維吾爾(ウイグル)族の音楽(暫定版)


○民謡

※音階:西洋のように長調・短調の別があるものも,中国独特の音階をつかっているものもあります。

※旋律:以下のような特色があります。

 (1)同じ音の連続が多い。そのあとに(2)がきたりする。あるいは(4)がきて躍動感をきわだたせることも多々ある。

 (2)小二度の進行が強調されることが多い。これは,4とか7(階名ではファ・シ)を多用するのも原因。
  この特徴が,あの指がもつれるような王国潼の「中把総合練習」(二胡練習曲)に生かされて(?)いるようです。

 (3)その4・7とそれぞれ三度の関係の音とが連続することが多い。
   4の場合:4−6,6−4
   7の場合:5−7,7−5

 (4)上行形のとき,たびたび音が飛ぶ。また,下降系の旋律の末尾に跳ね上がるような音が付加されることが多い。
   例1:「阿拉木汗」の第一句,「阿拉木汗什麼様?」の「様」
   例2:二胡ソロ曲「葡萄熟了」の最後から三小節目(知らない人はごめんなさい)
      →これは,「葡萄熟了」を習ったときの先生の話では,「はい〜やっ」というかけ声を
       模したものだとの解釈を聞きましたが・・。

※旋律の終わり方にも以下のような特色が。

 (5)同じ音を繰り返して終わったり・・(「666」など)。

 (6)同じ音型を繰り返して終ったりする。この場合,終わりの音は主音が多く,そして
   長調の場合・・・7→上点1 という上昇形
   短調の場合・・・7→6 という下降形
  になることが多い。

 (7)あるいは,「(れ)ど〜」ってな感じで終わりの音のまえに短い音がついて  シンコペーションのように終わるものもある。

※リズムの特徴
 (1)休符から始まったり,弱起(アーフタクト)で始まったりすることが多い。
 (2)シンコペーションを多用。

※構成の特徴
 (1)複雑な構成を持つ民歌が多い。でも,ちまたに流行しているものについては,わりと 簡素なモノも。

 (2)2/4拍子が多い。

※補足
ウイグル族の音楽は1930年代から40年代にかけて,王洛賓がいろいろ採集して世に広めたので, 少数民族の曲にしては中国全土にわたって愛されているそう・・・

との記述がありまして,ウイグル音楽の隆盛の理由が納得できたのですが,しかし,個人的には たぶんそれだけが理由ではないと思います。

これっていわゆる西域の音楽で,そのメロディは漢代,ううん,すくなくとも南北朝時代(中国の)には すごいブームになっていて,その絶頂期は唐代,そのあとも明代に揚琴がわたってきたりして, この地域の音楽は昔から内地?の人々を引きつけていたはずです。

シルクロード,日本人も大好きですよね? やっぱりそこに異国情緒を強く感じてしまうからでしょうか?


※出典データ:
・楊瑞慶編著『中国風格旋律写作−域性旋律和族性旋律』(人民音楽出版社,2002年)175頁〜
・・・他書も参考にしてさらにつけくわえます。

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