新入生向け企画A

カルト撃退マニュアル


はじめにどのように接近してくるのか?どのように勧誘するのかカルトの誤解カルト撃退マニュアルカルトから脱出する方法おわりにオススメ書籍


■はじめに

 受験勉強をうまいこと潜り抜けて大学に合格した皆さん、とりあえずはおめでとうございます。勉強地獄の中でライバルを蹴落とし、ときには挫折しながら、合格という一筋の光明を掴み取った感触は如何でしょうか? 皆さんのうち数パーセントは確実にギャンブルや風俗に浸かった大学生活を送りますが、まぁせいぜいそうならんよう努力してください。
 さて、大学生活、あるいはその後の人生を狂わせる罠は、何もギャンブルや風俗に限ったものではありません。むしろそれらは個人の選択の自由によって嵌っていくものであり、どんな結果になろうと自業自得です。新入生が最も注意すべきものは、有益無害を装って本人の知らぬ間に危険な道へ引きずり込む連中です。具体的には金大ぁゃιぃサークル一覧独り暮らしの罠で紹介した、破壊的カルトや過激派です。
 今回の無責任編集では、このような危険な団体の特徴と、怪しい勧誘にあった場合どうすればいいか、その一例を紹介します。これを読んでおけば、サークル選びなどでだいぶ安全になると思います。ちなみにここでいう「カルト」とは、宗教・政治・商業などの破壊的団体全般を指します(悪徳商法はカルトとは違いますが、販促活動の中に共通点が多いので多少触れます)。尚、私のスタンスとしては、信教の自由、政治的思想の自由は誰にも、どんな思想にも認められるべきであり、そのことに関しては私がとやかく言う権利はないと思っています。しかし人が宗教にせよ、政治思想にせよ、何かを選択するという場においては、その選択肢に関する必要最低限の情報を得る権利があり、また脱会する権利があるはずです。破壊的カルトのように宗教団体ということを意図的に隠し、あるいはその問題点を誤魔化した状態で勧誘し、被勧誘者に意図的に恐怖を与えて脱会を防ぐといった方法は、道徳的にも法律的にも許されざる行為だと考えています。


■どのように接近してくるのか?

 カルトはどのようにターゲットに近付くのか。その方法は様々で、一概には言えません。以下に典型的な勧誘方法を挙げますが、これはごく一部ですし、実際にはこれらが複合的に使われていると考えてほしいと思います。

ダミーサークル(偽装サークル・隠れ蓑サークル)

 アーレフ、統一協会、親鸞会、過激派左翼などに見られる方法。哲学や文学、学内新聞、芸術評論、はたまたカレー愛好会などの全く関係のないサークルを装い、警戒心を払って勧誘に持ち込んだり、何も知らない新入生が見学に来るのを蟻地獄のように待っている。もちろん「マルクス主義研究会」や「聖書研究会」(一部)のようにその方向に興味関心のある人だけが引っ掛かる罠もあるが、その場合でも上部がカルトであることはもちろん、上部組織の存在すらも絶対に明かさない。具体例は金大ぁゃιぃサークル一覧で。

その他のダミー団体・イベント

 講演会、シンポジウム、映画会、勉強会、品評会、即売会など、様々なイベントを通じて来客を勧誘する。私が受けた勧誘は「新入生説明会」だった。基本的にはダミーサークルと一緒で正体を明かさないが、サクラを使った集団催眠や軟禁による無言の圧力、サークルと比べて気軽に参加できるなど、危険要素は多い。金大の自治会は4月ごろに政治の勉強会を開いており、革マル派の機関紙「解放」を配っている。

病院などの施設

 カルト団体が自己啓発セミナーや病院、学校、ヨガ道場を経営していることは多い。それは単に利益だけを求めている場合もあるが、その場合でも教団の役に立ちそうな客は勧誘していく。病院などの場合は、藁をもすがる思いで医師を頼ってきた患者に対し、医師・看護師が勧誘にあたるので特に危険である。

街頭アンケート・路傍伝道

 統一協会を中心に様々な団体でみられる方法。とりあえず「アンケートに答えてくれませんか?」といって被勧誘者の足を止め、アンケートから被勧誘者の個人情報や性格を割り出し、それを元に勧誘していく。大学構内ではダミーサークルと共に最も見られる勧誘である。
 アンケート以外でも、手相や占いの修行と称して道行く人を呼びとめ、恐怖を与えて勧誘していく場合もある。

署名・募金

 政治カルトに多いと思われる、人の良心を利用した悪質な接触方法。災害や反戦、バリアフリーなど、多くの人が賛同しやすい社会問題に関して署名を求め、それによって氏名や住所、電話番号などを収集する。署名に応じるときはその団体がどのような主張をしているのか、集めた署名をどのように使うのかはっきりさせてからのほうがいいだろう。

ナンパ・逆ナンパ

 美男美女を声掛けに起用し、色気で通行人の足を止める接触方法。天性の素質と熟練の技、そしてマニュアル化された話術でたぶらかす。同性愛者以外は誰でも引っ掛かるだろうが、モテない人間のほうが掛かり易い。そのため秋●原に多いらしい。

