渇望(2)
まだまだ続く予定・・・(滝汗)
グラーフ…。仮面の下に隠された素顔はどういうものなのだろう…。どことなく懐かしい人…。始めてあった時の印象は最悪なれど今は…どう、かな?今は…この男に従ってる。存在意義を与えてくれる事すら願ってる…。人は好い気なものだ。今頃、皆はどうしてるだろう。そう思っただけで含み笑いが零れる。 ――まるで…俺の中にいるアイツみたいな凍り付いた笑み 最近、避けられ始めて…奴の笑み、姿が自分でも分かるようになってしまった。…余りいい気はしないが…まぁ、彼も俺の一部。それほど怖いとは思わない。俺を消したければ、消せばいい。 ――血塗られたこの手に…今更、正義という言葉が似合うのだろうか 正義?…何が正義なのだろう。ただ、人を救い仲間を守るする事?それとも、人の意見に合わせながら生きる事?それではただの道具…それ以下ではないか。…所詮、正義という名に縋っているだけ。 −いつも口と心は同一じゃない― 俺が感傷に浸っている最中、突然、奴が現れた。…グラーフが目の前に。そして、俺を見るなり…。 『ユグドラシルを壊滅せよ』 一瞬、俺は驚きを隠し切れなかったが、すぐに冷静な表情に戻る。ソラリスの跡地で潜んでいるというのに、今度おれが向うべき場所は以前の居場所…バルト一味の戦艦。なんだか、滑稽だが目的が破壊ときているのなら話しは別だ。 俺を散々、信用させ裏切ったあいつら。俺の中で何かが割れる音がした。ガシャーン…ガシャーンと。そして、心底、笑みが零れる。ああ…楽しみだ。あいつらのなく顔。一体どういう謝罪の言葉を漏らすのだろう。 ――あいつら…俺がいらないから無視してる…んだ… どれだけ苦しいめにあわされれば、ここまで憎めるのだろう。理由は簡単。ただ、無視・仲間はずれにされた、から。はたからみればただの子供の戯言。だが、俺にしてみれは至極、重大で…心の支えでもあったんだ。あいつらが俺の心を壊すまでは。 …無視…何故、俺にだけしたのか…本人達の口をわって訳をきいてみたいものだ。どの道、あの場所に赴かなければ意味がない。…俺はグラーフの申し出をOkしユグドラシルへと向う。 ――そう、俺はあの場所にいかなければならない。 さあ…最高の恐怖と共に帰ろう…。 俺はとりあえず、ユグドラシルに仲間達に気づかれぬよう戻る。見慣れた俺の部屋。ベッドメーキングが施され手入れされてるといったところだ。何故、こんな?…メイソンさんの心遣いだろうか。少しだけ渇いた痛みが走る。 俺は息を殺しながら足を進めた。見慣れたこの空間でこれから起こるであろう悲劇。それを考えると胸がわくわくしてたまらない。親友の呻き…先生の悲鳴…。俺はどうしたんだろう。ただ、無視された…だけで。 ――殺したくなるんだ。 もっと…冷静になれという言葉と、近寄る者、全てを疑えという2つの声。どちらも俺のだけど…何かが違うんだ。何かが…。 そう…もう1つの声は冷たくて道昭もなく暗い。まるで地を這ったかのような声。…なんだというのか。俺の中に誰かがいると…イドがいると聞いた事はあったが…まさか。 俺の情緒不安定と関係あるとでもいうのだろうか。俺…特有の鬱的、考えとは裏腹に仲間の声がする。明るく笑ってる…。俺が姿を消したっていうのに… ワラッテル…ユルセナイ…オレハ…ヤハリイラナイコ…ダッタダネ… 僅かに残っていた感情が暴れだし怒りが込み上げてきた。ここでエーテルを発散するより、甲板に出たほうが楽かもしれない。だが、案外…この時間はシグルドさんがいるかも…。一瞬、怯むがたしか、あそこは…親友の情人が風あたる場所…。今は丁度その時刻。なんだ、笑いしかでてこないじゃないか。考えるまでもなかったな。 ――さあ、腕試しにシグルドさん、殺そうよ?ねえ?俺の中の君・・・。 鬼神、今度は俺が自ら望み破滅に追い込んでやる。バルトに対する復讐になるのかな?それとも先生への復讐?もう、どっちでもいいよ。ただ、壊したい。ただ、殺したい。それだけだもの…。あははは。笑えるよ。笑いしかでない! ――シグルドさん、死んで? それが俺なりの合図だった。 |