地球環境問題って? 

        「地球の温暖化とは」
 (0) はじめに

  埼玉県所沢市で、私たちが地球環境問題についての勉強会(講座)を初め  
 て開いたのは平成4年のことです。予想したとおり、この講座の参加者はそ
 う多くはありませんでした。もっとも宣伝はほとんどしてしていなかったの
 ですから、参加者が少ないのは当たり前です。
  それでも今日まで、姿を少しづつ変えながら講座を続けてきました。一般
 には知られていないのですが、大事なことは、それに気付いた者が取り組ん
 でいかなければなりません。
  それゆえ、地味な講座をえんえんと続けてきました。その講座の中で、取
 り上げられたテ−マの一つが「地球温暖化の問題」です。ここでは、温暖化
 の問題をやさしく説明していきたいと思っております。

      

        地球の温暖化とは
 (1) 匂いやさしいヤマユリ
    

 所沢市下富で7月18日撮影:Nikon D70 ,AF-5 micro NIKKOR 100mm使用

        地球の温暖化とは
 (2) 環境問題のはじまり

   私たち人間はほかの生き物と一緒に地球という環境の中で生活をしていま  
  す。私たちが生活したり、活動していく上で必要となる資源や原材料は、す
  べてをこの地球の環境の中から手に入れております。
   エネルギー(熱)を使うための燃料や空気も、薬の原料も身の回りの環境
  の中から手に入れているのです。特に《漢方薬》の主成分は大半が植物です
  から、環境との関係がいちばんはっきりとわかります。
   私たちが美しい森や林の中へ出かけるとほっとしたり、気持ちがいいなと
  感じたり、穏やかな感情になるのも、みんな地球の持つ環境からの恵みなの
  です。
   地球の環境には、私たちの生活や活動から出てくる有害な物、いらなくな
  った物、危険な物を受け入れて同化する力があります。つまり有害な物を薄
  めたり、分解したりする特別な働きを持っているのです。
  前にお話ししたとおり、人がこの環境の働きを考えずに、活動のスケ−ル
 を大きくし過ぎ、また高度にしてしまい、環境の中からいろいろな物を資源
 としてどんどん取り出し、利用することになりました。その上有害な物、い
 らなくなった物や危険な物などを環境の中へどんどん捨てることになりまし
 た。
  これが環境問題の始まりなのです。

   

        地球の温暖化とは
 (3) 環境問題とは

   地球の大気はわずか12キロメ−トルほどの厚み、海洋の深さも最大で10キ  
  ロメ−トルほどしかないことは前回お話しました。この薄い層の中が人の活
  動で汚され、破壊され、好ましくない影響が出始めました。
   日光や微生物など自然界の働きでは分解されにくい物がつくられ、消費さ
  れ、いらなくなった物は片端から環境の中に捨てられ、それが大気や海洋の
  中にたまり、環境に悪い影響を及ぼしているのです。
  そのうえ機械や技術が進歩し、海を埋め立てたり、森林を根こそぎつぶし
 てしまうことができるようになり、今では、自然環境を破壊し変貌せしめる
 光景が何処においても日常普通に見られるようになってきました。
  これも環境に好ましくない結果をもたらしています。これらがみな環境問
 題です。これは、悲劇といえるのかもしれません。具体的な環境問題には砂
 漠化、オゾン層の破壊、地球の温暖化、酸性雨、熱帯林の減少、野生生物の
 多様性の減少、海洋汚染、環境ホルモン、有害廃棄物の越境移動、発展途上
 国の公害問題などがあります。これらの問題は相互に複雑に関係し合い、影
 響し合っ ていると考えられています。
  これも前回お話ししたとおりです。

           

        地球の温暖化とは
 (4) 何が問題なのか

   人類は、科学技術の進歩や経済活動の拡大によって、地球の歴史が始まっ  
  て以来、初めて経験する速度で自然環境に好ましくない影響を与えています。
  爆発的に増加する人口を支えるために、自然の持つ復元能力を越えた森林破
  壊を行ったり、農地の開発が行われています。それが、地球の砂漠化や地球
  の温暖化などの、いわゆる「地球環境問題」をひき起しているのです。
  
   (注)爆発的に増加する人口
     世界の人口は、1999年には60億人になり、それから5年後の2004年
    には64億人に増加しました。このまま増加し続けると2010年頃には70
    億人に達することになるでしょう。
     この結果、食糧を得るための大規模な森林破壊が行われ、食糧の生
    産が優先され、自然の有機物還元を越えた耕地の利用が行われること
    になるでしょう。ついには、それらの土地が不毛の地となり砂漠化し
    ていきます。
     破壊された森林の生き物は滅ぼされ、大気中の二酸化炭素の吸収源
    (森林)が失われ、その貯蔵源(森林および土壌)も失われてしまう
    でしょう。それは、大気中の二酸化炭素の増加を招きます。やがては、
    地球の温暖化を加速することになります。
   
