地球環境問題って? 

        「地球の温暖化と森について」
 (0) アサザの花
    

 栃木市の「花の江の郷」で2004/07/29撮影:Nikon D70 使用

        「地球の温暖化と森について」
 

   温暖化と森について      環境カウンセラ− 大森  孟

 ★ この草稿は春日部市立武里西小学校の五年生のために書いたものです。 
   30分の間に話した内容です。(2005/06/03)

      

        「地球の温暖化と森について」
 

(1)温暖化のからくり

 皆さんは、農家のビニ−ル・ハウスに入ったことがありますか。外がさほど
暖かではないのに、中は「ぽかぽか」していた覚えはありませんか。温室でも
同じことですよ。
 ハウスの中や温室の中が「地球」と考えて下さい。すると外が「宇宙」と言
うことになります。宇宙は何も変化がないのに、地球の方がどんどん気温が上
がってしまうのです(温室効果)。それを「温暖化」といいます。
 「地球」と「宇宙」の間にはバリアがあります。ビニ−ル・ハウスのビニ−
ルや温室のガラスに当たるものです。それが、薄いうすい二酸化炭素の膜です。
二酸化炭素の膜が厚くなればなるほど、宇宙へ逃げる熱が少なくなり、地球の
温度(平均気温)はどんどん上がってしまいます。
 こうなると色々と困ったことが起こります。例えば、氷河が融ける、南極大
陸の氷(陸氷)がとける、と言ったことが起こります。その結果海面が上昇し
てしまいます。そのため、田畑が水面の下になったり、島国が水没して消えて
しまったり、波の強さが変わり堤防が壊れたり、いろいろ不都合が起こります。
 もう一つ例を上げましょうか。雷鳥、コマクサ、ハヤチネウスユキソウ、エ
−デルワイスなどのような生き物は高山に生きています。これらの生き物は移
るところが無くなり、死んだり枯れたりして、滅びてしまいます。
(注)このほかにも、マラリアのような熱帯や亜熱帯の病気が日本でも発生す
  る可能性が出てきます。

      

        「地球の温暖化と森について」
 

(2)では、二酸化炭素がなぜ増えるのでしょうか

 それは、私たち人間の数(人口)が増え、その活動が急に活発になってきた 
からです。その結果たくさんの石炭や石油を使い、どんどん二酸化炭素を大気
中へ出しているのです。これが一番おおきな問題です。
 今から150年ほど前の人は、どこへ行くにも歩きました。吉田松陰の「東遊
日記」によると、山口県萩から東京都の桜田門付近まで(約900km)、藩主に
従い、34日かかって移動しています(嘉永4年:1851)。今では7〜8時間で
移動することが出来ます。それだけ贅沢になり、便利になったかわりに、たく
さんのエネルギ−を使い、二酸化炭素を出すことになります。
 ちょうど今、皆さんの周りでは田植えの季節ですが、今はトラクタ−で作業
をして居ますが、昔は家畜の力と人の力ですませました。今は楽になりました
がエネルギ−をたくさん使います。
 こういう風に、エネルギ−をたくさん使う生活が二酸化炭素をたくさん大気
中に出し、地球を覆う二酸化炭素の膜を厚くしているのです。
(注)二酸化炭素は、動物・植物の呼吸からも出てきますし、ものが発酵する
  とき、微生物によるリタ−の分解の過程からも発生します。

      

        「地球の温暖化と森について」
 

(3)大気中の二酸化炭素を減らすには?

 今のように、エネルギ−をたくさん使う生活をみなさん一人一人が見直さな
ければなりません。贅沢なくらしに別れを告げ、質素に暮らすことが必要です。
しかし、人の努力だけでは大気の中に出て行ってしまった二酸化炭素は減らせ
ません。
 それを減らす方法は3つあります。
(ア)珊瑚礁や武甲山のような石灰岩の固まりにする。
(イ)海洋の深層海流の中へ溶かし込む。
(ウ)草木とくに樹木に吸収させる。
という方法です。
 (ア)と(イ)の方法では、大きなエネルギ−が要ります。そのエネルギ−
を生み出すとき、たくさんの二酸化炭素が空中へ出て行きます。石灰岩(石)
にしたり、深層海流に溶かし込む二酸化炭素の量がエネルギ−を得るために大
気中へ出て行く量より少なくては、意味がありません。今の技術では無理なの
です。
 残る方法は(ウ)だけです。私たち「人」の力でできる方法は「森を作る」、
「森を育てる」ことだけなのです。その上、たくさん二酸化炭素を吸い取って
くれるようにするためには、生き生きとした森を作ることです。なぜ、森をつ
くれば二酸化炭素が減らせるのか分からない人は居ませんか。
(居たら、光合成の話しを!)
 二酸化炭素を減らすことが、簡単ではないことを分かっていただけたでしょ
うか。
 【デ−タ】主要な国の森林率(国連 1995)
国名       国土面積(千m2)  森林面積(千ha)  森林率(%) 
フィンランド     23373       20112       66
スェ−デン      450       24437       60
日本         378       24156       66
ブラジル       8512      566007       67
ペル−        1285       68090              53
アメリカ       9363      209573       23
旧ソ連        22402      754958       35
カナダ        9976      247164       27

      

        「地球の温暖化と森について」
 

(4)温暖化を防ぐためにしてはならないこと 

(ア)森を壊すこと
 木材を利用するのではなく、森を壊してそこに
  1)工場を建てる
  2)ゴルフ場を作る
  3)住宅を建てる
  4)倉庫や店舗を造る
  5)ホテルやリゾ−ト地を作る
  6)広場、公園などをつくる
  7)施設を作る
  8)道路や鉄道をつくる
  9)その他
をもうしてはいかません。こういうことをいつまでも続けていくと、温暖化は 
どんどん進んでしまいます。
 森には、炭素を吸収し、しまっておく大事な働きがあるからです。木の持っ
ている炭素を1とすると、森の土の中には3の割合で炭素が貯えられているか
らです。
 伐採して、木材を使い、また森を育てることは差し支えありません。

(イ)海洋深層水を使うこと
 長い年月の間に、海洋の深層に炭酸塩となって融け込んだ、大量の二酸化炭
素を、再び大気中に放出してしまいます。

(ウ)シベリアのタイガと呼ばれる森林の木材を利用しないこと
 現在は、シベリアのタイガの木材は、「北洋材」といって、生産量の約60%
を日本が輸入しています。この森は「地球の肺」と呼ばれている大切な森林で
す。日本の森林と違うことは、永久凍土の活動層とよばれる地層に育っている
ことです。
 森林が無くなると凍土が融け、その中に溶け込んでいる大量のメタンガスが
空中に出てしまいます。メタンガスは同じ量の二酸化炭素の24倍の温室効果を
持つ、と言われています。これが大量に大気中へ排出されたら、大変なことに
なります。
(注)タイガにはカラマツ、欧州アカマツなどの針葉樹、シラカバなどが生え
  ています。  
      

        「地球の温暖化と森について」
 (5) 萩(ハギ)の花
    
  2004/10/08 向島百花園で Nikon D70使用  

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