F・F勧誘

 Family Friendの略。友人や親族から勧誘されるという、最も断りづらい勧誘方法。そのためほとんどのカルトで見られる。悪質な場合友人だけではなく、教師や教授、上司など、さらに断りづらい立場の人間から勧誘されることもある。オウム全盛期には、学校の信者教師が連携して生徒をマインド・コントロールしまくっていたことが問題になっている。
 卒業後一度も連絡していなかったクラスメイトから集会の誘いなどが来たら、まずはこれを警戒したほうがいいだろう。


 以上が典型的な接触方法の例ですが、複雑な上に多様で日進月歩であるため、全部挙げることは不可能です。では次に、このようにして接触した人に対しカルトはどのように勧誘していくのかを見てみます。


■どのように勧誘するのか

 ターゲットと接触したカルトはあらゆる方法で勧誘を行いますが、その勧誘にはいくつか共通点があります。これらはむしろ、カルトをカルトたらしめる要素と言ってもいいかもしれません。
 ちなみにここでいう「勧誘」とは、ダミーサークルなどを通しての入会までの期間に行われる説得・教育を指します。

プログラム化された段階的勧誘

 ほとんどのサークルや部活の場合、初めて勧誘したその場で入部させることはなく、たいてい一度見学させる。これは決心がついていない人に重要な判断をいきなり迫ると、大概保守的になって入部してくれないからである。そのためまず様々な情報を与えて決心する時間と材料を提供している。
 しかし宗教・政治カルトの場合は似ているようでちょっと違う。確かにいきなり入会を迫ることは絶対しないが、入会の決心のために必要な情報は徐々に徐々に与えていく。これは最初に簡単な条件を受諾させ、徐々にすぐには受け入れ難い条件を出して受諾させていく。人間は他人から立派な人だと思われたいがために、コミットメント(一貫)した行動をとりたいと考えるため、一度乗りかけた船にはできるだけ乗ろうとする(一貫性の法則、ローボールテクニック)。カルトはそのような心理を利用し、緩やかな階段を作って入会までの道のりを作り出すのである。
 たとえば郷路征記によれば、統一協会の勧誘プログラムはビデオセンター(ビデオによる講義)→ツーデイズ修練会(2泊3日の合宿)→ライフトレーニング(15日か30日の講義)→フォーデイズ修練会(4泊5日の合宿)→新生トレーニング(27日間の共同生活。これの終わりに正式入会)→実践トレーニング(期間不定。献身の準備が整うまで続く)という流れであるが、ビデオセンターの段階では単に人生について勉強させる営利目的の会社だと思っている。ツーデイズに参加すると決めたときはライフトレーニングに誘われるとは思ってはいない。そんなものの存在すら知らない。新生トレーニングの期間が終わったら家に帰る気でいるが、ほとんどの人は統一協会にいる限り二度と家で生活することはない。だがそんなことは夢にも思わず新生トレーニングに参加する。ビデオセンターの段階で統一協会入会と献身を迫られたら、誰だって絶対に入会しないだろう。なお、ツーデイズ以降のプログラムはすべて連日行われる。仕事や学校が終わるとすぐに参加し、終電まで帰れない。土日はイベントがあって一日潰される。だから、次のプログラムに参加するかについては考える時間がなく、常に即断を求められる。

正体は明かさない

 ダミー団体を使うカルトの場合、正体を明かすのは被勧誘者がある程度勧誘が進んだ時点であることが多い。宗教に警戒心を持つ人のガードを甘くさせ、その間にマインド・コントロールの技術などを使って教義を注入し、団体の求める考え方が定着した時点、つまり入会することが確実となった時点で初めて正体を明かすのである。統一協会の場合、正体を明かすのはツーデイズとライフ・トレーニングというプログラムによって、統一原理を受け入れたと判断された後であり、受け入れたと判断されなければ同じ事を繰り返す。親鸞会の場合はゴールデンウィーク中に行われるフレッシュ・セミナーという合宿の後である(四月から勧誘された場合。夏から勧誘された場合は秋の「もみじ合宿」)。もちろん、ツーデイズやフレッシュ・セミナー以前にも講義は連日か定期的にあるのだが、そこではこれまでの考え方を破壊したり、教義を受け入れる上での基本的な考え方が刷り込まれるだけであり、独自の宗教的教義にはほとんど触れられない。被勧誘者は綿密な教育プログラムの中にあり、行き着く先が宗教団体であることは直前まで気付かない。一連のオウム真理教関連事件後も尚、入会する人が絶えないのは、このような理由からである。

帰りづらい空間を演出する

 ほぼすべてのカルトに言えることとして、一度引き付けたら「ウン」というまで帰さない勢いがある。この結果被勧誘者は断るのに疲れて、とりあえず帰るために相手の要求(その中でも一番安易に実行できそうなもの)を安請け合いしてしまうのである。悪徳商法は販売に成功したら姿をくらますが、宗教・政治カルトはそこからマインド・コントロールを進めていく。宗教カルトの場合、しつこい勧誘が相手のためになると確信しているので、当然真剣に真心込めて勧誘する。注意すべきは人間には「認知不協和が生じたとき、過去の認知を変えてしまう心理がある」ということである。つまり相手の勢いに負けたと考えたくないがために、その団体の優れた点を強引に探したり、宗教・政治カルトを好意的に捉えようと、無意識のうちに考えてしまうのである。そのためマインド・コントロールを受けている信者は、自分が主体的にこの団体を選んだと本気で思っている。
 帰りづらい空間の演出の特徴として、勧誘者に好意を持たせる(好意を持つ相手の頼みは断りづらい)、大人数で少人数を勧誘する(軟禁状態にする)など。帰りづらい空間を作り出したら、強圧的な態度(ただ脅しによる契約は破棄できるので、宗教団体はまず使わない)や、交代制の勧誘で同じことを繰り返す(疲労感を与える)などして「帰りたい」と思わせる。「帰りたいのに帰れない」、そんな状況を打破する手段として、被勧誘者は相手の要求を呑んでしまうのである。