  たとえば、農作物の収穫を増やそうとして、乾燥地帯に巨大なダムをつく
 り、無計画に農業用水を引いたりすると、水分が蒸発した後に塩分が残り、
 土地が不毛化して、作物が育たなくなり、これが元で砂漠化を促進すること
 にもなります。
  これからは、いかにして人間の活動を、自然の持つ復原力の範囲内に止め
 るのかが大きな課題であるということができます。これまで、環境への配慮
 がなされないままに、人間の活動が余りにも大規模となり、また高度になり
 すぎたのです。その結果、地球の環境からは多くの物質が資源として取り出
 され、利用され、それとともに活動の過程で発生する汚染物質、不用となっ
 た物質、あるいは危険性のある物質が環境の中へ大量に捨てられてきました。 

       

        地球の温暖化とは
 (5)  埼玉県ではめずらしいクロコノマチョウ

     


  2004/06/20  狭山丘陵の八国山の埼玉県側で Nikon D70使用    

        地球の温暖化とは
 (6)  温暖化と砂漠化

   ここでは、よく知られている、大きな環境問題を2つとりあげてみましょ  
  う。それは地球の温暖化と砂漠化です。この二つの問題は有機的な関連があ
  るようです。砂漠化に関しては、後に詳しく説明していくつまりなので、概
  略をお話ししておこうと思います。

 (1)  砂漠化

   砂漠化の原因としては、気候的要因と人為的要因とをあげることができま
  す。気候的要因には、地球規模での大気循環の変動などがあり、人為的要因
  には発展途上国における過放牧、過耕作など、その地域の生態系の再生・復
  活の限度(許容範囲)を超えた人間の活動があげられます。
  また発展途上国においては、貧困や人口増加といった社会的あるいは経済
 的な要因が人為的要因の背景にあり、砂漠化問題の解決を一層複雑にし、困
 難なものにしています。
   気候的要因、土地の生産性、農作物の種類、その生産性を上げるために用
  いられる手段に一定の土地が支えることのできる人口は、左右されます。
   砂漠化の原因は、一般には、その土地に居住する人口が、その土地の養う
  ことのできる人口よりも増えてしまうことによるのですが、もっと根本的な
  原因として、人々をやせた土地や厳しい労働へと追いやるような社会・経済
  的な問題にあります。
   砂漠化地域における急激な人口の増加は、食糧生産のための家畜頭数の増
  加および休耕期間の短縮、農地の拡大、さらに人口増加は薪や炭の需要増大
  につながり、人口増加が砂漠化を一層進行させ、その結果、飢えた人口が他
 の地へ移動せざるを得なくなります。
    砂漠化や熱帯雨林の破壊によって、植物の環境が悪化すると、そこをす
  み家としている多くの野生生物が棲みにくくなり、仕舞いには野生生物が絶
  滅したり、その数が少なくなってしまう可能性があります。
   わたしたちの生活は、農業や工業のほか、漁業や薬草の採取、あるいは、
 廃棄物の最終的な処理など、多くの動植物の食べたり食べられたりする関係
 による「輪」(食物連鎖)によって支えられています。
  砂漠化により、こうした「生態系」が破壊されると、最後はわたしたち人
 類の生存もおびやかされるようになってしまいます。
   ところで、世界の人口は1987年に50億人をこえ、21世紀をまたずに1999年
  には遂に60億に達しました。正に爆発的な人口増加です。
  予測では、21世紀にはさらに20%も増加するだろうといわれています。一
 方農地は1985年以前の30年間で15%しか増えず、1975年に比べ2000年には潅
 漑農地が22%増えるといわれています。しかし、砂漠化する面積が62%増加、
 塩類化する面積が3%増加、森林面積が17%減少しますので、トータルでは、
 農耕地は4%しか増えないと予測されています。
  アフリカなど発展途上国は人口急増地域であり、その耕地の多くはラトソ
 ルなどの不良土で農業には適さない土です。そのため、重大な食糧不足の発
 生する恐れがあります。
   砂漠化の進行を加速しているのは、地球温暖化など他の環境問題と同様に
  人間であるという点を忘れてはいけません。発展途上国の人々も生活のため
  に放牧をし耕作をしているのですから、砂漠化の原因をつくっていることに
  なります。しかし、周囲から代りの手段を提供しないで、砂漠化の元になる
  から、樹木を伐ってはいけない、放牧をしてはいけない、などとは絶対にい
  うわけにはいきません。彼らにもより豊かな生活を営む権利がありますし、
  先進国に生まれて、豊かに生活している者たちが、勝手に地球を支配して良
  いということはありません。
   そこに、砂漠化問題を初め、環境問題を解決していく上での難しい障害が
  あるのです。

      

