1996年10月前半 1996.10.1〜10.15
1.翻訳独占権は従来から東京創元社が独占して保有している。故に他出版社の翻訳権を 取得して出版しえたという事実は奇怪である。仲介業者のあいだに重大な手違いがあった と推測せざるをえない。
2.すでにある邦訳はその練達な訳文にも拘らず、英語版からの重訳であることは明らか である。例外的な場合を除き、重訳は避けるべきであることは言うまでもない。事実、既訳は英語版を使用したため翻訳者はいくつかの点で不必要な誤りを犯さねばならなかった。た とえば次のような箇所は原文と英訳では大分意味に開きがある。(いくつかの例文を羅列し て説明してますが、著しいのは/正「われわれが通ってきたのとはちがう道」誤「われわれが 通ってきたのと同じ道」/問題点は引用例の他にもかなりある様子)当訳書の存在理由は原 典からの直接訳であること。
3.翻訳書、前年刊行予定が多々理由あり遅れたが、早川書房刊行の折には第一稿訳はできて いた。故に執着もあった。
◎先んじられた大久保氏、忿懣やるかたなしの様相です。
ということで、明日、晴れなれば、格安均一台に、希書・珍書、やま盛かも、 知れませぬ。しくしく(;_;)
次に、普通の古本屋さんですと絶版文庫だ初版だと、いわく因縁をつけて、出来う るかぎり値をつりあげて売ろうとします。そういう姿勢も、皆無です。 この姿勢の強烈な店だと、特に茶色っぽい本は、なんでも貴重本に見えるらしく、 千円札を何枚も出さないと買えないことになります。 江口書店は、この「茶色っぽい本」が、相応の評価で値づけされているのです。
小生の場合は、戦前の翻訳小説が好みの第一番ですが、普通の書店の棚や目録で、 値づけの高さに諦めていた本、あるいは欲しいけれども一度も見たことのない本が、 500〜1000円で、それこそ100冊以上、売っていただきました。 その都度、お礼を申し述べるのですが、江口翁は、実に爽やかに、よかったですね、 と、あいづちをうってくださいます。おかげで、目をつりあげて、人をおしのけて、 探書するという気持ちは、もたない愛書家になりました。
翁は、ひょっとすると、愛書教の司祭かもしれませぬ。(^_−)
ところで、こういった地方の電話帳は、今までは図書館で閲覧することにしていたの ですが、クレインさんは、NTTから直接取り寄せられているとのこと。やはり自宅で検索 できるのは、うらやましい気がします。電話帳なら広告も見れますし、何と言ってもNTT のエンジェルラインは有料ですから……。ただ、唯一の欠点というのは、電話帳はとて もかさばるということですが、一体どれくらい所蔵されているのでしょうか?
国会図書館などは別かもしれませんが、私は昔の電話帳を所蔵している所を聞いたこ とがないのですが、電話帳も、ある程度年代がたつと、その時代を伝える一級資料とな るようです。例えば、昭和40年頃でも電話は完全に普及していませんでしたが、その時 々、職業別電話帳に掲載されている古書店など、どんな所があったのかなど是非一度見 てみたいと思ったりしています。戦前戦後の電話帳、京都のものなら一冊千円程度で何 冊か購入したいと思うことしきりです。そんなことを考えると、現在の電話帳もあと20 年程たてば、貴重な資料と思えるようになるのかもしれません……。
話しは変わって、図書新聞社の『古書店地図帳』、私は1970年発行のものと1991年発 行のものしか持っていないのですが、この両者の掲載古書店を比べるのも趣味の一つと なりつつあります。予算の関係もあって、毎年こういったものを買うことは出来ないで いますが、時代の変遷を見るのは、なかなか面白いものだと思われます。散人
この古本まつりは、春と秋の二回、東京都西部(杉並・中野)の古書店を中心とした メンバーが中心となって開催するもので、結構掘り出し物もでているようです。また、 この春には、買い上げ1000円ごとに、1回の抽選が出来、特賞は開場内のみ使用 できる「1万円券」、ハズレは「30円均一台」から、1冊プレゼント、という企画 も実施されていました。
