** 直接には云えないボクだけれど
* **
11月28日。秋の空は変わり易いと言うけれど、エージの誕生日に晴れなかった日は無いんじゃあないかな。今年もいい天気。
「おめでとう、エージ」
「ありがと〜」
にこって笑っていうと、にしし、と聴こえてきそうな笑い方をした。人をくったような笑いだけど、ボク知ってるんだ。あの笑い方をする時は大抵が照れ笑いなんだよ。エージの癖のひとつ。
「ね、プレゼントさ、何がいい?」
「なんでもいい?」
「ボクの許容範囲なら何でもいいよ」
「ホント?」
「ホント」
ボクがうん、と頷くとエージは地べたに座り込んで考え始めた。頭の上には真っ青な空。朝方はやっぱりちょっと肌寒いね。
フェンスに身体を預けて、聴こえてくるチャイムを聞いた。
* * *
考える振りしてるけど、実はもう決まってるんだ。ずーっと欲しかったもの。
言っちゃっていいかなぁ・・・・・。
いいよね?
バンっと勢いよく立ち上がって、不二の方を見た。大きく息を吸って。
「俺、何にも要らないからさ、一回だけ、いっかいだけでいいから、すきってゆって?」
「え・・・・・・・」
真っ直ぐ見て言うと、不二は一瞬大きく目を開いた。ビックリした時・予想以外のことが起きた時する不二の癖。開かれた目を見て思う。ほんとに色素がうすいのな。
「・・・・・・・・・・」
あ、困ってる。
不二は。
俺みたいに、すきーーってゆったりしない。苦手なんだって。だから一回も聞いたことが無い。俺のことをどう思ってるのか。もしかしたら好きなんかじゃあないのかも知れない。だからこそ聞いてみたいんだ。
でも嘘は要らない。
でも・・・・嘘でも言いから聞きたいってのが本音。
真面目な顔で不二を見詰めると、不二は決心したようにキッと俺を睨んだ。
「一回しか言わないからね、よォくきいててよ?」
「うん」
ほっぺた真っ赤にして、大きく深呼吸。
「・・・・・・・・・・・・・・すき」
「誰の事を?」
わざわざ聞き返す俺って意地悪かな?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エージ」
「それ、ほんと?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん」
顔中真っ赤に染めて、最後には俯いた不二。うん、すき。
「へへ〜、俺、やっぱ不二の事だいすき〜再確認しちゃった」
「うん」
「でさ、絶対俺のが愛しちゃってるよね」
「そう?」
「うん、不二ってけっこう淡白っ!」
「そぉ?」
「愛されてないんじゃないかって、しょっちゅう思うよ」
実際しょっちゅうというより、いつも思ってる。自分の愛が大きすぎて大きすぎて。
不二の冷たすぎる手をぎゅっと握ってみた。
* * *
エージってば、いつもそんなこと思ってたんだ。見えないものは信じないエージ。聴こえない物も一緒なんだね。ごめんね、不安にさせてたんなら。エージならいわなくっても解ってくれるって、甘えてた。
「あのねエージ、知ってる?『あしねはふうきは上こそつれなけれ下はえならず思ふ心を』って和歌」
「は?」
「ふふ。まぁ、そういうこと」
「え?」
「訳は自分でしてね」
頭の上にハテナマークが飛び交ってるエージはほっといて、今日まだ一度も言ってないお決まりの言葉を言おうね。
「happy happy birthday eiji」
今日君が生まれたことがボクにとって何を意味するか考えたことある?
それはね・・・・・
* * *
終わっていいですか・・・・。(また途中半端な)
→えー、ありがたくも何とも無い解説っ!(ってゆうか後書きです。和歌の意味も此方)
→戻らせていただくわ。
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