        地球の温暖化とは
  (7)  温暖化

   地球レベルの気候の変動は地域の気象とは比較にならぬほどに、時間・空  
 間の概念が異なります。平均気温が上昇するということは、地球全体の大気
 の「平均気温」が上昇することをいうのであり、その気温の上昇はジグザグ
 であり、当然平均気温の年変化もジグザグに変動しながら上昇することにな
 ります。
  地球レベルでの気候の変動は、何十年か経ってはじめて結果として観測さ
 れるもので、一般な「人間の実感」として把握できるというものではありま
 せん。
   地球の「温暖化」や「氷河期」・間氷期といった地球レベルの気候変動で
 は、地球全体の平均的な気温などが、数百年から数万年といったスケールで
 徐々に変動する傾向をとらえて規定できるものです。
  地球上の地域ごとの気候の違い、あるいは数年単位の細かい変動にこだわ
 っていると、地球レベルの気候変動の大きな傾向をとらえることはできませ
 ん。
   地球の温暖化は、地球全体の年間の平均気温が、長期的に上昇するという
  ことで、具体的なある地点で「気温が刻々と上昇する」といった観測がされ
  るというようなものではありません。
   地球上のある地点で、ある瞬間に大幅に気温が下がったり、急激に気温が
  上昇したりする現象が観測されたとしても、それは地球の温暖化とは直接の
  関係はないでしょう。何十年も観測を続けて、その観測結果を統計的に処理
  してみて、はじめて気温の上昇傾向の有無などがわかるのです。
   ここ200万年くらいは、地球には氷河期と間氷期という約4万年周期の変動
  があり、最後の氷河期はヴェルム氷期で、現在は相対的に暖かい間氷期にあ
  るといわれています。
  この間氷期がはじまったのはおよそ1万年前で、この1万年で地球の温度
 は約1度上昇したと考えられています。もう少し細かい変動では、19世紀頃
 に特に北半球で気温が1〜2度ほど低い「小氷河期」と呼ばれる時期(*1)
 があり、アルプスの氷河の成長や氷山の南下などが見られました。
   今日問題になっている地球の温暖化の主たる原因は、先にも述べたとおり、
  人間の活発な活動により、排出される二酸化炭素をはじめとする、各種の温
  室効果ガスと呼ばれる物質が、大気圏に蓄積され、長期間滞留することによ
  って起こる現象であります。
  化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の消費などによる、二酸化炭素の排出
 量の増加と二酸化炭素を固定する森林やサンゴ礁の破壊などによる、二酸化
 炭素の吸収源および貯蔵源の減少との二重の原因から、温室効果ガスの蓄積
 が進行する、いわゆる「ダブル蓄積」と呼ばれる現象が起こっているのです。
   地球温暖化の最大の原因は、二酸化炭素をはじめとする、温室効果ガスの
  大気内濃度の上昇です。温室効果ガスは、太陽照射により暖められた地表か
  ら出る赤外線を吸収し、熱エネルギーとして大気中に蓄積する働きをもって
  います。
   この温室効果ガスが現在大気中に確実に増加しています。その大気中の濃
  度が減少すれば、地球はどんどん宇宙空間に熱を放出して冷え、逆に濃度が
  高くなれば気温は上昇するということになります。
 
    

        地球の温暖化とは
 (8)  地球を汚さないために
  
   地球の環境を悪化させないようにするためには、私たちはさまざまな分野  
  で、多彩な方法で温室効果ガス削減のために努力をしなければならないと思
  います。
   ここでは温暖化の原因である温室効果ガスの排出を制御するための方法の
  可能性と二酸化炭素の固定について考えてみたいと思います。
   排出抑制の方法としては、省エネルギーと代替エネルギーが考えられます。
  また、炭素固定の方法としては、植物の増加、海洋への貯蔵、再化石化をあ
  げることができます。

 (1)排出の抑制

  温室効果ガスの排出抑制の方法としては、省エネルギーと代替エネルギー
 が考えられるのですが、具体的にはどのような方法があるのでしょうか。

 @  省エネルギー
   今日における人類の文明を今のレベルを維持・発展させながら、二酸化炭
  素の排出量を抑制するためには、第一にエネルギー消費のむだを省いて節約
  すること、機器類や設備・装置などのエネルギー変換効率の向上を図ること
  などがあげられます。
   同じ仕事をさせるのに、より少ない量の化石燃料や木材の消費で済むよう
  な工夫をすることが必要なのです。

 A  代替エネルギー
   太陽エネルギーを直接利用したり、水力、風力、波力、潮力、バイオマス
  などの太陽が起源のエネルギーの利用、あるいは原子力の利用等によって、
  化石燃料の消費を代替させることにより、二酸化炭素の排出量を抑制するこ
  とが可能です。
  この場合、代替エネルギー利用施設の建設から廃棄までのライフサイクル
 の中で消費するエネルギーの総量よりも、そこで生み出すエネルギーの総量
 の方が大きくないと効果はありません。
   単位発生熱量あたりの、二酸化炭素発生量の少ない燃料に切り替えること
  で、二酸化炭素の排出を抑制することができます。化石燃料では、天然ガス
  が最も二酸化炭素発生量が少ないのですが、採掘可能埋蔵量は少なく、需要
  のすべてをまかなうとすれば、わずか14年で枯渇してしまうといわれていま
  す。
  バイオマスや植物起源のメタノールの利用は、代替エネルギーともみなせ
 るものですが、消費と同量以上の植物の生長が確保される必要があります。
 この状況が達成できれば、正味の二酸化炭素の増加には、寄与しないことに
 なります。

