遠隔操作裁判に行って来た(3)

「関係者」とか言いつつ、公判日程をちっとも把握してない私は、八木さんに昨日、

明日、5月16日(金)10時から17時がまた公判ですので、夕刻に記者会見だと思います。

とか

明日の記者会見は17時30分からだそうです。

とかTwitterのDで言われてちょっとあわてる。決算の処理まだちっとも出来てないし、教会の人召天するし、某プロジェクトは納品しなきゃいけないとかで、なんかクソ忙しいところに、公判とゆーことで、思いっきし気乗りがしてなかった。今日の公判で弁護側の主張が終わって、とりあえず一段落と言うタイミングなのではあるけど、こちらはとっくの昔に無実の心証を持っているし、検察の方がこれと言った証拠も出て来ないどころか、前回あまりにあんまりな様子だったこともあって、

今回はまぁいいかな

とか思っていた。忙しいし。

ところが、昼頃に落合先生のところにとんでもないメールが来る。

自称真犯人からのメール(本日午前11時37分に送付されてきた)

なんてものが出て来たから、話は俄然面白くなる。なんせ、このメールが来た時は、まさに公判中。これ以上はないってくらい完璧なアリバイがある。まぁ、タイマーかも知れんけどw

ということで、件のメールはマスコミ各社に送られたこともあって、「今日の会見は人多いかも?」と思って、早めに出掛ける。

17時頃に東京地裁に着いて八木さんに「どこにいますかー?」と電話してみると、ロビーの反対側(私は普段は霞が関駅のA1出口の方、つまり正面から入る)にいるとのことなので、合流して話を始めたら、ちょうどそこに佐藤弁護士がニヤっとした顔で登場する。ちょうど公判の終わったところらしく、片山氏(ゆう君)と野間氏(特別弁護人)も一緒で、件のメールの話になる。てか、話はそれしかないっしょ。

本人達がメールを見たのは、江川さんの携帯からだそうで、お昼休みのそのまた後くらいのところらしい。つまり、我々が件のメールを見て大騒ぎをしていた時、当の本人達はその存在を知らなかったとゆーのが、世の中の面白いところだ。

いろいろな話が始まるわけだけど、ゆう君にしてみると

「これ、多分、犯人と僕しか知らない話です」

ということが多数書かれているらしい。彼の行動や検索履歴は、まさしくそれ。

会津桧原駅なんてちっちゃい駅のことなんて、知らない人は気にもしませんよ」

ということらしい。まぁfakeだったら、そういったディティールのリアリティとかなかなか出来ないし。

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マジで小さいわwww

そういったことで、件のメールに書かれている彼の行動に関しては、犯人とゆう君しか知らない事実が書かれている。てか、本来は彼の心とパソコンの中にひっそり存在しているはずの事実なので、それを知ってる人が他にいるのはどういうこと? とゆー話である。

とゆーところで時間が来たので、会見場に。

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件のメールのせいか、普段いない「マスコミ」の方々がいっぱい来ていて、我々が座る場所がない。ぱっと見空席がいっぱいあったのだけど、よく見ると机の上に名刺が置いてある。まぁ、そんなわけで立ち見。最初は江川さんも立ち見だったのだけど、いつも間にか席を見つけて座ってたw

この裁判、いつも公判の後に記者会見があるのだけど、普段は江川さんみたいなフリージャーナリストや、ビデオニュースの神保さんや日本報道検証機構の山下さんのようなネットメディア、あるいは週刊誌といったようなところばかりで、新聞テレビは記者会見の幹事会社くらいしかいないのだけど、さすがに今回はね。

例のメールのせいか、今日のゆう君は晴れやかである。

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まぁ良いこと。

具体的な会見の内容については、今回は新聞テレビの記者もいっぱい来ていたし、いつもの通り江川さんもいたし、ニコ生でも流れていたので、私が特に書くようなこともない。本来公判後記者会見なので、公判についての話になるのだけど、今回は例のメールのこともあるので、そっちの話ばかりだった。私の目で見た会見の様子については、

PC遠隔操作事件の真犯人を名乗るメール

に書かれているので、そっちを参照。一生懸命やったけど、@tsudaみたいには行かんねぇ。

ちょうどビデオニュースが公開されたので、詳しくは

さて、件のメールについては「自作自演ではないか」という疑念があると思う。これを考える時に、以下のポイントを頭に置いておいて欲しい。

ゆう君のパソコンは「パケット警察」で監視されている

彼を保釈する時に一番の問題となったのは、彼が証拠隠滅を計るのではないかと言うこと。これは検察の論理としては当然であると共に、彼にとっては「探られるかも知れない痛くもない腹」でもある。そこで、彼および弁護団は、

  • ゆう君のパソコンの通信は監視する
  • ネカフェ等は使わない
  • 他人のパソコンは使わない

ということをしている。これは別の保釈の要件ではないのだけど、今回のようなことで「自作自演」とか言われると面倒臭いので、そういった疑いを持たれないようにということ。まさしくパケット警察の能書きの