私はあまり本郷の古書店に行くことはないのですが、帰りには東大図書館に寄ってき ました。内装も重厚感に溢れたクラシック調で、まさに学問の殿堂、うらやましい限り だと思われます。暇潰しに中核派の機関紙『前進』などを読みながら、思えばもっとし っかり受験勉強していれば、こういう所の住人になれたのでしょうが、今となっては後 の祭りです。(;_;)(受験生の方、頑張ってねぇ〜〜) そんなことより、大学の図書館 も、もっと市民に解放してもらいたいものだと、つくづく思われます。
神田では、ホームページにリンクを張ってくださっている玉英堂さんへ行ってみまし た。ホームページに掲載されている稀覯本や全集目録は半端じゃないので、どんな所か 確認したいと思っていたのですが、行ってみると何度か訪れたことのある店でした。店 舗はそんなに大きくありませんが、所狭しと全集などが積んであるので、ああ、ここだ ったのかと思い出し、店を一巡して帰りました。
スズラン通りに新しく出来たブックパワーR○にては、本を売りに来た客(♂60歳前 後)と、店員のおばさんとの喧嘩を見ました。詳細は省略しますが、なかなか見もので した。どっちもどっちですが、重い本を担いできた客にたいして、やはり少し傲慢な態 度が目につくのでしょうか……。「買ってやってる」「売ってやってる」という両者の 意識のギャップも大きいのでしょうね……。 散人
今回は、生命倫理、仏教関係の本が、いつになく店頭に並んでいまして、目ぼしいも のを購入してきました。今から行ってもめぼしい本はないと思いますが、おそらく、一 ヶ月後に行けば、それらの本の大半はなくなり、また違ったジャンルの本が並んでいる 様に思われます。分野によっては、一ヶ月たっても二ヶ月たっても、まったく同じ本が 売れ残っていますが、急に動いてしまうことも多いように思われます。自分の探してい る分野と、そういう店のサイクルが一致すれば、とてつもなき収穫がありますが、この 店を訪れるときは、やはり財布には福沢諭吉大先生にご同行願うのも忘れてはならない のかもしれません。 散人
山陽書店・・・芸人たちの芸人史(大宅壮一が昭和40年代後半に企画し学芸書林から、 刊行した特定のジャンルごとの近代史シリーズの1冊です。著者は永六輔 兵隊たちの陸軍史 伊藤桂一は、すでに架蔵しますが、兵隊生活・組織 はもちろん書かれていますが、末尾の連隊ごとの戦史は、苦心作で、時々 戦史関係の本に引用されるほどです。ということで、永版芸能史楽しみ) 値段は1000円。まっいいか(^_^) 三茶書房・・・50円の平台に、内田旺文社文庫2冊、サンリオ2冊発見。そして、 1950年代の10インチ版レコードがあり、カントリーのもの500円 ついでに、店主が読み終えた、現在開催中の札幌そごうの古本まつり目録 をいただく。うれし、うれし。 江口書店・・・今日は持ち込みで売り込みです。岩波文庫のセットもので奇麗なもの、 随筆やら小説の新刊奇麗本、そして昭和30年代の全集端本で、ドイツ やフランスのロマン派のもの数冊。翁、いつもより奮発して、引き取って くださった。感謝(;_;)
15年ほど前、偶然手にした雑誌「パイデイア」の最終号「日本的狂気の系譜」での 竹内健氏の著述に驚嘆し、その後異端文化研究誌「地球ロマン」やその後継誌「迷宮」 にいたる民族学関連の著述で毒気に当てられる一方、民族学色濃厚な2冊の戯曲集や佛 蘭西文学者としての著述・飜譯など読みましたが、残念ながらLZFRさんご推薦の「薔薇 の悪魔」はなかなか巡り会えず、「薔薇の天使」とともに長年の探求書です。ほかにも 賭博関連の著述(確かポーカーの必勝法のようなもの)もあるとか。こちらも探してい ます。
また、唐十郎主宰の状況劇場の記録を見ていると、竹内健氏は状況劇場に役者として も登場しているようで、時代の熱気が偲ばれます。
それにしても竹内健氏は今はどんなお仕事をされているんでしょうか?