      

        地球の温暖化とは
 (9) ハイビスカスの花
     
  2004/06/13 ハワイのオアフ島ワイキキで Nikon D70使用  

        地球の温暖化とは
  (10)地球を汚さないために その2

 (2)炭素の固定

 @植物増加

  森林などの地上の植物は、炭素の短期的な貯蔵庫の働きをしております。  
 植物が光合成で固定する炭素の量と、腐敗・分解によって放出される炭素の
 量とは、時間的な差がありますが、ほぼ均衡がとれているといわれています。
  従って、大気中の二酸化炭素を減らし、正味の二酸化炭素貯蔵量を増加さ
 せるためには、植物の量そのものを増加させる必要があります。ところが、
 新たに緑化可能な面積で固定できる炭素の量は、人類の化石燃料の消費量と
 比べると極めて少ないものということになります。

 A海洋貯蔵

  大気中より回収・固定した二酸化炭素を、深海底に長期的に固定すること、
 すなわち、深海底に貯蔵することは、論理的には可能ですが、難しい問題が
 あります。
  低温高圧の深海底の海水に溶けた二酸化炭素は、容易には海面まで拡散せ
 ず、これは炭素の長期貯蔵とみなすことができるのですが、大気中の二酸化
 炭素を回収し、固定するためにはエネルギ−が必要であり、そのためのエネ
 ルギー消費により発生する二酸化炭素の量が、そこで固定される二酸化炭素
 の量よりも多くならないように注意することが重要です。
   もう一つ、深海底貯蔵については未知の分野であり、どのようなリスクが
  あるのかはっきりしておらず、思わぬリスクが発生しないとは言い切れませ
  ん。

 B再化石化

   大気中の二酸化炭素を原料として、石炭・石油や石灰岩といった炭素の長
  期貯蔵庫となっている物質を、人為的に大量につくり出すことができれば、
  温暖化問題は解決できると考えられますが、現在の技術的水準ではこの実現
  の可能性は、まだまだ低いものと言ってよいと思います。
  今日でも枯死した植物が分解されずに泥炭となるということがありますが、
 これを人為的に石炭化する、特殊な微生物で廃プラスチックから石油のよう
 なものをつくる、あるいは人工的にサンゴ礁を大量に成長させて石灰岩のよ
 うなものとする、といったプロセスなどが考えられています。
  しかし、具体化されているわけではありません。
  

        地球の温暖化とは
  (11)  地球を汚さないために その3

  (3) 代替エネルギー(自然エネルギーの利用)

   自然エネルギーの利用では、システムの製造・設置・運転・維持管理に要  
  する全エネルギー量と、システムの寿命のあるうちに生み出すエネルギー総
  量との収支(消費量と生産量)の評価が重要です。
  これがマイナス(生産量−消費量<0では意味がありません。
  システムの寿命に対して、ライフサイクルを通じて投入したエネルギーの
 回収に要する時間をEPT(エネルギーペイバックタイム)と呼び、これが
 少ないほど効率がよく、システムとしては優れているということができます。

 (注)茨城県里美村には里美牧場と言うところに風力発電装置が作られて
   いますが、かなりの強風でも羽は回転せず、その隣では、電動式のオ
   ランダ風車が等速度で回っています。その上、何を考えているのか、
   人一人いない山の中にもかかわらず、この風車をライトアップするな
   ど、どこまでが本気で環境問題を考えているのか分からないようなケ
   −スも見られます。
    上のようなケ−スを見ていると、諸外国、特にヨ−ロッパ諸国の二
   酸化炭素削減のための、真剣な取り組みを知るにつけ、我が国の行政
   担当者の不真面目さ、愚かさにあきれるばかりです。
    私たち人類の存亡の危機につながるかもしれないといわれている、
   地球温暖化問題を、行政の担当者らは「お祭り」と間違えているので
   はないか、といいたくなります。不真面目さに驚かされます。

 @太陽エネルギー
  太陽エネルギーの量を大気圏外で測定すると、1367W/uとなります。この
 うち約30%は大気、雲や地表面に反射されて宇宙に消えていきますが、残り
 のエネルギ−は地球の中に残ります。
  それが地表面を暖め、気圧の変化を起こし、海流の元をなし、植物の光合
 成を可能にし、成層圏にオゾン層をつくり、雨を降らせる等地球上の自然現
 象の大半を制御しているのです。
  従って、自然現象の中からエネルギーを取り出し利用しようとすることは、
 太陽エネルギ−を利用するのと同じことなのです。
  
  ところで、太陽光は大半が可視光線であり、その強度は1367W/uという大
 きなエネルギーなのですが、発電所を造ったり、馬力の大きいソーラーカー
 を作るには、エネルギー密度が小さすぎるという欠点があります。つまり、
 太陽エネルギ−は量も十分で質も高いのですが、密度が低すぎる点が利用す
 る上では問題になります。"