万一、遠隔操作ウイルスによってあなたのパソコンが犯罪者にリモート操作され「踏み台」となった場合に、ウイルスの起動記録や犯人の通信記録がすべてログに残りますので、あなたの無実を証明したり、真犯人を追跡したりするための有力な証拠として利用可能です。

ということを狙ったわけだ。作者の登君も本望であろうw

ゆう君の元のパソコンは警察に押収されたまま

今回の事件で一番重要な証拠物件は、彼のパソコンだ。それは全て警察に証拠として押収されていて、まだ返って来ていない。そうなると、件のメールにある、

■おまけ 秘密の暴露 (まだ公開されてない…はず)

のようなことを、正確に引用して書くことは、彼には不可能である。まぁ、彼に並外れた記憶力があれば、あるいは可能かも知れないけど。

そんなわけで、件のメールは彼には書けない。

また、件のメールは愉快犯が出したものではないかという話もある。また、今までのメールと文体が著しく異なるという点も指摘されている。

件のメールが愉快犯かどうかという点については、

  • 書かれている内容の精度が高く、弁護団も知らないことが書かれている
  • 公開されていない証拠の内容(つまり犯人と関係者しか知らない)が書かれている
  • 検証可能な未遂となった脅迫が書かれている

という点で、愉快犯かも知れないけど、真犯人以外ではないと言えると思う。特に「秘密の暴露」と書かれた脅迫メールについては、メールは届いているはずなので調べればわかること。しかもご丁寧に、「首相官邸」であれば、警察検察が口裏合わせて「なかったこと」にすることが出来ても、「部落解放同盟」についてはさすがにそれは無理なので、実にいいところを突いているw

文体については、実は佐藤先生は最初から複数犯ではないかという見立てあったので、不思議はない。

なんで複数犯という見立てがあるかと言えば、これは今日の公判でもあった話のようだけど、証拠とされる写真等について、一人で撮ったと言うよりは複数で撮ったと言う方が妥当と思われるものが少なくないから。また、そもそも「単独犯」と言うのは、警察がゆう君以外に犯人がいないことにするための方便(共犯がいたら捕まえなければならない)でもあるので、無理に単独犯であると考える必要はない。

また、この雑文を見てもわかると思うのだけど、文体なんて気分で変わる。特にあーゆーノリの軽そうな文体と言うのは、結構書きやすいものでもある。だから、以前と文体が違っても、そんなにおかしいことでもない。

そんなわけで、件のメールは、

ゆう君以外で事件に非常に詳しい人が書いた

ものであることは確かなようである。特に弁護団もよく知らない事実まで出ていて、

「謎は全て解けたぁ!」

的な部分もあったりする。

ちなみに、公開されていない標題には「ポア」なんて懐しい言葉が出て来るらしいので、多分私くらいの年代の人が書いた–少なくともゆう君の世代の人が書いたものではない–と思われる。実はこれ、八木さんのエントリ

どうする検察! その首に二重の縄が….

の最後に書かれている「あの人」のプロフィールとも一致している。

ということで、いきなり話の流れが変わってしまったので、次回以降の公判については、なんとなく流動的になりそうな雰囲気ではある。

と同時に、あれだけ手口が公開されてしまうと、「ハッカソン」をやることの意義がいきなり喪失されてしまって、どうしたものかという、嬉しくも残念な展開になって来た。

PS.

野間さん(特別弁護人)からのお願いなんだけど、件のメールに書かれている「ウィルスジェネレータ」って、具体的には何なんだろう? それがわかったら、証拠物の分析も随分と楽になるのだけど。という話だった。

PS2.

まだ自作自演とか言う奴いるけど、件のメールに書かれていたいくつかのことは、弁護団も知らないことが書かれている。私が特別弁護人になるのならんのって話の時に、ひととおりの話は聞いたのだけど、今回のメールは

聞いてないよー

的な話が結構あるので、弁護側の誰かが仕組んだとは思いにくい。「弁護側のシナリオに乗り過ぎの内容」とか言ってるのもいたけど、ことさらにそうでもない。「赤い」と思って見れば、「青」より「紫」は赤く見えるとゆー程度のこと。もちろん物事には「絶対」ってことはないわけだし、私が全てを聞いてるわけでもないので、その部分に疑念を抱くのは不思議ではないけど、あんなもの出しても面倒が増えるだけだから、少なくともゆう君はやりたくないだろう。

コピペ元について「クラウド等に置いておけば」みたいなことを言ってる人もいたけど、そういった行動をすれば、どうせまた彼は調べられてしまうわけで、仮にやっていればバレバレになる。だから、彼でない誰かがやらないといけないだろうし、そうなると検察の見立てである「単独犯」が崩れてしまって、全てが振り出しに戻ってしまう。

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This entry was posted on5月 16th, 2014 at 14:30:30. You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0. Responses are currently closed, but you can Trackback..

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