阿拉木汗 alamuhan 新疆民謡

新疆ウイグル自治区の吐魯番(トルファン)に伝わる, 二人がペアで歌い踊る曲です。

題名の「アラムハン」は,私を含め多くの団員が男だと思ってたようですが, 実は美少女の名であるようです。

歌詞は,花のようにあでやかで美しい少女を讃える内容で,問答形式で曲が進行していきます。

●歌詞とその訳●
《1番》
 阿拉木汗什麼様? 身段不肥也不痩。阿拉木汗什麼様? 身段不肥也不痩。
 ta的眉毛像彎月,ta的身腰像綿柳,ta的小嘴很多情,眼睛能使ni発抖。
 阿拉木汗什麼様? 身段不肥也不痩。
※ta・・女+也
※ni・・にいはおの「にい」

《怪しい日本語訳》
 アラムハンってどんな娘? 痩せても太ってもない,バランスのとれたナイスバディの少女さ(くりかえし)。
 三日月のような眉,柳のようなウエスト,情熱的な愛をあらわす小さな唇,みつめられるとふるえが来るようなその瞳。

《2番》
 阿拉木汗住在na里? 吐魯番西三百六。阿拉木汗住在na里? 吐魯番西三百六。
 為ta黒夜ke睡,為ta白天常咳嗽,為ta冒着風和雪,為ta鞋底常pao透
 阿拉木汗住在na里? 吐魯番西三○六。 ※ke・・目に去+皿
※pao・・あしへんに包

《怪しい日本語訳訳》
 アラムハンはどこに住んでるの? トルファンの西方360里のところだよ。(繰り返し)
彼女のために夜も寝られず,昼も咳き込み,彼女のために風や雪をものともせず,靴がすりきれるまで歩くのさ。アラムハンはどこに住んでるの?  トルファンの西方306里


・・・この「吐魯番西三○六」がどういう意味か迷いました。 最初は「光町2−40」(八尾プリズムホールの住所)みたいな住所表示かな,と思っていたのです。
あとで,もしかして距離を言っているのかなあと思いつき,そういう風に訳して団員さんに回しましたら,「中国の先生がそういうふうにいってはった」 という声があり,あ,距離でよかったのか〜とほっとしたしだいです。

しかしまあ,歌詞を見ると,歌ってる男もばかなやつなあ,って思います。

●曲の構成●
文献によると,上下の楽句が2度繰り返して歌われたあと,短い「副歌」がつくという形式だそうです。

上下の楽句とは,1番でいうと,「阿拉木汗什麼様? 身段不肥也不痩」のところにあたるでしょうか? ということは,そのあとが「副歌」ですね。

「副歌」とはあるフレーズにおいて部分的に同じ歌詞を繰り返す部分があったら, その部分を「副歌」という・・・ということでした。
通常,2部形式では第2段が副歌にあたることが多く, メロディのうえでは第1段のものとリズム・拍子・速度・調性において対比を成しており, 楽曲に込められた内容がそこに凝縮している場合が多いそうです。
そう思って改めて歌詞を見ると,な〜んかうなづけますね。

曲の感じは,多用されるシンコペーションが軽快さを強調しています。あの女子十二楽坊のCDにも アラムハンが入っていました。
この「スタッタ スッタ」という独特のリズムは,おもに「手鼓」(現地語では「達卜(ダプ)」)という打楽器が 叩いています。形はタンバリンに似てますが,それよりもう二回りくらいでっかくて,なにより, 二胡にも使われるあのニシキヘビの皮が張られているのが特徴です。
また,裏にはたくさんの輪っかがついていて,叩くとその振動でシャラシャラと鳴ります。


※出典データ:
・上海音楽出版社編『中国音楽欣賞手冊』(上海音楽出版社 1981)89頁

※更新データ
・20040213アップ
・20050725修正。三百六というのは三百六十の「十」を略した表記方法なのですが,
 それを三〇六として,306里というふうに解釈してしまったのです。
 中国語の初歩の初歩なのに,なんと恥ずかしい間違いを…。
 ご指摘して下さったkirby様,ありがとうございました。


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