初めて煙草を吸ったのは16の夏。公園で男女数人で飲んだとき、軽い気持ちで友人に「一口吸わせて」と言って吸わせてもらったのが初めてだったのだが、、味も何もよくわからなくて、ふーんと思っただけだった。その頃は、まぁこれきりだろうと思っていたけど、とうとうある日自分で煙草を買いに行ってしまった。コンビニで、慣れてる振りをして「アルファベットCください」と言ったとき、あぁついにとなぜだか軽く後悔して、未成年と見抜かれて身分証明を求められることを少し期待した。けど、もう遅かった。「溺れてしまう前にやめよう。あるいは、溺れない程度に軽い付き合いをしていこう」と思った。それはきっとすべてに言えることだった。特にわたしのように依存心の強い人間にとっては。
ピアスの穴を開けたら店でピアスを選ぶ楽しみが増えるように、一度喫煙してしまうと煙草のカタログのようなものを見て楽しめるようになった。お洒落な灰皿をコレクションするのも悪くないと思う。
煙草を始めようと思ったきっかけはよくわからないけど、ただ単にかっこつけたかっただけだったのだと思う。でも始めた当時はいろいろあってむしゃくしゃしていたからそれを理由だと思っていた。簡単に言えば人のせいにしていた。
わたしはもう、人には依存しない。煙草の煙を吐きながら、そう誓った。人に依存しない代わりに煙草に依存しようというわけでもない。むしろ、煙草を吸っていることにまだ罪悪感があって、吸うペースはものすごくロウペース。それが自分にとって一番いい。何事にもそうであればいいのに、と思った。普段は忘れていて、たまに思い出す程度だとか。そうだったらどんなに楽だろうかと思う。