好意を持たせる

 好意を持つ相手の頼みは断りづらい(好意の法則)が、そのテクニックは様々である。特に使われるのは「褒めちぎる」ということ。人間褒められて悪い気がする者はいないので、とにかく褒めて褒めて褒めまくる。すると褒めてくれた人には好意を持ち、なんらかの形で恩返ししなければならないという考えに捕らわれるのである(返報性の法則)。
 また握手されることも多い。ボディタッチは好意を持たせる重要なテクニックであるため、勧誘会場のすべての人が握手を求めてくる。特に異性に握手されていい気になってくると危険である。他にもアロマや香水など、合コンのとき見習いたいぐらいのテクニックを駆使してくるが、これはすべてマニュアル通りやっているだけである。君に好意があるわけではない。

恐怖を与える

 「このままでは地獄に落ちる」とか「会に背いたら天罰が下る」などといって恐怖を与える。最初はずっと簡単で、「このままでは大学生活が無色透明になる」とか「不吉な手相である」程度のことであるが、勧誘が進むに連れて徐々にエスカレートしていき、「日本が滅ぶ」、「家族が死ぬ」、「祖先や子孫すべてがあの世で苦しむ」など、被勧誘者のせいで周りの人みんなに深刻な不幸が訪れるかのように信じ込ませていく。そのため周りのことを考えるいい人のほうがカルトにはかかりやすい。ちなみに、政治カルトが念仏のように叫ぶ「戦争狂に支配される」というのも同様の効果があると思うが、なぜか誰も相手にしていない。

価値の演出

 人間は権威に服従しやすい。そのためカルトは勧誘の際、著名人の話とその団体の教義の共通点を探したり、著名人が入会してるとか、教祖と親交が厚いなどと言って安心させるし、教義を教える人間の権威はひたすら高めようとする。統一協会はブッシュ元米大統領(父親)夫妻の写真をダミー団体の機関紙に載せたこともあるし、ライフスペースは高橋とクリントン前大統領やローマ法王が握手している写真を掲載したこともある。金大の自治会も、「賛同者」の中に金大の教授や吉永小百合(肩書きはなぜか“俳優”)を列記する。このようにして、団体の価値を高めていく。
 価値の操作でもう一つ重要なのが、希少性の強調である。人間は限定品に弱い。これは自分の選択肢が減っていく恐怖に対応するためであるが、カルトはそれを利用し、「始めるなら今しかない」とか「この団体との出会いは奇跡的です」、「今やらなければ大変なことになってしまう」、「あなたにしかできない」などと言って、限定されたものであることを強調する。その結果、「これを断ったら大損するかもしれない。とりあえずどんな団体かを見極めて、気が乗らなかったらやめればいい」と思ってしまう。もちろんその後には恐怖喚起のプログラムが組まれており、どんなに気が乗らなくてもやめるわけにはいかなくなってしまうのである。

社会的比較の制限

 カルトは勧誘プログラムの最中、被勧誘者に対して、その団体内で話されていることを他人に内緒にさせる。建前上は、「君はまだこの団体のことがよくわかっていないから、人に話さないほうがいいよ。変な宗教に引っ掛かったと思って心配するだろうから」ということになっているが、本当に親などが心配してマインド・コントロールの邪魔をされると困るからである。合宿などに参加させるためには嘘の指導もする。また勧誘プログラムは連日行われる場合があり、友人関係が疎遠になっていき、止める者がいなくなる。
 また、酷いものになると、TVや新聞すら否定する。エホバの証人たちは会発行の本以外は絶対に読まない。政治カルトでは大手新聞の言説は嘘だらけと教える。カルトの教義はその団体内の特有の社会でのみ受け入れられるものであるため、外界の一般的な文化と比較した場合崩壊する場合があるからである。特に近年はネットが流行しているが、ほとんどのカルトで2ちゃんねるなどへのアクセスが禁止されている。

異常体験

 オウム真理教の麻原がなぜ自分を信用させることができたのか、その理由の一つとして神秘体験を指導したことが挙げられる。被勧誘者や信者は麻原の教える修行を実践することによって、幻覚など麻原が予言した通りの超常的な体験をしたり、あるいは麻原の手による超能力を目撃することによって、麻原に対し「本物である」と確信していったのである。実際には強烈な暗示であったり、長時間ストレスを与えることによる脳の錯乱であったり、大掛かりな手品であったり、果ては薬物によるトリップであったりするのだが、そうともしらず受けたものにとってはリアルな異常体験であるため、超能力者に対する畏怖と憧憬が生み出され、絶対的な信頼につながるのである。

催眠

 カルトは、巧妙な催眠を行う。学術的なことは知らないが、催眠とは一言で言えばまどろみの状態を作り出し、批判的思考をストップさせて、思想を無批判に注入することである。そのために睡眠を制限したり、食事を制限したり、心身ともに疲れさせたりするする。精神的に疲れさせる方法として、強烈な感情をシャワーのように浴びせたり(地獄の生々しい説明や、キリストの磔シーンを語るなど)、逆に独房のような部屋であらゆる刺激をカットして、退屈から混乱するように仕向ける(過少刺激)。

