“誰も書かなかったチュウ国(前編-8-)”
[街で、旅行先で、-1-]

私が滞在したセッコウ省クイシュウ市はその昔、南ソウの時代のチュウ国の首都だったのですが、ここにはサイ湖(又はセイ湖)と言う有名な湖があり、その中にハクラク天が創った、と言われる堤があり風情が山水画のようで大変気にいってました。

しかし日曜日湖の周りを友人の美人ク-ニャンと散歩しようとしても押し売り、物貰い、下品な観光客などがウヨウヨしていて、とてもじゃないが散歩もおちおちできません。またペキンのテンアンモン広場はただただ、だだっ広いだけ。門上には3メ-タ-四方は有るかと思われる、バカでかいモウタクトウの肖像画。

ジンミンダイカイドウでは、例のヨレヨレ軍服に身を包んだ20歳前の赤ら顔の衛兵が威厳をこらしている。映画ラストエンペラ-の舞台、シキンジョウのコキュウ博物館は、それなりに古きロマンの面影を忍ばせますが、バンリのチョウジョウはやっぱりマナ-を知らないチュウ国人観光客とチョウジョウの上でコカコ-ラの押し売りにあって興醒め。

観光客目当ての押し売りは半端じゃありません。こちらが何回断ってもそのしつこさにはまいります。断っても断っても、こちらが買うまでずっと一緒について歩くのですよ。本当に最後は私など日本語で「バカヤロ- !!ウルセ- !!」と怒鳴りました。女房など彼らのしつこさに「さすがカキョウ、、、」等と変に感心してましたがね。

しかし実はチュウ国では「バカヤロ- !!」は禁句なんです。戦時中の日本兵が彼らにそれを連発していたのて゛、、、、、((しかし戦時中と現在とは違うとは言え、私個人的には日本兵のその暴言も解るような気がします。押し売りに限らず業務上や他何かにつけて怒鳴りたくなります。))とにかくチュウ国中、観光地はこんな状態なので、せっかく楽しみに旅行、見学したいと思っても、私なんかイライラが高じて早く自分のホテルに戻りたいとばかり考えていました。

"みせしめ"の公開裁判

我々の会社の日本人はホテルに住んでいて、((シャンハイには外国人が安心して住めるようなアパ-トも有るが、わずか150Kmしか離れていないクイシュウ市にはまだ無かった。))

毎朝、ホテルから会社まで15分ぐらい社のマイクロバスで通勤していた。会社までの道路の途中に一個所、ちょっとした広場があり3年間の内、数回その広場で軽犯罪者の公開裁判をしているところを目撃。

2,30人程の男女が3列に並び、全員手錠を掛けられ互いの身体を"荒縄"で連結されている。男は丸坊主、女は極端に短く髪を切られ、全員俯いている。列の前方には囚人に向き合って数人の機銃を持った警官が並び、その中程に"コウアン"の腕章を付けた軍服姿の男が何やらマイク片手に読み上げている。広場の周りは野次馬が多数、見守っている。よく聞き取れなかったが、要するに一人一人名前と犯罪内容を読み上げているらしい。一人が終わるごとに野次馬からなにやら奇声があがっている。 その広場ではいつも、こそ泥とかひったくり、かっぱらい類の軽犯罪者だけを公開裁判した後、収監するとの事。だから噂に聞いていた裁判直後の銃殺刑は見れなかった。

銃殺刑は地方田舎の方ではやはり時々実施されてる。との事でその場合、銃殺に使った弾丸などの費用は全額、囚人の残された家族が国家警察に支払うらしい。残された家族こそ、ふんだりけったり。

これすべてコウシン国特有の"みせしめ"であり、それでもなかなか犯罪は減らない。

"みせしめ"の習慣は我々には何となく抵抗が有るが、前記「整理が下手、、」の項で書いたように、会社で決められた規則を守らせる為には、当初私なんか説明、説得で理解させようと努力したが、結果はダメの場合が多く、結局ペナルティとか、掲示板で規則違反者の氏名と違反内容を公開掲示することにより、改善出来た。不本意ながら、、、、こんな国ではやはり一種の"必要悪?"かもしれない。

"コウアン"と言うチュウ国語の二文字はチュウ国人をビビらせる絶大な効果があり、発音も日本語と同じ。日本で言えば戦時中のコウアンケイサツ、憲兵みたいな印象でしょう。いわゆる"コウアン"ではない普通の警察官もチュウ国では恐れられています。交通整理のおまわりさんから交通違反のドライバ-がこっちがびっくりするほど大声で、こっぴどく叱られているのを良く見掛けました。しかし自転車が信号無視していてもあまり気にしていない様でそれが不思議。日本の歩行者優先と言いながら実際は車優先社会でなく優先順は、まず自転車、次に歩行者、最後に車、、、、て感じがします。これは良い事かも ??


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