 A太陽光発電
  わが国の太陽光発電システムの導入については、1994年12月に「総合エネ
 ルギー対策推進関係会議」において決定された「新エネルギー導入大綱」で、
 2000年度に40万kW(石油換算4万キロリットル)、2010年度に460万kW(石油換
 算45万キ ロリットル)のエネルギ−調達の目標が掲げられています。
  この目標の達成のためには、発電システムの大量普及方策の具体的な実行
 が求められることになります。
  現在利用されている太陽光発電の設備では、放物面をしたアルミニウムの
 鏡とその焦点の位置を通る透明な円管とからなっております。その円管内に
 は油が流れており、その油が太陽熱により300度ぐらいに加熱されるので、
 その熱を使って高温の水蒸気をつくり、発電するというシステムになってい
 ます。
  太陽光発電設備の欠点はは直射光しか集光できないことと、少し曇ると急
 激に効率が悪くなるという点です。
   太陽光発電は、地球温暖化防止に大きく寄与できる新エネルギーである、
  として、「アジェンダ21」(1992/06)においても重要な位置付けとなってい
  ます。1992年10月のわが国の「石油代替エネルギー供給目標」では、2000年
  に総エネルギー供給の0.01パーセント(石油換算10万キロリットル)、2010
  年に0.2パーセント(石油換算20万キロリットル)を太陽光発電に移行するこ
  とになっていました。
 。
 B 太陽電池
  太陽電池を構成する半導体に太陽光が当たると、中の電子は光のエネルギ 
 ーを得て個体内を自由に動ける自由電子になります。これが電流となり外に
 取り出すことができるのです。
  発電時には二酸化炭素を出さないクリーンなエネルギー源なのですが、変
 換効率の向上とコストダウンが問題で、その改善が課題となっています。太
 陽電池では、光のエネルギーの何%を電気エネルギーに変換できるかが重要
 で、これを「太陽電池の効率」と呼んでいます。
  現在、太陽電池に使われている半導体としては、アモルファスシリコン、
 ポリシリコンなどのシリコン系のものと、ガリウム砒素などの化合物半導体
 があります。変換効率も最高で24.2%に達しているということです。
  ところで、その寿命ですが、今日使われている太陽電池の耐用年数は、お
 よそ20年程度で、EPT(エネルギーペイバックタイム)は3〜8年とされてい
 ます。ですから、ここでは、電池本体のソーラーセル製造にかかるエネルギ
 ーと、その電池を使う事で達成できる省エネルギーとの収支が重要となりま
 す。
  太陽電池が、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する効率は現在24%
 程度ですが、技術開発が日進月歩で進んでいますから、さらに効率のよい電
 池が生産される事もあり得るでしょう。
  上においても述べたとおり、今日の太陽電池の耐用年数はおよそ20年程度
 で、EPTは3〜8年とされていますがあ、二酸化炭素削減効果は、住宅用の系
 統連系システムでこの電池を利用すると、炭素換算約40g/kWhで、石油火力
 発電の約200g/kWhのおよそ1/5になると試算されています。
  わが国におけるシステム導入可能量としては、約13400万kW程度ではない
 かと(財)環境情報普及センターなどで試算がなされています。今後、装置の
 量産効果によりコストダウンが図られ、効率向上が期待されています。

 C太陽熱利用
  太陽熱発電は、太陽光をレンズや鏡で集光し、太陽光に含まれる赤外線に
 よる「ものを暖める作用」を集中させ、この熱で蒸気を発生させて発電を行
 うものです。このエネルギー密度の低い太陽エネルギーを、いかに効率良く
 集めるかが太陽熱発電の重要な課題である、ということは先に述べた通りで
 す。
   太陽熱利用の方法としては、太陽電池のほかにも、太陽の熱エネルギーを
  直接利用する方法があり、家庭用としては屋根に設置する太陽温水器などが
  あります。1992年10月のわが国の石油代替エネルギー供給目標では、2000年
  に総エネルギー供給の0.7パーセント(石油換算420万キロリットル)、2010
  年に7.6パーセント(石油換算120万キロリットル)を目標としています。

 D水力発電
   水が太陽熱を吸収して蒸発し、やがて雨となって降るのですが、つまり水
 が低いところから高い所へ運びあげられたものと言うことになりますが、こ
 れが「水力」です。水力はダムを建設することで集めることができ、しかも、
 太陽エネルギーの唯一の欠点であるエネルギー密度が低いという点も「自然
 の濃縮作用」(水という形に)により解決されています。
   この水力の位置のエネルギー(落差を利用した)を電気に変換するものが
  水力発電です。
   水力  発電の利点は熱を電気に変換する火力発電とは異なり、位置のエネ
  ルギーを電気エネルギーに変換する効率は約85%と高いこと(エネルギーの
  変換効率がよいこと)、上部のダムで取り入れた水を導管で低いところに落
  とし、その水の勢いで発電機を回すだけでよい、しかも、クリーンなエネル
  ギーで、環境に悪い影響を与えないという点です。(落差を利用)
   水力発電の問題点は、水力資源の量が限られ、そう大きなものではないこ
  と、需要のある地すなわち消費地と資源の所在地、すなわち電力の供給地が
  一致  していないこと、ダム建設により水没する面積が大きすぎることです。