脱会者への非難

 勧誘の段階で、あるいは入会後になって、「これってやばい団体なんじゃないか?」と疑ったり、逆に団体から「こいつは使い物にならない」と判断された者は脱退していくが、カルトは彼らを攻撃する。親鸞会では、脱会者のことを「敗残者」と呼んで非難している。これはつまり自分が脱会したとき、同じように敗残者と呼ばれ蔑まれることを意味する。このためカルトのメンバーは脱会というものに恐怖を抱く。その一方で、「自分たちは真実を知るエリートだ」という選民思想が生まれ、そのために信者としてのアイデンティティが強化されたり、何も知らない“愚民”たちを入会させるために嘘をもつくことに罪悪感を覚えなくなるのである。
 なお、脱会者への非難は組織内部の秘密を保持するのにも効果がある。脱会者は脱落者、裏切り者というレッテルを自分自身に貼り、その罪に苦しみ、恥と思っているため、組織の秘密を暴露することができなくなってしまうのである。

質問には答えない

 宗教カルトにとって、教義は絶対のものであり、それに疑問を挟むことは許されない。そのため被勧誘者が教義に疑問を抱いて質問してきても、教義に書いてあることを繰り返す以外できないのである。カルトでは事実上、自分の意見を持つことを禁じられている。このように思考停止を強いるカルトは、宗教のみならず政治・商業のカルトでも同様である。団体の言っていることに疑問が生じるというのは自分の勉強が足りないからであり、理解能力が低いからだとメンバーは思っている。だから疑問が生じても、「いつかわかるときがくる」と思って先に延ばし、やがて何に疑問を抱いていたかも忘れてしまうのである。
 そのため、被勧誘者が疑問を持った場合は他の被勧誘者の目の前で質問を受け付けるということは絶対にしない。その疑問が他の被勧誘者に伝染するのを防がなければならないし、万一教祖や講師がその質問に答えられなければ、その権威が失墜してしまうからである。質問は個別に受け付け、個別にはぐらかす。まるで「そんなくだらないことにこだわっているのは君だけだよ」と言わんばかりに。


 以上が勧誘の際にみられる典型的な共通点です。これはまたマインド・コントロールの特徴でもあるので、以上の項目のうち複数に該当する勧誘を行っている団体は破壊的カルトと考えて差し支えないと思います。
 このようなマインド・コントロールは勧誘期間に限らず、入会後もより強力に行われていきます。


■カルトの誤解

 統一協会の騒動、一連のオウムによる凶悪事件によって、カルトは得体の知れない、恐ろしい組織だという認識が広まりました。しかし日本では専門的に報道するジャーナリズムが立ち遅れていたといわれ、洗脳やマインド・コントロールについての正しい知識が広まらず、むしろイメージ先行の間違った認識が一般にあるようです。その結果、「こういうことをしていないんだからこの団体はカルトではない」という間違った定規でカルトを測るということが行われているような気がします。ここでは、破壊的カルトの間違った認識を紹介します。

食事制限はするのか

 人間は栄養不足になると脳が鈍くなり、批判的思考ができなくなる。結果組織の教義を鵜呑みにするようになる。また、いわゆるパブロフの犬の論理で、受ける人間の行動を統制できる(直接思想まで統制することはできないらしいが)。そのため食事制限をするカルトは実際に存在する。
 だが、まったく組織の教義に触れていない人に、食事制限を強制したらそれは逆効果だろう。組織に寄り付かなくなってしまう。統一協会では、食事が粗末になるのは実際に献身したあとであり、思想を維持する程度の効果はあるとしても、重視されていない。実は勧誘段階ではむしろ逆で、ツーデイズやフォーデイズでは手作りのおいしい料理を沢山、みんなとテーブルを囲んで食べる。人間は共に食事する人に好意を抱く心理があり、またアットホームな雰囲気で一体感を作り出し、同調性を引き出して集団催眠に持ち込む。マインド・コントロールにとってはそっちのほうが利があるのである。

睡眠制限はするのか

 こちらは食事制限よりも行うカルトは多いだろう。睡眠を制限することによってまどろみの状態を作り出し、耳から入ってくる情報を無批判に受け入れさせる。しかし、これもあからさまにやったのでは怪しまれるだけである。
 統一協会の場合、ツーデイズは23:00か23:30就寝、6:00起床である。被勧誘者同士が仲良くなるのを防止するため、必ず寝るようやかましく指導される。眠れなくなるのは新生トレーニングからで、これは0:30就寝、6:00起床であるが、他人のいびきや朝5:00に自発的に祈りをする人がやかましいから睡眠不足になるのだという。実際には組織が狙っていることではあるが、一見組織に責任はないように思えてしまう。

レクリエーション

 オウム出家信者のイメージだと、カルトには遊びの時間がないように思える。もちろん正式な信者、特に出家や献身をした信者には一分もない。しかし勧誘段階では結構ある。
 統一協会の場合、合宿中に必ずレクリエーションがある。サッカー、バレーボール、イス取りゲームなどである。もちろんこれには意味があり、身体を動かすスポーツをすると子供のような純粋な心理状態になること、疲労で催眠状態に入りやすくなること、恥ずかしさを捨てて集団と一体になるという感覚を植えつけることなどが挙げられる。

