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女の子のための性知識  

□ 大人が教えてくれないSEXへのアプローチ □

今回の配信は、前回(10号)のつづきではありません。

                     2001.12.22 増刊「性差」

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 男と女の間には深くて暗い川があるそうで、 そして、その距離は膨大です。

 それを知りたいというのが、ほんとうに長い長いあいだの、人類の課題だったん
だと思います。今だって誰にも解ってはいないでしょう。分かってきたのは、男と
女は別ものだという事実、経験則みたいなものだけです。

 でも、男と女はすぐ隣合って生活していますよね。性の問題は、いつもここから
起きるのです。

 SEXが非常に身近なものになった今日、こどもたちは「性の違い」を十分に教
えられないまま、商業的な目的の性情報にさらされ、よくない大人を真似ることで
性を覚え、不完全なまま“親”になっていきます。
 国家100年の大計…じゃないけど、未来は風前の灯火。―という訳ですね。

 なにかが歯止めにならなくてはいけない。正確なSEX観を教えるものが必要に
なるのです。

 素人エッセイストの書くメルマガ風情が、この間の消息を埋めようとしていると
言ってるんじゃないですよ。それは無理というものですし。
 けれども、学術論文などにまさる利点がひとつ。

 素人が「分からない所を勉強して、解った部分をわかり易く書こうと努めている」
ということです。
 このSEX読本は、灰色の背表紙の<教科書>ではありませんから。

(でも、今回は解説部分が多くなって、すこし難解になってしまいましたが。)

 歯止めになれる「なにか」とは“親”以外にはないと、わたしは思います。
 正しい性とSEXを学んだ人が、正しく子に伝えることでしか、今日の性情報の
片寄りは直せないのじゃないですか。

 だから多くの若い子と大人たちに、このメルマガはまじめに読んでほしいですね。
そしてSEXのことを、もっと詳しく勉強したいと思う引き金になってほしい。…

 それがわたしの願いです。

                           編集者  竹沢 輝美

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増刊 SEXへのアプローチ

 男女の性差を考える 

 

(Vol.010より抄出)
 女の性は妊娠というリスクが前提にあるため、スイッチONには手間がかかる
 ようになっているんです。(中略)
 

 前回、こんなことを書いていますが、男と女の「やりたい」気分に違いがある
のは、最近になって気づかされたことです。何故なんだろう。

 
 勉強してみると、これが随分と奥の深いもののようで興味深いんですが、とて
も連載のなかで抄訳できる分量ではありません。別冊を構えて、少しずつご紹介
していきたいと思います。

 本編の方は、中高校生にも理解できるようにと、できるだけ噛み砕いた表現を
心がけていますが、こちらはもうちょい年齢レベルが高くなるかもしれません。
 内容のテーマは同じです。SEXの全体を理解するのに、これはおもしろいと
編集者が思ったものを、収集、ご紹介していきます。こちらはこちらで、どうぞ
楽しんで頂きたいと思います。


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 人間は社会的動物であるって、誰が言ったんでしたか、忘れてしまいましたが、
大昔からヒトの定義になっています。

 哺乳類であるヒトは、種としての存続を企る手段として、群れを作り、助け合っ
て他の肉食獣の脅威から生き延びてきました。群れの統率は、長い時間を経て法と
なりルールとなって、今に連続しています。

 つまり「社会性」は文明の最初から存在していました。個の非力さをカバーする
ために生み出されたヒトの属性です。

 ヒトが種の頂点に立ち、地上の王者として君臨するようになると、一見社会性は
不要のもの(無視しても差し支えないウザイもの)と映るようになります。
 だから、反社会的な言動を表看板にしたグループも誕生してくるのです。

 まあ、完全に孤立したのでは少し不自由ですし、グループ内には厳然とルールは
存在します。反社会的といっても、現実にはせいぜい、他(グループ)との協調を
軽視するという程度なんですけどね。