96.10.06 貝塚 英樹 MGG01033@niftyserve.or.jp kaizuka@gemini.bekkoame.or.jp
新HPになってからも書き込む人が限定されていますが、それにしても、色々な人の 出入りがあって、話題になることも様々であると、つくづく思われます。愛書家といっ ても、書物は森羅万象あらゆることを対象としていますので、分野が違えばなかなか話 が合わないためか、アクティブに書き込む人がなかなか増えませんが、「集める」とい う共通点を拠りどころに、様々な書き込みお願いします。
ところで、貝塚さんは、OBPの古書市にも行かれた模様で、大阪圏にお住まいのよ うですが、どのあたりの古書店に出没されているのでしょうか……。梅田や難波もイマ イチだし、どこか良い所がないかと思う今日この頃です。 散人
写真ですが、実は私は余りメイプルソープは好きではないのです。私の趣味は、20世紀初 め位までの、絵画主義的な写真に偏っているので、現代の写真家は今一つ趣味が合い ません。この前買った写真集もメンプルメープのためというよりリサ・ライオンの美しい肉体のた めといった方が良いかもしれません。だから、私の好きな写真家と言うと、ロベール・ド マシーとかO.J.レイランダー等昔の人になってしまいます。それ以降でも、サラ・ムーンのような幻 想的な写真に眼が向いてしまいます。ところで、貝塚さんはどのように新しい写真集 や写真家の情報を収集しているのでしょうか?「アサヒ・カメラ」などの日本の写真雑誌には、 海外の作家の紹介がほとんど無いので、最近の写真家の発見は私の場合、店頭でたま たま見つけて気に入れば買う、という極めて効率の悪い方法に頼らざるを得ないので す。この前池袋のリブロで光琳社刊の堤あおいの「PLEIADES」という写真集を買いまし た。昔の写真の色褪せや傷などをまねた作品などあって、耽美的で私好みでした。
私は、写真は旅行に行ったり、空が綺麗な時などにポケットカメラで、スナップを 撮る程度です。そのうち、ちゃんとしたカメラを買って、まともな写真を撮りたいと は思っているのですが。夢は、ダゲレオタイプで銀版写真を取ったり、カロタイプで 紙焼きネガをつくることです(^_^;
206 [96/10/09 00:25] VEB02220 新書館フォア・レディース LZFR
「薔薇の悪魔」は、私が良く行く古本屋に、たまたま置いてあったものです。そこも
、BOOK OFFのような感じの店で、文学書や学術書はほとんど置いていない店です。店も
あまり広くないので私は行くと、だいたい全ての棚を見て回るのですが、数年前にほと
んどない文学書の棚にあったのをたまたま見つけました。竹内健氏のことは全然知らな
かったのですが宇野亜喜良の挿絵と幻想的な雰囲気を気に入り数百円で購入しました。
貝塚さんは、「薔薇の悪魔」と「薔薇の天使」を探究との事ですが、それでは「薔薇 の半神」と「薔薇の埋葬」は持っているのでしょうか?私は、「薔薇の悪魔」しか持っ ていないので、他の怪奇幻想シリーズも探しているのですが。巻末に載っている他の新 書館フォア・レディース・シリーズも欲しいのですが、寺山修司の詩集を3冊手に入れ たのみです。栗田勇のロマネスク・シリーズや立原えりかの「恋する魔女」なども探し ているのですが、文学系統は幻想文学も含めて疎いのでどこの書店を探してよいか分か らず、いかに探そうかと思案しています。ところで、このシリーズというのは、やはり プレミアが付いているのでしょうか?私が買ったのは、プレミアとは無縁の古本屋だっ たのできちんとした相場が分からないのです。
207 [96/10/10 14:02] KHB11772 昨日の収穫+マシンのこと 散人
今日は体育の日。関西ではとても気持ちの良い秋晴れの朝を迎えました。体育とは無
縁の私は、遅めの朝食をとってから、古書を眺めつつ、パソコンに向かっております。
昨日は、パソコン周辺機器の市場調査をかねて、近鉄日本橋〜電気街〜難波古書街な どを散策し、電気街スタンバイでは上九一色村のフォトCDを971円で購入しました。一太 郎DASHは2900円ほど売られ、PDドライブも値崩れしたようで、39000円ほどで沢山出てお り、嬉しいような悲しいような……。(PDは35000円で購入。一太郎は考慮中)