自己中心的な人間になるのか

 カルトのメンバーはエリート意識があるため、確かに内面で周りより優越感を感じる。その結果人間関係が冷めていき、組織外に友人がいなくなることは多い。だが、自己中心な行動に直接出るか否かは、団体によるだろう。いくら自己中心的な考えを無意識のうちに抱いていても、それを否定する教義が存在する場合もある。個を否定したほうが、搾取が簡単だからである。
 また、社会的に善いとされることをやらせて、親の目を誤魔化す場合もある。家の手伝いをさせ、たばこも酒もやめるようになってしまえば、親は素晴らしいセミナーに参加していると考えてしまう。実際には個性が破壊され、使命感ややらなかった場合の恐怖感(天罰や親による強制脱会など)を煽られてやるように仕向けられているだけである。決して彼らの社会意識が高まったわけではないことは、平然と嘘つき勧誘や詐欺的商法に走る姿を見れば容易に判断できるだろう。


■カルト撃退マニュアル

 カルトに引っ掛からない最善の方法は、宗教・政治関係の団体には近寄らず、うまい話には乗らないようにすることです。しかし宗教にすがること自体は決して有害無益ではないはずですし、しっかりした政治的意見があるなら徒党を組むことは悪いことでは決してありません。また本当に儲かる話なら乗りたくなるのも人情でしょう。なにより、カルトという恐怖を煽って閲覧者の自由な思想・経済活動を制限するなら、カルトと何も変わらないことになってしまいます。
 そこで、勧誘を受けた団体がカルトであるか否かを見分ける質問方法を紹介します。団体に興味はあるけど、ちょっと怪しいなと思ったら、次の質問をぶつけてみてください。相手の話を遮ってでも訊くべきですし、あなたには十分にその権利があります。質問はつねに率直に、友好的な態度で行い、答えも具体的なことを要求することを心がけてください。大部分のカルトはごまかしを使いますが、勧誘者個人は悪意を持って嘘をついているわけではないので、率直な質問をとことんまで訊きだすことで、正直な話をしていないのか、正直な話ができないでいるのかがわかると思います。もし質問に答えてくれない場合、たとえば話を変えてきたり、「あなたはどうですか?」と聞いてきたりしても、求める答えが返ってこない限り絶対に入らないことです。たとえ本当に人生の目的を探すサークルであっても、純粋なジャーナリズムに基づく新聞サークルであっても、そんな不誠実な人間がいるのであればやっていてもつまらないはずです。嘘をついているなら、尚更でしょう。「嘘つきは信じられない」と言って逃げればいいのです。
 それでは、以下に質問例を示します。(参考:『洗脳撃退マニュアル』ほか)

@団体についてはっきりさせるA勧誘者自身について訊いてみるBその他の質問Cその他気をつけること


@団体についてはっきりさせる

 勧誘されている団体について質問することは、入会する上で当然過ぎる当然の権利であるし、勧誘者は団体について説明する義務がある。これをはっきりさせずに入会することは絶対にしないこと。

「どんな団体ですか?」

 これはサークルなのか、学生有志が集まる集会なのか、大学が主催する新入生への説明会なのか、まずはそこからはっきりさせる。私の場合、「これはサークルですか?」と聞いただけでたじろいだ。必ず団体の名前もはっきりさせよう。

「週何回どんな活動をしているんですか?」


 週に何度集まり、どんな話をし、どんな話を聞くのか。どんなことを主張してどんな活動をしているのか、どんな物を売っているのか、目的はなにか。徹底的に訊く。答えに窮したら「メンバーなのになんでそれを答えられないんですか?」といって帰ればいい。

「活動の資金源は何ですか? どのくらいのお金がかかりますか?」

 どんなサークルであっても、当然訊くべき問題。会費が信じられないぐらい高かったらそれを理由に断ろう。逆に会費が安かったら、資金源をはっきりさせよう。食費や交通費についても訊くこと。

「関連団体はありますか?」

 指導的立場にある団体はあるか尋ねる。これは早めに訊いておこう。嘘をつかれていたら後で必ずバレるので、その時点で怒って帰ればいい。

「○○団体との関連は?」

 もし関連がありそうな団体を知っているなら、試しにその名を出して反応を見るのもいいかもしれない。相手は意図的に団体名を伏せているので、相当動揺するはずである。金大ならば、「統一協会」「親鸞会」「革マル派」あたりを出せばビビって帰してくれやすくなる。ぁゃιぃサークル参照のこと。ただし、創価学会やエホバの証人の場合は団体名を明らかにしてからしつこ〜〜い勧誘をしてくるので注意。


A勧誘者自身について訊いてみる

 勧誘者は団体の実態を誤魔化す手段はマニュアルによって会得しているが、勧誘者本人を誤魔化す手段はなかなか身につけていない。被勧誘者は自分のことばかり喋るのはフェアじゃないとして、まず勧誘者に質問しよう。できれば複数の勧誘者にこれを訊く。もし答えがほとんど同じなら、それはマニュアルで喋っているということである。

