いい成果主義

世の中の会社の「成果主義」にはロクなものがない。

たいていは単純(しかさせない)労働者を安く使う口実だったり、妙な競争をさせたりというものがほとんどだ。最初からそういった目的でなくても、結果としてそうなってしまったものも少なくない。よくヤリ玉に上げられる、「富士通の成果主義」というのは、志はそれなりに良かったと思うが、結果があまりに酷い。目先ばかり追い求める管理職が増えまくって、会社としての体力が落ちまくった。

逆転の発想で不況知らずの金型メーカー

で紹介されている会社も成果主義らしい。ところがその運用が面白い。

磨き工程の入り口には職人の腕の良し悪しを示すボードがある。最高のSSからS、Aと続き最低ランクはD。ランク別に手当てが違う、いわば成果主義なのだが、極めて重要な点が1つある。ランクが上がるごとに下のランクの人たちをきちんと指導し育成したかが、評価の大きなポイントになる。

つまり、能力が高いと評価された人は、能力の低い人を指導する義務を負う。考えてみりゃあたり前の話なのだが、これは実にいい。ちょっと考えても、

  • 高い技術が伝承される
  • 能力に応じた責任が発生する
  • 能力の評価がわかりやすい

というだけのメリットがある。何よりも、「わかりやすい」のがいい。わかりやすいから運用もしやすいし、メリットも引き出しやすい。

日本だと、えてして「高い評価 = 出世 = 管理職」となりやすいわけだが、それはそれなりに理由がある。この方法はそういった余地も残しつつ、能力を評価し、かつ能力によるヒエラルキーを作れる。「職人」を納得させるには非常に良い。

でも、今までこういったことは聞いたことがないので、本当にコロンブスの卵なんだろうなぁ。

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