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AM11:50 西新宿アイランド1F
「そろそろ会議の時間じゃない?」
デスクのハイパーコム・ヘッドセットを装着しながら、ライザは佐々林に言った。
「ああ、わかってるさ。」
そう言いながら、佐々林は冷めてしまったコーヒーを飲み干した。
西暦2052年、約50年前、ここ日本ではIT(Internet Technology)推進政策
が打ち建てられ、計画を上回る成果をあげた。ほぼ10年ほどの間にテラビット
クラスのネットワークを構築することに成功したのである。また管理形態も大幅
に進歩し、その昔WANと呼ばれた広域ネットワークはLANへデノミネーションされ、
地球規模でのLAN構成を構築するに至った。
そして、それと同じくして仮想現実技術がブレイクスルーし、実社会とまった
く同じといっていいパラレル世界「インフォピア」を築きあげていた。
「今日、ナゴヤで公式大会を行うことに決まりました。」
佐々林とライザはとなりのデスクでプロモーションカードを整理していた望月に
報告した。
「何時からだね?」
「はい、13:00試合開始です。」
佐々林は答えた。目の前のフォログラムディスプレイに浮きあがった文字は
AM11:55である。SWWブラウザには、既に大会告知も表示されている。
かつてWWWと呼ばれた概念は宇宙規模に進歩し、Space Wide Web と呼ばれた。
「では二人で行って来てくれたまえ。」
「わかりました。」
佐々林とライザは特に困った様子もなく、頷いた…
ここは新宿である。いくら超高速新幹線「はやて」が東京―名古屋間を30分で
駈け抜けるとしても、大会告知から開催まで1時間は無理があると思うのだが…。
そう、名古屋はリアルワールド、ナゴヤはインフォピアでの地名を指すので
ある。地名表現を区別するため、インフォピア上の地名をカタカナにすること
で統一された。世界規模でである。
インフォピアの出現により、人の物理的な移動を行なうことは少なくなった
のである。ほとんどはインフォピアで実現でき、さらにリアルワールドで
できなかったことまで可能にしてしまったのである。
「お昼食べてからでも間に合うわね?」
「ああ。」
「センチュリーハイアットに新しいお店がオープンしたの、いってみない?」
「オーケー。」
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