 特に、ここで取り上げるグループの分類は、国際的テロ対米軍みたいな、物騒な
ものとは無縁です。政治的な分類ではなくて人類学的な区分。まだ表現が硬いナ。
行動様式の違いで分けたAとB。ウンだいぶん近い。

 ある行動パターンを好む者と好まぬ者の別。ああ、これですね。

 具体的には、不倫を認めるグループと、そうでないグループのことが、ここでの
「議論の対象」になるのでアリマス。


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 従来より、男は不特定多数の女性と行為することを求め、女は少数(ひとり?)
の男性を守っていくことが、普通の姿だとされてきましたよね。少なくとも、社会
制度の中においては。
 学説の裏づけというカタチではないにせよ、男がつねに新しいSEXパートナー
を歓迎し、女はそれに眉を顰(ひそ)めるという見方に反対を唱える者はいません
でした。

 男のこうした傾向を裏づける考察は相当数あります。

 生理学的な面では、相手が交替することで、減退した性欲も再び盛んになること
が報告されています。これは世間に訪ねてみても、身に覚えのある殿方が多いんで
はないですか? 俗に言うなら、

「どんな美人も3日で飽きるが、相手が替われば何度でもデキる」というあれです。


   アメリカ第30代大統領クーリッジとその婦人が、モデル農場を各個に
  視察していたときのこと、大統領が養鶏場にさしかかると、そこには一羽
  の雄鶏と、数十羽の雌鳥がいた。案内人が言った。

  「奥様からのご伝言です。この雄鶏は毎日何度も交尾をすることを忘れな
   いようにとのことでございます」

  「いつも同じ雌鳥とかね?」

  「いいえ、そういうわけではございません」

  「ならばその旨を妻に伝えておいてくれたまえ」と大統領は答えた。

   それで、雄が相手を替えて元気になる現象を『クーリッジ効果』と呼ぶ
  のです。


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 これらは艶笑話として伝えられており、言ってみれば品のない話題に属します。
多くの場合「品がない」の意訳は「男ってしょうもない」であり、この男の浮気性
の陰で泣くのは女であると、長い間、世界中信じて疑わなかったのです。

 今度はメリル・ストリープ主演の映画『心みだれて』のワンシーンから。

 女主人公が、夫の不実を涙ながらに父親に訴える。
夫はどうしようもない女たらしなんです。―しかし、父親は軽くいなして言う。

「一生浮気をしない夫が欲しいのなら、ハクチョウとでも結婚するんだな」

 相談相手が、父親といっても男だったのが悪かった…とも解釈できますが、いま
さしあたってこの例を挙げたのは、ハクチョウ、ハト、オシドリ、タンチョウヅル
などなど、おおむね鳥類は、一雌一雄のツガイを生涯守る代表と考えられているこ
とを、確認したかったからです。


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 ところがですね、最近の研究によると、鳥類においても、限られた数種以外では
エクストラ-ペア・カピュレイション(EPC:extra-pair copulation )つまり
「つがい外交尾」が、日常的に頻繁に行われていることが判ってきました。

 生物学的には、多量の精子を体内に取り込むことで、受精の可能性を高めること
になるわけですが、それ以外にも、まして重要なのは、雌の体内で引き起こされる
「精子競争」だというのです。

 同一の個体から放出された精子間の“競争”のことではありませんよ。別のオス
の精子同士が演じるDNAの戦争のことです。敗北は未来の喪失を意味します。
「精子競争」とは、子孫の誕生をかけた遺伝子の生き残り闘争のことを言っている
のです。
 オスにしてみれば自分の分身のような精子が、メスの体内で、いかに早く卵子ま
で到達するか、その運動能力(優秀性?)を試されることになります。