 E水路式発電
   大河に巨大ダムを作れば、水没面積は大きくなります。エジプトのアスワ
  ンダムやアマゾンのダムなどがその良い例でしょう。支流に小さなダムをつ
  くり水路式の発電を行えば少ない水没面積で同じ電力量を得ることが可能で
  す。水力発電の発電量は水の流量と落差の積ですから、流量を支流の小さな
  ダムで確保し、下のダムへ水路で順次水を落として発電すれば良いのです。
   この場合上流から下流にかけて、小さいダムをカスケードでつないで次々
  と水を落として発電し、所によってはトンネルも使います。日本では41キロ
  メートルのトンネルで300mの落差を確保している例もあります。

 F風力発電
   太陽の輻射熱が地表を暖め、暖まった地表がさらに空気を暖め、これが膨
 張して低気圧が発生するということになります。あまり暖まらなかった部分
 は高気圧になり、高気圧から低気圧に向かって空気の流れができる、それが
 風です。従って風力も太陽エネルギーの変形したものということができます。
   この風力を利用して風車を回し、それに連動する発電機を使って発電する
  のが風力発電です。もちろん、昔からオランダで利用されてきたように、風
  車を直接動力として使うこともできます。その点では風車も水車も同じ発想
  だといえるでしょう。
  安定した風の得られるところで、風車を回して発電し、その電力を必要な
 ところへ送電することになりますが、発電量は水力にはとうてい及びません。
  風力発電の問題点は風力がエネルギー資源の量としてはさほど大きくないこ
  とと安定した風力を得ることがむずかしいことです。
   現在、青森県竜飛岬、沖縄県宮古島に試験機が設置されていますが、稼働
  率は30%程度と低いようです。特に、最近は、観光目的や時代に取り残され
  まいとして、エネルギ−効率など顧慮したとは思えないような風力発電設備
  を見かけますが、エネルギーペイバックタイムが極端に長い場合には、エネ
  ルギ−の節約にはならず、場合によっては環境に負荷をかけることになりま
  す。

 G波力発電

   波のエネルギーを使って発電することも可能です。波力発電です。波のエ
  ネルギーも、そのもとは風のエネルギーで、さらにそのもとは太陽エネルギ
  ーです。
   この発電では、二酸化炭素の発生は伴いません。波は風から発生しますが、
  風力を直接利用するより、継続的でまとまったエネルギーを調達することが
  できます。
   日本の海岸線には、平均で5〜10KW/u、年平均約3100万KWに相当する波力
  エネルギーがあり、それは日本の総発電能力の1/3に達するといわれています。

 H潮汐発電
   閉じた形の奥行きの深い湾などで、しかも、潮の干満の差の大きいような
 ところでは、ダム等で仕切り、その水位差を利用して発電することができま
  す。いわゆる、潮汐発電です。
  潮の干満は、太陽と月の引力に起因する、海面の上下に由来するもので、
 他の自然エネルギーのように「太陽熱」起源のエネルギ−ではありません。
  現在、わが国では、実用的な発電ができるほどの干満の差のある場所はな
 いといわれていますが、フランスなどでは潮汐発電の技術開発が進んでいる
 ようです。

 I潮流発電

   海洋には暖流、寒流といった大きな潮流があり、沿岸にも中小規模の潮流
  があります。継続的に潮流のある海底、あるいは海中にプロペラのようなも
  のを固定して、潮流のエネルギーで発電することが考えられます。この潮流
  のエネルギーももとをただせば太陽からの熱エネルギーです。潮流発電は、
  いまだ、その技術的可能性、あるいは電力の輸送方法をどうするのか等の研
  究が行われている段階です。

 J海洋温度差発電
   深海底の海水は、低温で安定しているため、何らかの方法でこれをくみ出
  して、海面近くの暖かい海水との熱交換の仕組みを作れば、その温度差で発
  電することが可能です。少ない二酸化炭素発生で発電することが可能であり、
  技術的検討が進められていますが、生態系への影響や、そのほか地球のバイ
  オスフェアに及ぼす未知の影響などの心配があります。
   また、深海底の海水が含んでいる大量の二酸化炭素の行方(ゆくえ)やメ
  タンガスの大気圏への放出など、未知の問題が多く、環境を悪化させる可能
  性も否定出来ません。

 Kバイオマスの利用。
   バイオマスとは木や草のことである。稲わらや砂糖を絞ったサトウキビの
  かすなどもバイオマスです。これらは、現在でも利用可能なエネルギー資源
  です。太陽エネルギーを取り入れて行われる、植物の光合成によて作り出さ
  れた炭水化物をエネルギーとして利用しよう、というのが基本的な考えです。
   これについては、次のところで取り上げることにしたいと思います。
 
