Last updated Sep.04,2003
PROLOGUE 3

AM11:55 下鴨本通北山交差点

北山通りの信号が青に変わる…。横断歩道脇に歩行者保護シールド が張り巡らされるのとどちらが早かったかはわからないが、住野は自 慢のマグネシウム製ペダルを踏み抜いていた。ハートマークにリボン のヘッドマークをつけた復刻版 DE ROSA は一気にスピードを上げた。

某有名女子大の並木を右手に見ながら疾走する住野…、彼の大学はそ の先にあった。
折角の休日なのに、週末教授から修正指示を受けていたレポートの入っ たメモリカードを研究室まで届けなければならなかった。 ネットワーク経由提出が当たり前の時代に、「拘り」の教授である。

昨夜、レポートを仕上げた彼はいつものように、日課となっている インフォピアでの友人との会話を楽しんだ。
東の空がドジャースブルーへ染まる頃まで。
そのおかげで、午前中にあった用件の待ち合わせ時間に遅れることに なった。その上意外と長引き、11時にはレポート提出を済ませる計 画は脆くも崩れ、こんな時間になってしまったのである。

お昼も間近、女子大の学生達も外でお昼を取るためか、数人ずつの グループがあちらこちらに見える。一人は『清楚』、もう一人は 『小悪魔』をそのまま投射したような二人連れの横を通りすぎよう とした。「小悪魔」な彼女は携帯電話状のPIMを操作していた。 その様子もさながら、なぜか彼女が気になっていた。

「ねぇ、MirokuSystemTCG 公式大会が決まったみたい…」

「あら、そう…拝見しにまいりましょうか…」

と、二人の会話が住野の耳に飛び込んできたのである。思わず、

「うおっ!」

と叫んでしまった彼を二人は怪訝そうな顔で見送った。 照れくささと、早く情報を得たいため、自然とペダルをこぐ 足に力が入る。ヘッドセットは背中の黒い gregory にいれた ままであった。


|→Continue|
| B A C K | ETERNAL VOICE |