのだ
 ろうと思います。アフリカとヨ−ロッパの関係については、ちょっと不勉強ではっ
 きりお答えできません。


 (Q27)質問します。
  森林は、人によって破壊されているのですか?
 また、それは何をしたからなのですか?
 (A27)お答えします。
  先進国の森林や熱帯雨林などは、おおむね人間によって森林が破壊されて、他の
 用途に使われています。以下のような用途では、森林が再生することはありません。
   都市化のための用地
   工業用地
   港湾や流通センタ−用地
   ゴルフ場用地
   住宅造成用地
   養魚池用地
   農業用地(焼き畑)
   牧場用地
 などです。
  ところが、オ−ストラリアやシベリアの森林では、落雷などが原因の山火事が森
 林を荒廃に導いています。焼け跡が簡単に再生しないのです。これらは自然的な要
 因(自然災害)が森の破壊の元になっています。
  森林が再生できない原因は、ともに気象条件が厳しいところだからです。雨量も
 少なく、シベリアなどは平均気温も低いし、凍土が解けている期間が短いのです。
 そのため、樹木の生長が遅くなるのです。
  先日もオ−ストラリアで大きな山火事がありました。大きな面積の森を焼いたよ
 うです。シベリアなどでも、1回の山火事で1400万haを焼いたこともあると言うこ
 とです。日本の森林面積は2400万haですからどのぐらい広いかお分かりになると思
 います。


 (Q28)質問します。
  森林=「緑のダム」森林=空気を綺麗にする。森林=生き物たちの生活の場なの
 で森林は大切と聞いたのですが、これ以外にも大切な理由はありますか?
 (A28)お答えします。
  森林の働きで、最も大切なことは、空気中の二酸化炭素を光合成の結果樹体(木
 のからだ)として固定することです。ご存じと思いますが、今問題になっている
 「地球の温暖化」の最大の原因は、人間が化石燃料を大量に使うことにより排出さ
 れる二酸化炭素のため、地球を取り巻き二酸化炭素の層が厚くなり、その結果熱が
 宇宙へ放射されにくく蓄積されてしまうことです。その二酸化炭素を固定するのが
 森林です。
  また、森林には、大雨の時に、土砂の流出や山地の崩壊を抑える機能があります。
 ただし、この機能が正しく働くためには、森林が正しく管理されていることが必要
 です。この機能が正しく働けば、河川の下流域の河床の上昇や洪水を防ぐことが出
 来ます。
  森林が荒れていると、河川に流れ込む有機物量が小さくなり、植物プランクトン
 が育ちにくくなり、それは湾岸の動物プランクトンの生産量に影響し、その結果、
 沿岸漁業の不漁を引き起こします。これは、漁村の死活問題につながります。
  最後に、森林荒廃は、森林内に住む、微生物の繁殖にも影響し、その生態系に悪
 い影響を与えることになります。つまり、有機物の分解が遅れるとそれだけ植物の
 生長が後れることは避けられません。つまり、生態系が劣化していくことになるは
 ずです。


 (Q29)質問します。
  今後、砂漠化が進む、と聞いていますが、私たちの未来が危ない!ということは
 本当でしょうか?
 (A29)お答えします。
  地球の平均気温が2〜3℃上昇すると、降雨の状況にも変化が起こります。その
 結果、砂漠化地域では、ますます雨量少なくなり、一方日本などは雨量も増え、そ
 のエネルギ−も大きくなると言われています。また、氷河が溶けるためと、平均気
 温の上昇による海水の膨張から海面の上昇が起こり、波力や潮汐(潮の満ち干)の
 エネルギ−が大きくなり、現在の海岸の堤防は打ち壊されると考えられています。
 低地に存在する都市では浸水の危険性がある、と指摘されています。
  また、平均気温が上昇すると、日本では、亜熱帯の生物が侵入し、マラリアなど
 の伝染病が発生する可能性があります。
  世界では、今世紀は水を奪い合う世紀になりそうな気配です。現に、中国などで
 は、黄河が年間170日以上も水流が止まってしまうそうです。水が足りないのです。
 流砂も首都北京のすぐ近くまで押し寄せてきています。アフリカのサハラ砂漠など 
 もどんどん広がっていると言うことです。
  いずれも人間の度を過ぎた活動の結果です。まさに、「これからの未来が危ない」
 のです。