  

        地球の温暖化とは
  (11)バイオマスについて

 (1) 化石燃料は無限ではない。
  現在のペースで化石燃料の消費を続けていくと、人類が採掘可能な量の石  
 油と天然ガスはおおむね100年未満で消費し尽くされ、比較的埋蔵量の多い
 石炭も多くてもせいぜい数百年程度で消費し尽くされるという試算がありま
 す。
  今日、確認されている採掘可能埋蔵量として統計に出てくる化石資源は、
 石炭7308億トン、石油9074億バーレルや天然ガス112兆立方mで、これらが地
 中に埋蔵されており、利用が可能な量だと推定されています。
  単位発生熱量あたりの二酸化炭素発生量の少ない燃料に切り替えることで、
 今世界の問題となっている二酸化炭素の排出を抑制し、削減することができ
 るのですが、化石燃料の中で、最も二酸化炭素発生量が少ないのは天然ガス
 ですが、その採掘可能埋蔵量は少なく、需要のすべてをこれでまかなうと十
 数年程度で枯渇すると試算されています。

 (2) 燃料危機対策として
  上記の通り、化石燃料は無限ではない、と考えられています。早晩、エネ
 ルギ−危機が現実化してくるでしょうが、そのとき、私たちが頼みにできる
 ものは、太陽熱、風力、潮力などの自然エネルギ−とバイオマスエネルギ−
 ということになるでしょう。
  ここでは、バイオマスエネルギ−について考えてみましょう。バイオマス
 とは、エネルギーになり得る一定量集積した生物体のことで、正味の生産量
 を越えないように消費すれば二酸化炭素は増えません。植物の二酸化炭素固
 定量以内で、バイオマスを消費すればよいのです。
  バイオマスの中でもエネルギー密度が高いものが森林で、木材の生産量は
 年間400億トン、バイオマス全体の6割にのぼります。大量に発生する稲わら
 や砂糖を絞ったサトウキビのかすなどは、現在でも利用可能なエネルギー資
 源です。
  では、バイオマスの起源は何か考えてみましょう。バイオマスは植物の光
 合成の結果としてできる炭水化物です。従って、もとは太陽エネルギーです。
 太陽エネルギーと二酸化炭素を取り入れて行われる、植物の光合成の結果で
 ある炭水化物をエネルギーとして利用しよう、というのが基本的な考えです。
  地球上のバイオマスが1年間に固定する二酸化炭素の量は2750億トン、正
 味のバイオマス生産量は、世界の一次エネルギーの約10倍程度と推定されて
 います。
  光合成効率の高いサトウキビやトウモロコシなどのきび類は、太陽光の1
 %程度をバイオマスとして蓄えることができます。しかし、燃料としての品
 質が低いので、実際にはさらに醗酵させてエタノールに精製したりして使う
 ことになります活用するうえ、
  エタノールは含水率が高く、燃焼時に水の蒸発にもエネルギーが費やされ
 るため、総合的な効率は低くなってしまいます。また多くの農地を燃料調達
 用に使わねばならず、同じ面積の太陽電池の方が効率がよい場合もあるでし
 ょう。
  ここにおいても、エネルギ−密度の高い材が求められるのではないでしょ
 うか。

 (3) 食料の安全保障
  化石燃料を利用し尽くすと云うことは、肥料を初め、農薬、資材ともに手
 に入らないことになる可能性があります。また、このような事態となれば、
 食料の輸入など当然無理と云うことになります。そのような悪条件の元で、
 自力で食料を調達しなければならないとすれば、やはり、肥料を初め、農薬、
 資材はいづれもバイオマスに期待することになるでしょう。
  そのようなとき、やはり、エネルギ−密度の高いバイオマスは何か、とい
 うことになるのではないでしょう。その条件を満たす植生は、コナラ・クヌ
 ギ人工林ということになります。
  今、私たちは、コナラ・クヌギ人工林の経済的価値の薄れた状況の下で、
 これを放置し、先祖の知恵の結晶であり、先祖からの贈り物であるコナラ・
 クヌギ人工林を滅ぼしかけています。これが大きな間違いであることは、エ
 ネルギ−密度の高いバイオマスは何か、を考えればすぐに気がつくことでし
 ょう。
  それ故、そう遠くはない未来において、かならず襲ってくる化石燃料の枯
 渇という非常事態への備えとして、コナラ・クヌギ人工林の保全を図らなけ
 ればならないのです。
  また、21世紀を待つことなく、60億人を超えた世界の人口を考えたとき、
 私たちが、いつまで自由に食料を輸入できるのか、先行きは不透明です。
  化石燃料の不足と食糧の不足が重なったとき、私たちが今、厄介なものと
 考えがちなバイオマスが実は「食料とエネルギ−」の安全保障の意味を持っ
 ていることに気づくのではありませんか。