日本橋ブックセンターでは収穫がなかったものの、難波古書街では小物を色々購入し ました。まずはイトウ書店の百円均一で、『東南亜細亜快楽旅行記 裸の亜細亜』デー タハウス1995など4冊。この本は確かクレームがついて絶版になり、記述を穏当にして再 版されたと聞きますが、こちらが原本なのか再版された本なのかは不明です。関西ブッ クセンターでは200〜300円の岩波文庫・中公新書などを4冊購入しました。
主には梅田界隈が中心で、大半の日曜日は紀伊國屋書店を経てかっぱ横町の古書店を 徘徊、特に加藤京文堂には長居し、最後にロフトの書籍売り場を覗くというのがここ数 年の習慣になっています。まあ気が向いたら、阪急ファイブ横の梅田古書倶楽部に出向 いたり、阪急東通の古書ゆうぶんに向かったり、中津の梁山泊本店に赴いたりもします が、それはそれ、あくまで気が向いたらに過ぎません。
なんば古書街には年に数回訪れるぐらいで、その場合は心斎橋パルコ4Fのロゴス、 アセンス、そしてなんば古書街というコースを取ります。なんば古書街ではあまり大き な買い物をした記憶はないのですが、ただ、以前に「手塚治虫全集」が揃いで破格値で 出ていたのを数日検討の上買い求めに出向いたところ既になくひどく落ち込んだことが あります。日本橋にはここ数年ご無沙汰しているんですが、日本橋ブックセンターって どこにあるんですか。
写真についての僕の知識は非常に偏っていまして、伊藤俊治氏らの著作が主な情報源 です。ですから、所謂写真史的な知識は恥ずかしながらまったくありません。
新書館フォア・レディースはあまり古書店で見かけたことがないのですが、残念なが らそんなに高い値段は付いていなかったように思います。でもほんと何故かほとんど見 かけないんですよね。
ところで、LZFRさんは中井英夫氏の短篇はいかがですか?東京創元社から文庫サイズ で出ている「中井英夫全集」で既刊の「とらんぷ譚」はお勧めですよ。また、赤江曝氏 もお好みではないでしょうか?こちらは角川ホラー文庫で自選作品集が出ています。
96.10.10 貝塚 英樹 MGG01033@niftyserve.or.jp kaizuka@gemini.bekkoame.or.jp
◯古本万華鏡 山下武 実業の日本社 限定15冊のうち1冊 ◯古書街を歩く 紀田順一郎 新潮社 ◯カノン 篠田節子 文芸春秋 ◯殿様と鼠小僧 氏家幹人 中公新書 ◯ボランティアもう一つの世界 金子郁容 岩波新書いずれも、初版署名入りで小生あてです。文筆をなりわいとする熟年二人、山口氏は 筆に墨で黒々と、紀田氏は青インクの万年筆で、それぞれ書いてくださいましたし、 気鋭のミステリー作家、篠田さんは、銀色の油性ペンでミステリアスに、そして 40代の学者二人、氏家氏はサラサラと、金子氏は書くのがもどかしいという 感じで、それぞれ万年筆で書いて下さったのでした。 時々、手に取って見ています。(^_^)
伊藤俊治氏は、ちくま文庫の「裸体の森へ」と氏の責任編集の朝日出版社「nude.」 程度しか知りません。写真評論家としては、飯田耕太郎氏と並んで良く耳にする名前で すが。そういえば、「裸体の森」には貝塚さんのお好きなダイアン・アーバスのフリー クス写真について言及がありましたね。私はそういった高尚なものより「ベルベッド・ エデン」のようないかがわしいものの方が好みなのですが。
竹内健氏には、怪奇幻想シリーズとして「薔薇の悪魔」、「薔薇の天使」の他に、
「世界でいちばん奇妙な話 薔薇の半神」 白昼都会の遊園地で起こった奇妙な事件。少年は、永久にマジックミラー に閉じられる・・・あなたを誘う不思議なめまい! 「世界でいちばん孤独な話 薔薇の埋葬」 父も母も、全ての蝉や蝶と共に深く湖に埋葬した少年が夜明けに見たものは? 血みどろな少年の孤独のコレクション!という広告が「薔薇の悪魔」の巻末に載っています。うう、面白そう。
中井英夫は、先日購入した「薔薇幻視」を読んだこともあって、他の著作も読みたい と図書館に行ったのですが、残念ながら随筆程度しか有りませんでした。今度、書店で 探して読みたいと思います。私は恥ずかしながら、未だ「虚無への供物」さへ読んでい ないのですが。赤江曝氏は名前しか知らないのですが、今度探してみたいと思います。