「あなたの名前は? 出身地はどちらですか?」

 これに答えてくれなかったら120%破壊的カルト。強烈な破壊的カルトでは自己の存在を否定されているので、これすらはっきり言わないことがある。

「年齢は? 何年生ですか? 何回生ですか?」

 何年も大学に残り続けて活動を続けるカルトメンバーにはイタタな質問。もし明らかに見た目に合わない年齢を言ってきたら学生証や免許証を見せてもらおう。持ってないとか言って見せてくれなかったら嘘と考えてよい。

「○○大学の学生ですか? 学部はどちらでどんな研究を? 職業は?」

 大学のキャンパス内で声を掛けているといっても、その大学の学生であるとは断言できない。金大の入学式には北陸の親鸞会学生信者が応援に来る。必ず所属を確認しておこう。「学生じゃないよ」と言われたら、大学関係者か、どんな研究や仕事をしているのかをはっきり訊く。「この団体の仕事をしている」と言われたら、給料は誰が払っているのかもはっきり訊くこと。その時点でサークルでは有り得ないので、サークルだと紹介されていたら嘘をつかれたと言って帰ろう。

「この団体に入ってどのぐらいですか?」

 もし入会期間が異様に長かったら、その人が卒業後また大学に入りなおした可能性がある。またこの質問以外でも曖昧な答えが返ってきたら、「○年もやっているのにどうしてそんなこともわからないんですか?」といえばよい。

「なぜ入ったんですか? 入る際に疑問や不安はありませんでしたか?」

 「疑問や不安はあったよ。でも騙されたと思ってやってみたらそんな疑問はすべて解けて、不安はどこかへふっとんじゃったよ」と言われたら、当初どんな疑問を抱いていて、どのように解決したのかを訊く。またなぜ疑問や不安があるのに始めたのか、「騙されたと思って」始めさせたのは何だったのか、徹底的に訊く。カルトメンバーは仮に当初疑問や不安を抱いていたことを覚えていても、それが何だったのかはすでに忘れている。つまりは全然解決していないことが多い。騙されたと思ってやってみる、そうしてみんな騙される。

「この団体または指導者で、あなたが嫌いな点、改めたほうがいいと思う点を教えてください」

 どんな団体にも、どんな人間にも欠点はある。しかしカルトではメンバーが団体や教義・指導者を批判することを最大の悪としているため、できないのである。だから「この団体は完璧だ」と言っていたら、それはマインド・コントロールされていると思ったほうがよい。
 もし率直に団体批判が返ってきたら、なぜそれを直さないのか、或いはなぜ直せないのかを訊いてみる。その答えから、どんな団体であるかを分析した上で、入るか入らないか考えればいい。もちろん、あくまでも「率直で素直な」答えが返ってきた場合は、である。


Bその他の質問

 以上の質問をしても尚判定が難しかったら、さらにいくつか質問しよう

「あの人について教えてください」

 会場にいるメンバーらしき人なら誰でもいいが、勧誘者の異性のほうがいいかもしれない。カルトメンバーは自分の部下の情報は山ほど持っているが、指導者や同僚の情報はほとんどないことが多い。特に学生の場合、二人で辞めていくことの防止から会内部での恋愛が禁じられていることが多く、異性の情報がまったくない場合がある。助っ人の場合全く面識がないこともあるだろう。おまけにカルトのメンバーはお互いがお互いを監視してる状況にある場合もあり、その場合自分の情報はうかつに他人に漏らさない。そこで勧誘者の異性を指して、名前、学部、出身地、血液型、星座、好きな音楽や映画、勧誘者と普段どんな話をするかなど訊きまくろう。極端に答えに窮していたら、疑ってもいいだろう。

「最近のTVやニュースについてどう思いますか?」


 極端なカルトの場合、新聞を読んでなかったり、TVを見ていないことがある。そのため最近の情報が一切わからず、忘れられた事件や消えたアイドルの話をする可能性がある。なお政治カルトの場合はどこから持ってきたのかもよくわからない情報を根拠にしてやたら演説してきたり、逆に複数の新聞を読んでいたりする。このような不自然なことがあったら、とりあえず疑っておこう。政治だけでなく、スポーツや芸能、ファッションについても訊きまくろう。

「この団体を辞めていく人についてどう思われますか?」

 入る者がいれば辞めていく者もいる。普通の団体なら脱退者について「残念だ」ぐらいにしかいわないが、カルトの場合は敗残者として罵倒する。このような団体ならばまず入らないほうが身のためだ。辞める権利は入る権利と一体のはずである。
 もし、「辞めた人もいるけど仲良くやってる」と言われたら、「その人はなぜやめたんですか?」「この団体の不満について話し合いましたか?」などと訊いてみよう。言葉に詰まったら敬遠すべきである。


Cその他気をつけること

 質問事項ではないが、次のことには気をつけよう

「あなただけ」「今回限り」には注意する

 カルトはこの勧誘が数少ないチャンスだとほのめかして入会を急かす。注意すること。

別の場所に連れて行かれそうになっても行かない

 カルトは必ず場所を変えたがる。とにかく勧誘に有利な場所に追い込もうとする。問題ない団体だと確認しない限り動かないこと。

褒める相手には要注意

 事あるごとに褒めてくるのは何か下心がある可能性がある。注意。

借りは作るな

 カルトは自分たちに感謝させようとする。返報性の法則を利用したいのである。お節介は極力断るように。

約束は守る必要がない

 もし再び会う約束をしてしまっても、勧誘されている人間には守る必要など全く無い。怪しいと思ったら二度と会わないこと。

嘘をつかれたら徹底的に追及する

 逆に、相手からつかれた嘘は追及しよう。いくら後輩といっても勧誘される側のほうが立場は上である。「この集会に出ればすべてがわかると言われたのに、そんな話全然なかったじゃないですか」とか騒いで、なぜ嘘をついたのかはっきりさせる。「あなた方は目的のためなら手段を選ばないんですか?」などといえば答えに窮するだろう。