 (Q30)質問します
  森林を守るためにはなにをどうしたらよいのでしょうか?
 私たちにもできることはあるのでしょうか?
 (A30)お答えします。
  森林といっても一様なのではありません。大きく分けると
    原生林
    二次林
    スギ・ヒノキ人工林
    コナラ・クヌギ人工林
    その他の人工林
 ということになります。
  原生林は太古から人の手の加わったことのない森林です。日本にはそうたくさん
 はありません。富士山の青木ヶ原樹海や奈良の春日山などは原生林だと言われてい
 ます。
  二次林は、人間が定期的に利用してきたが、利用後は自然の復元力を利用するこ
 とにより成立する森林です。里から遠いところにあり、20年から30年の間(通常は
 20年ごと)に薪炭材として伐採して利用してきました。
  スギ・ヒノキ人工林は、人間が家を建てるときに必要な建築材を得るために、ス
 ギやヒノキの苗木を植え、手入れをして育てたものです。昔は40年ごとに伐採し、
 その跡にまた苗木を植え育ててきました。苗木を植える作業、苗木の周囲の草木を
 刈る作業(下刈り)、いらない枝を切り落とす作業(枝打ち)、間引きをする作業
 (間伐)など、危険で、大変な作業をしながら育てるのです。これを怠ると使える
 木にはなりません。
  次は、コナラ・クヌギ人工林です。里近くにあるのがこの林です。堆肥の原料の
 落ち葉、薪炭材などを採るのに、最適な樹木である、コナラとクヌギの苗木を植え、
 育てたものです。
  初めは、使えるようになるのに、20年ぐらいかかりますが、一度伐採すると切り
 株から芽が出るので、次からはそれを育てます。すると、10年ごとに伐採して使え
 るのです。
  最後のその他の林は、クリ、キリ、カラマツなどの林ですが、それは面積が僅か
 なので、別な機会があったらお話ししましょう。

  そこで、森林を守るにはどうすればよいか、と言うことになるですが、守る方法
 は、一つではありません。森林の性質によって違います。
  原生林は放置しておけば、それが守ることになります。二次林は20年か30年ごと
 に伐採して、薪炭やパルプとして利用すれば、それが守ることになります。コナラ・
 クヌギ人工林では、10年ごとに伐採し、きのこ栽培の原木(ほだ木)、薪炭材、パ
 ルプ材、建築材として利用し、昔から行われている方法で、必要な手入れをすれば、
 守ることになります。スギ・ヒノキ人工林では、必要な手入れをして40年ごとに利
 用し、再び植林することが守ることです。
  では、皆さんに出来ることは、当面は作業に必要な技術を身につけることと、森
 林についての正しい知識を得ることでしょうか。森の手入れ(林業の仕事)は恐ろ
 しく危険です。事故を起こせば、重傷か死亡かということになります。
  さしあたって、小・中学生の皆さんに出来ることはないでしょう。やはり、紙に
 限らず、物を大切にすることが一番近道かも知れません。2002年の暮れ、知人の林
 業家の番頭さんがなくなりました。山で、決まった長さに切った丸太を林道へ下ろ
 す作業中、足をとられてバランスを崩し、自分が引き出した丸太の下敷きになって
 しまったのです。あなた方ぐらいの年齢の頃から山仕事をしてきたベテランです。
 わたしも、2002年4月にそこの山を見に行って会ったばかりでした。
  決して、マスコミや林業を知らない人の口車に乗らないようにしてください。森
 づくりの分野は素人の出る幕ではありません。もし、本気で森林の作業をしたいと
 いうのであれば、遠くても「里ネット」の林業スク−ルへおいでください。基礎か
 ら教えてあげます。私がOKと言うまでここで技術を学んでください。

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