“誰も書かなかったチュウ国(前編-4-)”
[会社生活で...その1]

私が勤務した日チュウ合弁企業は各種電気、電子部品、プラスチック成形、板金工場、、、等が集合されたクイ州では有数の大企業だったが、その中で私が工場責任者として勤務したのは家電用のある電子部品工場だった。 当時、全社員数800名、内私の工場は200名程で全てチュウ国人。日本からの駐在員は全社で10名程。
私の工場では工場長の私1人が日本人。副工場長、部課長、係長、一般、全てチュウ国人で課長以上が大卒、係長が高卒、以下中卒、、おおよそこのような職階になっています。我々の製品は半導体に次ぐ精密部品で、当然工場は防塵クリ-ンル-ム、工場内は全て頭の先から足の先までの防塵服、作業者は素手で資材部品を触らない様、両手小指を除き他は全て指サック使用。その他もろもろ、社内の他の工場よりはるかに厳しい工場規則を作り運営していた。例えば、、、、

《掃除が下手という話》
クリ-ンル-ムと言っても半導体工場ほどクリ-ン度は高くないので、どうしても隙間から埃、ゴミが入る。(前にも書いたように日本より街全体が何故か埃ぽい。)従って品質管理上ワ-カ-には朝、作業前と終業時に作業場を掃除させるのだが、これがまともに出来ない。まず、雑巾がけ、、、 これが出来ない。手で雑巾を押さえて擦るように拭く、、、これがダメ。雑巾の端をつまんで撫でるだけ。汚れても水で洗おうとしない。水につけても搾る事を知らない。床のモップがけもいいかげん。擦るように、と私自らやって見せてもダメ。手順もメチャクチャ、床に掃除機をかけ、モップで拭いた後に机の上のゴミをまた床に落とす。
掃除が下手糞なのは何もワ-カ-だけではない。彼女らはクイ州近郊の農家の中卒娘が大半だったが、私が滞在していたホテルの従業員でも同じ。さらに大卒の男女とも似たり寄ったり。要するに学歴教養に関係ない。掃除そのものを家庭でもあまりやっていない。勿論自分の家はそれなりに奇麗にしているが、チュウ国人全般的に掃除、特に拭き掃除、雑巾がけは間違いなく下手。

《動作が乱暴という話》
次に、、、物を置いたり相手に渡す時、必ずと言っていいほどポィ!!と投げる。工場で一度問題にしたのは部品やノギス、マイクロメ-タ-などの測定器を投げるようにして机の上に置いているのを見た時、厳重注意したが、一度や二度の注意ではこの悪いクセは直らない。この物を投げる、という習慣も工場のワ-カ-だけじゃない。街で買い物して金のおつりを貰う時も、必ず投げ与えるようにポィとこちらに渡す。またチュウ国人は友好の印としてタバコを互いに薦めるが、日本人のように箱のまま相手に差し出すのて゛はなく、自分の箱から1本抜き取ってそれを相手にポィと投げ渡す。いずれの例も最初"なんと失礼な!!"と頭にきた。
日本人で「チュウ国が好きな人」が我々の会社にも居たが、この人はこの"何でも投げる"クセを「彼らの習慣だから、、、」と言って笑っていたが、私は「もってのほか、投げて良いものと悪いものが有る。悪い習慣は例え嫌われても直させるべきだ !! 」とよく議論した。タバコは我慢できるとしても、投げていけないものは、投げてはいけないんだ !!

それから、お金で思い出したが、彼らは殆どの人が財布を使わない。持っていない。お札を直接ポケットに入れていて、この点はブラジル人と似ているがブラジル人の場合はちゃんとお札を畳んでいたが、彼らはクシャクシャに丸めて持ち歩き、相手に渡す時、その丸めたままクシャクシャの状態で投げ渡す。タクシ-運転手、商店員、その他ほとんどの人が同等。貧乏人の癖にお金を大切にしない。そして要するに物の取り扱いが乱暴で、大切にする習慣が子供の時からついてない。デリカシィ-が全くない。(余談だが、日本人はたいていの人が財布を使っているが、彼らの前で財布から金を出すのは気を付けた方が良い。"金持ち"と思われ、狙われる事もある。)

《整理が下手という話》
"物作り"は整理整頓から、、、3年間毎日言い続けてきた。とにかく整理がなってない。無頓着、散らかす事に慣れ麻痺してしまっている。だらしない事この上ない。日本人の整理下手、不精とはちょっと違う。作業台、机、の上に部品も資料も、挙げ句の果ては食い物まで乱雑に乗せる。工具類の整理、管理も悪く、作業で失敗すると工具や測定器類のせいにする。 作業台の上に余分な物を乗せなくなるまで3年間かかった。ベルトコンベア-による組み立て作業部門では特に徹底的に躾た。しかし間接部門などややもすると3日坊主になって徹底出来ないので最後はペナルティを課すことでやっと工場らしくする事ができた。後日、ある大卒のスタッフが「お蔭様で自分の家でも掃除や整理整頓の癖がつきました。」と、言ってきた時は"ざまぁ みろ!!"と、嬉しかったのも事実だが、反面、、、、
"我々日本人は技術をチュウ国人に指導するためにに来ているはずだが、技術以前のしつけ、とか生活指導から始めなくては物作りが出来ない"、、、ことを痛感した。

また、この整理下手も会社の中だけでなく商店、デパ-トでも同様。客の注文品を店の従業員が店内を探し回っているのをよく見た。ショ-ケ-スの品物は埃をかぶり、店員も掃除一つしようとしない。特に国営デパ-トはひどい。サ-ビスは"0"と言うより、もともとシャカイ主義の名残りでか? "サ-ビス"そのものの感覚がない。それと、ついでだがいわゆる物品の整理だけでなく資料、書類の整理も下手糞。
"売れ筋商品"の在庫を管理することも知らない。従って一度有ったからといって次に店に行った時はもうその商品は無い。売り切れ、でなく売り限り、、である。 工場でもその点がよく問題となった。在庫管理がダメなのである。材料が無くなってから発注する。従って生産計画が狂う。無くなる前に、事前に、この感覚がまったくなし。

「前の章」   「TOP」   「次の章」