挑発には乗るな

 「せっかくここまでやってきたのに途中でやめるの?」「あなたみたいに甲斐性のない人は何をやってもダメだね」「新しい環境に入るのが怖いんでしょ?」「あなたは既存の常識に捕らわれている」などの挑発的な言動が来てもクールに対応してほしい。カルトは「悔しいからもうちょっとがんばろうかな」と考え出すのを待っているのである。

その場で入会しない

 入会したくなってもその場では絶対にしない。「考えさせてください」といって時間を置くこと。その間にネットなどで団体についてとことん調べること。もし「この場で決めないと次はない」とか「すぐに決断できないのは意志が弱い証拠だ」とか言い出だしたら、それはカルトと見て間違いない。問題ない団体ならば、「前向きに考えてね」と言って連絡先を教えてくれるだけである。


 以上のようにして、勧誘してきた団体を見極めてください。このような質問をすればカルト側でも「こいつは手ごわい」とか「もしかしてこっちが嘘ついてることに気付いてる?」と考え、帰してくれやすくなります。それでも帰してくれなければ、はっきりと「もういいです、帰ります」と言ってください。もしその勧誘会場に他にも勧誘されている人がいる場合、あなたの態度が彼らに伝播することを恐れてすぐに帰してくれるはずです。家に訪問勧誘に来た場合は、「警察呼びますよ?」と一言言えばすぐ帰ります。それでも帰らなかったらホントに呼べばいいです。たとえ通報後すぐに帰られても、警察には事情を説明すればわかってくれます。


■カルトから脱出する方法

 もしも団体の教義に疑問がある、団体の行動についていけないなど、「脱会したい」と思った場合、普通の団体ならば一言「脱退します」と言えば脱退できます。もちろん引き止める説得もあるでしょうが、頑なに決めた行動を邪魔する権利は団体にはありません。しかしカルトの中には、脱退を希望するとしつこく考え直すことを要求し、なかなか辞めさせてくれない団体があるのも事実です。このような場合どうすればいいのでしょうか。以下ポイントを紹介します。

「相談」ではなく「通告」を

 破壊的カルトでは上下関係が厳しく守られており、個々の行動はホーレンソー、つまり上司に報告・連絡・相談して指示を仰ぐよう厳しく指導されている。普通の団体ならば団体が主体的に行う活動の範囲でしか適応されない上下関係だが、カルトではプライベートにすら及ぶのである。管理されるというのは非常に楽なことなので、このような状況に慣れてしまうと、何をするにも上司の指示を仰ぐ習慣が身についてしまう。
 そのため、団体を辞めようと思って上司に相談に行き、そこで巧みに説得されてしまうということは大変よく起こることである。団体内で指導的立場にある上司は何人もの脱会の相談に乗ってきた経験もあり、また脱会希望者の性格は熟知している。引き止める方法がマニュアル化されている団体もある。そのため脱会するときは、上司に相談するのではなく一方的に通告したほうがよい。脱会する権利は思想の自由・結社の自由の一部である。ばつが悪いなどとは考える必要はない。

絶対に会いに行かない

 脱会を通告するために、一人で集会場所に行くようなことは絶対にしてはいけない。行くと必ず説得され、考えを改めるまで長々と話をされたり、監禁されるカルトも存在する(オウムではその上薬物まで使用した)。もし組織に服などの荷物を置いていたら、自分で取りに行くようなことはせず、信頼できる人に頼んで取りに行ってもらう。あなたは団体の魅力を十分に知っているので、不安定な時期に団体に接触するのは避けたほうがいいだろう。もし団体の規則で「退会の際には面談しなければならない」などとあっても、守る必要はない。

家に押しかけてきたら

 説得のために家に押しかけて強制的に説得の場を持とうとする場合がある。一度団体を信じた者をもう一度信じさせることは、何も知らない者を新しく入会させるより簡単である。そのためカルトは脱会者を復帰させるために、強制的に会見させ、恐怖を送り込む。
 このような場合、脱会者が一人で対処するのは困難である。必ず家族など、信頼のおける人に相談してほしい。一人で大人数のカルトに対処すれば、、正常な判断が徐々に失われていってしまう。そんなとき、とめる人が必要なのである。
 またもし暴行、連行、軟禁などされそうになった、ドアをこじ開けてでも家に入られそうになった、毎日家の前で出るのを待っているなどという場合には、警察や弁護士に連絡したほうがよい。それがあなたのためにも団体のためにも最良である。また、そのような場合、ビデオや録音テープを証拠として用意したり、経過をつづったメモをつけておくと、トラブルがあったときによい。

