第119回 [2006年5月20日] 【奥多摩/八丁山】
−Photo & Report by H.Tanuma−

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コ−ス=
JR青梅線「奥多摩」駅[9:14/9:30]〜(バス)〜東日原[9:55]〜
〜仕事道との分岐[10:20/10:25]〜巳ノ戸尾根上(860m付近)[10:55/11:05]〜
〜P1(1,120m付近)[11:45〜11:55]〜八丁山(1,280m)[12:25/13:10]〜
〜お伊勢山(1,338m)[13:35]〜鞘口ノクビレ[13:40/13:50]〜(巳ノ戸沢林道)〜
〜P2[14:40/14:50]〜稲村岩尾根道と合流[15:00]〜仕事道との分岐[15:15]〜
〜東日原バス停[15:30/16:17]〜(バス)〜JR青梅線「奥多摩」駅[16:40/16:52]

奥多摩の「秘峰」八丁山に行ってまいりました。近所の山々には何回も行っているにも拘わらず、これまで目もくれず通り過ぎていた山です。地形図で見ても、石尾根の主稜線から外れた、鷹ノ巣山の瘤のような山で、やはり篤志家向き。今回、八丁山登頂が主目的ですが、もう一つ、かつて高校時代には何度か通った巳ノ戸沢林道がその後通行禁止となり、20年以上経た現在どうなっているのかを確認したいという思いがありました。当初、巳ノ戸沢林道を遡り「鞘口ノクビレ」からお伊勢山、八丁山を目指し、最後は巳ノ戸尾根を下るつもりでしたが、勝手知ったる巳ノ戸沢林道を下りに使う方がより確実と思い直し、反時計回りで巡ってきました。

結論から言えば、八丁山初登頂、尾根の雰囲気、新緑の眩しさ、懐かしの巳ノ戸沢林道を確認できたこと等の理由で、個人的には★二つ半、満足度の高い山行でした(マイナス★半分は、最後に雨が落ちてきたことと、帰りのバスのタイミングが悪かったため)。参加予定は5名だったのですが蓋を開ければ3名ドタキャンで結局二人旅。降水確率50%で雷雨があるとの天気予報にもかかわらず、結果はバス停まで約30分のところで雨が落ちてきた程度で、この予報からすれば自称晴れ女、晴れ男の面目がなんとか保たれた次第。

終点の東日原バス停で降りると、太陽がギラギラ照りつけ緑が眩しく、初夏を通り越して一気に盛夏の陽気。沢の水が恋しいデス。巳ノ戸橋を渡って10分程登ると道標があり、その右手に立派な仕事道が斜上しています。これが巳ノ戸尾根の登り口。はじめは植林帯の九十九折りのハッキリした道ですが、集落跡のお墓を過ぎる辺りから踏み跡が少々あやしくなります。それでも忠実に高みを目指せば問題なく、巳ノ戸尾根の東端に上がることが出来、あとは踏み跡などはいりません。えー、何故いらないか・・・?

ふと気づくと、ここは広葉樹林帯であるにもかかわらず低木が無いどころか下草も全く無し。そこで漸く判りました。鹿がみんなキレイに食べちゃったということを。低木や下草が無い広葉樹の森は一見、非常に美しく見え、歩く上でも楽ですが、考えてみればやはりこれは異常な状態。高い木がやがて枯れてしまうと後に続く若木が無いため、単なる裸山になってしまうのでは、と心配になります。鹿が増え過ぎるということは生態系が歪になることだと実感します。以前、「奥多摩町が鹿肉料理で町おこし」という記事を読んだことがありますが、いい線いっているかも知れません。

気を取り直して先へ進むと、やがて行く手を阻むように石灰岩で形成された「ゴジラの背中」のような岩場が稜線上に現れます(でもスケールは小さいので「ミニラの背中」というとこでしょうか)。フリクションの効く岩なので快調に登り周りを見渡せばなかなかの眺望と高度感。奥多摩には少ない雰囲気です。八丁山はもうすぐそこ。このあたりはアセビ(馬酔木)が多く、鹿が食べられる高さにも葉が茂っています。鹿 はアセビの毒を知っているらしい。ということは、先ほどの予想を訂正し、裸山ではなく「アセビ山になるのでは」、としておきましょう。裸山よりはマシですが・・・。八丁山からいったん急降下し登り直して2つ程ピークを過ぎればお伊勢山に到着。ここも八丁山同様に眺望は無し。ここを下ればすぐに鞘口ノクビレに着きます。朽ちかけた道標と、遭難した人の碑があり、ちょっと悄然とした雰囲気。ここから「巳ノ戸ノ大クビレ」方面には通行禁止の立て札があります。

