ある日急に博士号が欲しくなり(と言っても昔から欲しかったのだが)、思い立って某大学院大学を受けることにした。生活費やら仕事の関係やら整理し、何とか行けそうなメドを立てた。受験資料も取り寄せた。私の最終学歴は高専であるから、「本学が大学卒業相当と認めるもの」とゆー区分で申し込むことした。私だってぼんやり業界にいたわけじゃないし、それなりに実績もあるんだから大丈夫だろう。非常勤をやってる学校の先生も、「多分大丈夫でしょう」とのことだったので、
どのような書類が必要ですか?
と問い合わせた。そうすると、
高専卒だけの方には受験資格はありません
との答えだった。まーこのページを読みに来るような人なら、私が何をやって来て、今何をやっているかは知っていると思うが、そのようなものは文部事務官の前では、
無
に等しいのである。つまり大学院受験ということを考えれば、私は
モラトリアムでいい加減に大学を出た奴らよりも価値がない
ということなのである。
ところが、その大学院大学は基本的に理工系の大学院ではあるが、文系からの転身者にも門戸を開いており、理工系単位が0の人でも入学出来ることになっているし、実際そのようなカリキュラムにもなっている。つまり理工系教養で言えば、
高専未満
であっても良いのである。
ところが高専卒では、卒業後どんなに実績を作ろうと、また文部省に奉仕する仕事をしていようと、ダメなのである。別に「俺は偉いんだから、特別扱いしろ」と言う気もないが、それにしてもあまりに杓子定規である。こっちは別に学士なんか用はないんだから、それを必須条件にすることもあるまいに。
PS.1998年12月1日
と言うようなことでクサっていたのですが、何と京大が学士なしで試験に通れば院に入れるといういうことを始めたそうである。まぁ今回は私の希望する専門の講座ではないのだが、希望を与えてくれたのは嬉しい。
ところが文部省はこれが不満らしい。
現在文部省の博士号授与は、博士過程修了してかつ論文○遍といういわゆる「過程博士」というものを主体にするという方針であり、博士過程修了をしていない者に対しては、積極的に博士号授与をしていない上に認定基準も厳しく、また論文数を多く要求する(なんで研究者の実績である論文の評価に学歴が関係あるのだろうか?)。また、私のように大学を全く出ていないものにとってはそもそも学位請求機関が存在しないので(本来機能するべき学位授与機構は現時点ではこの目的では役に立たない)、現時点では絶望的ですらある。つまり、文部省的には
お前のようなものは学位を取るな
と言っているに等しい。
しかし…だ
私はその文部省が直接管轄する学校で、安い講師料で非常勤講師をやっているのだ。「だから特別扱いの便宜をはかれ」とは言わない。だがせめて「道」を用意してくれたってバチは当たらないだろう。それが出来ないのなら、京大のような
気の効いた大学
にクレームをつけるのだけはやめて欲しい。
まぁ日本の教育機関が博士号を出してくれないのなら、外国の機関でPh.Dをもらうって手もあるわけなのだが、産業だけじゃなくてこんなものまでも空胴化させるつもりなのだろうか?
PS.2001年7月7日
現在、大学院進学については、前よりも条件は緩和されて、23歳以上であれば最終学歴が高専であっても入学出来るようになった。私がここで暴れたからと言うことはないだろうが、改善されたのは嬉しい。結局、今のところは学校に行く時間なぞないのだが、時間が出来たら行こうと思う。