 すなはち、精子競争がなりたつ為には一羽のメスの体内に、複数のオスの精液が
そそがれていなければならない。そうですね。

 こうした場合に誰でも考えるのは、1羽のメスにオスが次々と交尾を強要してい
るシーンではないでしょうか。
 そういうケースもあるそうですが、意外なことに多くのケースで他の群れのオス
に交尾をねだるのはメスのほうだというのです。

 鳥類は性別の判別が難しい。これほんとです。外性器はないし、大きさや外観も
変わらないものが多いです。スズメやハトなどわたしには見当もつきません。
 交尾のために群れている小鳥の、どちらがオスでどちらがメスか、観察している
だけでは、とても判りにくい。…

 メスが進んでEPCに走ることは、世間の通念の外にありました。
 だから、生物学者たちは、長い間だまされてきたのでしょう。
「信じているものが見える」という諺通りです。

(逆に言えば、信じていないものからは目をそむける、という意味です。)


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 生物学的に、もっとも確実に雌雄を判別する方法はなんでしょうか。ご存知のよ
うに、卵を持つほうが♀で、精子を持つほうが♂です。
(出産の有無では不正確です。タツノオトシゴをはじめ何種類かは♂が出産します)

 この生物学的な性差がSEXに対する嗜好の違いを生むのだろうということは、
容易に見当がつきますね。
 一見オスが自由奔放に“種つけ”して回っているかに見える、人間を含む動物界
なんですが、そのじつ“種(たね)”を選んでいるのはメスの側なのかもしれない
という説が生まれてきているそうです。

 SEXに関連して、女性の側が負うリスクは、男性の負う部分と比較にならない
大きさです。卵子と精子のサイズにも象徴されています。生産のサイクルを比べて
も、1ヶ月分の養分を必要とする卵子と、日々何千万個と量産できる精子との差は、
大変なものです。

 これが妊娠となれば、母体は血液から養分を与え、9ヶ月という妊娠期間が宿っ
た生命のために捧げられます。いや、誕生後も3年程は、わが子に掛かりっきりの
生活が続くのです。

 男は? 食料を調達し、住む場所を確保しと、ノーリスクではありえないと言う
かもしれませんが、これは「社会性」の中で生じる責任であり、性の本質に係わっ
ている訳ではありません。逃げ出してしまえば、それきりです。また、その間、他
の相手を妊娠させる行為に励むことだって出来ます。

 これが男女の「親的投資」の差なのです。

 つまらない(子孫繁栄に役に立たない)遺伝子を宿してしまうのは、大変な時間
とエネルギーの浪費になるばかりか、将来の破滅を招くことになるかもしれません。

 卵子(女性)が、より優秀な精子(男性)を求めるのは、むしろ当然のことなの
だと思います。


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 しかし―

 人間生活は、ヒトの「社会性」部分に強く縛られて成り立っています。子孫を残
す手段として婚姻という形式を選んでいる以上、優秀な遺伝子を求めて手当り次第
にSEXをして回るというわけにはいきません。

 ですが「優秀な遺伝子を求める」本能は、無意識下にもしっかり残っているので
しょう。婚姻外性交、すなわち不倫は、ここにひとつの源を持つのです。

「社会性」のより強くインプットされた人々は、不倫の願望に耐えます。
 そうでない人々は、自身の直観に素直に従った結果、不倫という形になることも
厭わない、と、綺麗にまとめるとそういうことです。
  
 性の違いとは、本当にいろいろな問題を含んでいますが、問題を含んでいるとい
うことは、解決のいとぐちもそこにある、と考えられます。
 世界中の人間関係の難問さえ、SEXの疑問を解き明かしていくことで、ほぐれ
ていくのかもしれませんね。

                        ( 構成協力:安見 国輝 )

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マガジン名      女の子のための性知識  
           □大人が教えてくれないSEXへのアプローチ□

週刊予定       毎週水曜日配信・若干のズレはご容赦ください。      
編集者            竹沢 輝美(たけざわ てるみ)
発行人            安見 国輝(やすみ くにあき) 

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