ここまでだっていちおう公式には通行できないことになっていますが。ここからその通行禁止の巳ノ戸沢林道を下ります。あたりを見回せば特定の草だけがそこここに生い茂っています。後で調べるとこれはハシリドコロという、やっぱり毒草とのこと。ここでもう一度さっきの予想を訂正し、「アセビとハシリドコロの山」、または「毒木と毒草の山」とします(後者の方が気味悪くてインパクトありますよねー)。しばらくは左岸寄りのはっきりした道をトレースしているうちに、だんだん沢筋に入り込むようになり、踏み跡も判然としなくなりますが、そのうちまた左岸に石垣で補強されたいにしえの道を見つけることが出来ます。もっともこの沢はゴルジュや滝らしい滝が殆どないため、忠実に沢を下ってもあまり問題はありません。ちゃんとしているように見える道も、20数年間閉鎖されているせいか浮き石が多く、その上をぶ厚い落ち葉が覆っているために、あまり歩きやすいとは言えません。

木々の隙間から稲村岩が透けて見えるようになると、一般ルートである稲村岩尾根の道と合流。合流する直前の木橋はバリケードで封鎖されていて、巳ノ戸沢林道を指し示す道標も切り落とされていました。地元自治体もこのルートを復活させようとは考えていないようです。巳ノ戸沢尾根に登る仕事道との分岐に近づく頃、突然の雨ですが、あとはほとんどルンルンなので全く気になりません。バス停に着くといっぱい人が待っているので、もしかしていいタイミング!?と思ったのですが、なんとあと50分待ち。はぁ〜。温泉に浸かるのは諦め、来たバスと接続する電車に乗ればそのままネオンサイン煌めく新宿に直行。居酒屋で鵜飼隊長、野口さん、大塚さん、小林さんと合流し、大いに飲み大いに盛り上がりました。

本日の実働時間:4時間5分
本日の累積登高差:955m
本日の踏破距離:7.1km

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写真左から【01】今日もホリデー快速に乗車。天気予報のせいか結構すいています。
【02】奥多摩駅前。雲は多いがまずまずの天候。やけに日差しが眩しいです。
【03】日原の集落から見上げる稲村岩と鷹ノ巣山。
【04】稲村岩の右に見える山が目指す八丁山です。
【05】集落からはいったん日原川めがけて下ります。
【06】この巳ノ戸橋を渡るといよいよ山道です。
【07】稲村岩尾根への道から右に仕事道へ入ります。振り返るとこんな感じ。

【08】途中、スギの植林帯のなかに竹林があります。
【09】お墓がありました。この辺りがかつての巳ノ戸集落跡でしょうか。
【10】赤テープがありました。尾根がやや広いので下る場合には心強いでしょう。
【11】巳ノ戸尾根の末端に上がりました。この向こうはストンと落ちています。
【12】小休止。今日はけっこう喉が渇きます。
【13】途中の露岩の上から望める、茫洋としたタワ尾根。
【14】燕岩の向こうに見えるのは酉谷山。

【15】岩の下を覗くと大ダワ林道と小川谷林道との分岐が見えました。
【16】一見、普通の広葉樹林帯ですが、低木や下草が全く生えていません。
【17】伐採地からは鷹ノ巣山が望めました。
【18】同じ伐採地から東を見ると、本仁田山でしょうか。
【19】尾根の右は鹿除けフェンスが暫く続きます。
【20】時折吹き抜ける風が心地良い。
【21】石灰岩の岩場が出てきました。ちょっとだけアルペン気分が味わえます。

【22】背景の山は滝入ノ峰。この辺りは高度感もなかなか。
【23】地面近くに生えているのはアセビ(馬酔木)。鹿は嫌いなのでしょうか。
【24】ミツバツツジもなんとか食害を免れていました。
【25】八丁山到着。周りはアセビに囲まれていて眺望無し。
【26】とりあえず記念撮影。
【27】アブだかブヨがうるさく付きまとうのでタオルでガード。
【28】遠景は芋木ノドッケ。我々は「芋ノ木ドッケ」と呼んでました。

【29】ここがお伊勢山。
【30】丸裸になった熊笹の中を下ると鞘口ノクビレに到着。
【31】道標にも手書きで「八丁山」の文字が。
【32】巳ノ戸の大クビレ方向には通行止めの標識。
【33】こちらが我々が下る方向。
【34】下草で生えているのは、この草のみ(図鑑によればハシリドコロらしい)。
【35】鹿もこのハシリドコロが毒草であることを判っているらしい。鹿もさるもので す。

【36】この辺りは道ははっきりしています。
【37】やがて沢筋を進むようになります。
【38】この辺りは踏み跡が曖昧ですが適当に下ります。
【39】薄井さんの「キャー!」に振り返ると蛇。シマヘビでしょうか?
【40】こんな花も咲いてました。名前は不明。誰か知ってます?
【41】巳ノ戸沢で唯一滝らしい滝。
【42】稲村岩尾根の道と合流するところに掛かる橋。バリケード有り。

【43】鞘口ノクビレ方面の道標は切り落とされています。
【44】巳ノ戸尾根への仕事道との分岐に戻ってきました。ここから雨に降られました。
【45】東日原到着。15時台にはバスがありません。ご留意下さい。
【46】所変わって新宿。鵜飼隊長、野口さん、大塚さん、小林さんと合流。

≪日本の山は鹿や熊が出没! 方や香港は強盗が出没!(^_^)=光頭老≫

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