Last updated Sep.04,2003
PROLOGUE 5

AM 11:55 旅館師崎

開け放った窓からの潮風が心地いい。客室の縁側は海に面して太平洋が 一望できた。
ソファにゆったりと腰をかけた武井は煙草に火をつけ、

「ほうっ」

と煙の輪を作った。すぐさま潮風が煙の輪を消していく。
武井が海岸線手前に目をやると、男が一人旅館の方に歩いて来る…

「あれは…中本か…あんなところまで散歩に行ったのか…」

誰に言うでもなく呟き、しばらく中本と外海の濃いブルーのコントラストを 楽しんでいた。そして、旅館の影に中本が消えた時、

「ふあぁ〜っ」

障子越しの声に、

「起きたか…」

と、こちらも呟き、鋳造鉄製の大きな灰皿に煙草を押しつけた。
障子を開けると、

「あれっ、みんなは?」

村西は目を擦りながら武井に聞いた。

「竹田は風呂、中本は散歩。」

と窓を指さした。

知多半島最南端の師崎に彼らは来ていた。いつも週末は半田市に ある武井の家に集まるのだが、半年に一回程度、一泊旅行を企画 し、この日は都合のついた4人で遊びに来たのである。

目的はもちろん、麻雀である。

明け方まで続けたゲームは中本の一人勝ちだった。その後朝食を 食べ、各自自由な時間を過ごした。もちろん、客室も昼過ぎまで キープしてあった。

「みんな元気だねぇ。」

そういいながら、村西は煙草に火を付け、インテリジェントコマン ダーのTVスイッチをオンした。

「ふ〜、いい湯だった。」

浴衣姿の竹田と中本が戻ってきた。

「おかえり、ところで昼飯どーする?」

起きたばかりの村西は三人の顔を順に目で追いながら聞いた。 一瞬、苦笑いを浮かべ、武井は、

「近くにうまい割烹料亭があるらしい、そこにいってみようぜ。」

「お〜、それいいね。」

と村西はいった。中本と竹田も賛同した。
丁度、その時、少し型の古いプラズマディスプレイに

「MirokuSystemTCG公式大会開催決定、場所は…」

とスーパーが流れた。それに気が付いた中本は、

「おい、あれ!」

とTVを指さした。4人の目が字幕を追う。
そしてその目が輝きを増し、のんびりしていた雰囲気は、4人から 発せられる気により、ピリピリとしたモノに変わった。

MirokuSystemTCG 中部地区において最近、存在が大きくなってきた彼ら…『半田組』。 その四天王が彼ら 玄武(武井)、白虎(村西)、青龍(竹田)、朱雀(中本) である。


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