 (4)バイオマスの利用

  温暖化防止の対策の方法として、燃料のメタノ−ル化があります。しかし、
 そのためには、森林資源のメタノ−ル化の技術の開発が求められます。今日
 のメタノ−ルは天然ガスを原料としていますが、これをバイオマスを原料と
 したメタノ−ルの生産にきり変ることが求められます。
  ここでは、バイオマスについて検討してみましょう。

 (5)バイオマスから必要なエネルギーを
  バイオマスから必要とするエネルギーを得ようとすると、エネルギープラ
 ンテーションとして、地球の面積(海洋の面積も含む)の5%以上を利用し
 なくてはならないという推計があります。これは、全陸地面積の6分の1以
 上に当たります。
  世界の森林面積は陸地のおよそ3分の1ですから、バイオマス生産にその
 半分を使うことになります。森林を農地化してバイオマス生産に使うとすれ
 ば、森林に蓄積されている炭素の半分が放出されることになり、大気中の二
 酸化炭素の量はむしろ増える恐れがあります。
  これではバイオマスをエネルギ−に使う意味がなくなります。上記のよう
 に、森林のバイオマスを利用するのではなく、森林をバイオマス・プランテ
 −ション化して、そこで育てたバイオマスを使っていくという考え方では、
 貯蔵源および吸収源を破壊してしまうので、上のような心配が出てくるので
 す。やはり、持続可能な森林利用から、必要なバイオマスを手に入れる技術
 が考えられなくてはいけないと思います。

 (6)国によるバイオマスの利用の違い
  ブラジルのように植物の生産性が高い上に、広大な面積の土地を有する国、
 スウェーデンやノルウェーのような人口が数百万人しかいない国など、エネ
 ルギーの消費量とバイオマス生産量とが特殊な関係にある国においては、バ
 イオマスの利用に可能性があります。
  しかし、日本やヨーロッパの主要国のように、エネルギー消費を国内のバ
 イオマスでまかなうということになると、エネルギープランテーション化す
 る農地の確保ができず、このような国においては、バイオマス・エネルギ−
 の利用はほとんど不可能であると考えられています。
 (注)(5)の末尾を参照してください。

 (6)植林と伐採を計画的に行い環境の保全を図る
  主に発展途上国においては、大量のバイオマス(薪炭)が暖房や調理用に
 利用され、それが森林の減少や砂漠化の促進といった環境問題を引き起こし
 ています。
  このような国々においては、利用するバイオマスの総量が、植林などによ
 る森林の増加分を越えないように伐採を計画的に行い、環境の保全を図るこ
 とが必要です。
  なお、森林は生物多様性の保全や水源の涵養などの多様な機能も有してい
 るので、この点への配慮にも注意することが重要です。

 (10)海洋起源のバイオマスに期待
  200カイリ専管水域の問題はありますが、陸上と違って農地の取り合い
 などのない海洋で、まとまった量の海洋起源のバイオマスが確保できれば、
 相当現実的にエネルギーの代替が可能になるる、といわれています。
  海洋起源のバイオマスのためには、海洋植物の光合成効率の向上、含水率
 の減少、採集や輸送、バイオテクノロジーなどの技術開発などの問題を解決
 しなくてはなりません。。
  従って、利用の前に、海洋の生態系に関する研究の推進が不可欠です。

 (11)メタノールはバイオマス起源のものを
  メタノールの二酸化炭素発生量は、天然ガスよりやや多く、石油より少な
 いのですが、天然にはメタノールは存在しません。そこで、天然ガスからメ
 タノールを製造するのですが、製造に必要なエネルギーをも考慮すると、二
 酸化炭素発生量は石炭よりは少ないが、石油よりやや多い程度になります。
 従って、今日の製法では燃料転換の効果はほとんどありません。
  そこで代替燃料としてメタノールを使うというのならば、バイオマス起源
 のメタノール生産に切り替えることが効率的ということになります。
  バイオマスの活用は新たな展開もあり得るし、製紙の原料としての需要も
 今後は期待できると思います。当面は安い輸入品に押されていますが、事情
 が変わることもそう遠くはないと思います。その意味でも森林管理はなおざ
 りにしてはいけないでしょう。
  政府も地方行政ももっと真剣に対策に取り組まなければ、手遅れになりま
 す。管理法だけではなく、保育技術、伐採技術、搬出技術、などが滅びる可
 能性があるのです。
  (2002/07/20 加筆・訂正)

  

        地球の温暖化とは
  (12)  おわりに

   なるようになるさ、という考えが何事においてももっとも危険なのです。  
  なるようになるでは、環境問題はかたづきません。一人一人が自分のできる 
  ことを自分の考えでこつこつと成し遂げていくことが大切なのです。
   若い方は私たちより、もっと長くこの地球上に生を保たなければならない
  のですから、私たち以上に真剣に考えて行動しないと苦渋に満ちた人生を送
  ることになります。次の世代によりよい環境を贈るために、深い洞察と慎重
  な行動をお願いしておきます。
  (2002/05/26 加筆・訂正)

  

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  2004/07/16