確実に脱会するために

 確実に脱会するためには、弁護士に相談するのが最適である。弁護士費用は各事務所で異なるが、大体一万円前後で相談に乗ってくれる。学生には高額だが、生涯カルトに払い続ける額に比べたら大したものではないだろう。事件として弁護士に依頼する場合はずっと高額になるので、かなりこじれそうな場合は早めに親などの援助を希望したほうがいいだろう。
 また、郵便証明付きの内容証明郵便という手段もある。脱会通告に内容証明郵便を使うと、法的に脱会意思を示したことが明確になり、以後トラブルがあった場合は団体が非常に不利になるため、しつこい再勧誘を法的に拒絶する有効な決め手となるだろう。脱会通知の書き方例はこちら


 会全体と口論でもしているのなら別ですが、多くの場合脱会というのは相手を拒絶することであるので、気まずいものです。カルトではそれを狙って日頃から恩を売ってきたり、我が子のように気に掛けていることをアピールしてきますので、気まずさは尚更でしょう。しかしどんなに円満な脱会を目指してみても、カルトにとって脱会とは所詮脱落であり、どんな理由があろうとも背教であると教育されている以上、円満な脱会などあるわけがないでしょう。もしあるとすれば、それは以後の再勧誘の布石でしかありません。そのことを考えれば、多少喧嘩腰で脱会していったほうが賢い選択だと思いますし、少なくともそっちのほうが脱会しやすいことは間違いありません。
 とはいえカルトは生活の大部分を支えるものだったわけですから、脱会後の虚無感はかなり大きいそうです。再びスムーズに社会活動が行えるよう、カウンセリングを受けることが推奨されています。


■おわりに

 以上、カルトの勧誘方法についてその傾向と対策を紹介しましたが、最後に実際に入会し、マインド・コントロールされた人を救出するための方法について触れたいと思います。
 まず注意しなければならないのは、カルトからの救出は少人数でできるものではないということです。友人数名が世話を焼いて本人を説得しても、本人は確信を持ってそのカルトに所属しているわけですから、腹を立ててその友人たちと絶交するか、またはその友人たちまでマインド・コントロールしてしまうかのどちらかです。これは家族でも同じことです。もしあなたの友人が破壊的カルトに嵌っていることがわかったら、本人に気付かれないよう親御さんに連絡してあげてください。
 自分の家族がカルトに嵌っているとわかったら、絶対に本人を責めたり、叱りつけたりすることはしないでください。もし責めつけて本人が家族に心を閉ざしてしまうと、救出が非常に難しくなります。温かい心で受け入れるようにし、本人が自分から間違いに気付くのを待ってください。
 また、必ずカルト問題に詳しい第三者に相談してください。弁護士や救出カウンセラーなどを探してください。ただし彼らは救出の手伝いをするだけで、救出の主体は本人と家族です。必ずカルト問題やマインド・コントロール、カルト救出を扱った書籍を読んで勉強してください。書籍については以下に参考として紹介します。
 最後に、すでに自力でカルトから抜けてきた人にお尋ねします。適切なカウンセリングは受けましたか? カルト問題について勉強しましたか? もし適切な善後策をとらずに、辞めてから何もしていないというのでしたら、必ず参考に挙げた本を読んで適切な処置を受けることをお勧めします。なぜなら自分から会を辞めただけでは「会の実態は嫌いだけど教義は完璧」という考えが残り、会に戻る人が絶えないからです。自分がマインド・コントロールされていたのか否かをしっかり考えてほしいと思います。



オススメ書籍


『マインド・コントロールの恐怖』 スティーヴン・ハッサン著/浅見定雄訳

 統一協会のアメリカ支部でトップに君臨していたハッサン氏が、自分の被マインド・コントロール体験を紹介した書。マインド・コントロールとは何なのか、受けるとどのようになるのか、どのように救出されるのが望ましいのか、救出後どのような後遺症が残るのかについて紹介してあります。氏自身カルト被害者救済に尽力しており、アメリカのカルト問題全般を扱っていますが、第六章「カルトの評価」は今回のコンテンツに大変参考にさせていただきました。


『マインド・コントロールとは何か』 西田公昭

 マインド・コントロールとは何か、どのようなテクニックを使っているのかを、社会心理学的に解説した一冊。実験例などが挙げられ、非常にわかりやすく、面白い本になっています。心理学に興味がある方は是非ご一読下さい。


『統一協会マインド・コントロールのすべて』 郷路征記

 名著。統一協会のマインド・コントロールが如何にして行われているかを、被勧誘者が辿る順序で、舞台裏までしっかり解説しています。上記の『マインド・コントロールとは何か』と併せて読むことで、マインド・コントロールの理論と実践がはっきりとわかります。なお、統一協会にスポットを当てた本ですが、すべてのカルトに共通する部分が見出せると思います。


『洗脳撃退マニュアル』 高橋信吾監修

 今回のコンテンツを作るきっかけになった一冊。洗脳とマインド・コントロールの違いが明記されていないのが気になりますが、「人の心を支配する」ことの研究・実験の歴史や、現在のカルト問題について図解しています。絵入りの上に各項が細かく区切られているので大変読みやすく、一日あれば十分読みきれる内容です。


『Q&A 宗教トラブル110番』 山口宏/滝本太郎/紀藤正樹共著

 オウムや統一協会はじめ、あらゆるカルト宗教の問題について、カルト問題に詳しい弁護士の方々が法律的にどうすればいいかを解説してくれます。日本のカルト問題は広くカバーしていますので、宗教トラブルがあった場合はまずこれをご覧になることをお勧めします。


今後さらに追加する予定です。
WEBサイトについては追って紹介します。





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