のどがからからにかわく。水を飲んでも飲んでも次から次へと水が欲しくなる。水を飲みながら、まっすぐ前を向きながらぼんやり考えたこと。人間って生まれたての頃は透明の水みたいに純粋だったのにな。生きていくうちにいろんな色がどんどん混ざってきて、今こんなに濁ってきている。絵の具を使ってるときに使う筆洗い用のバケツの中の水を見ていると、最初は赤、赤に白が混じってピンク、少し青が混ざって薄紫、と色の変化がきれいなのに、いろいろ混ぜていくにつれて、最終的にはバケツの底が見えなくなるほどに濁ってしまう。バケツの中の水は入れ替えればまた透明な水になるけど、人間はリセットできないからね。濁っていって濁っていって、黒くなってしまって、これ以上濁れなくなったらもう終わりなのだろうか。そんな人、滅多にいないだろうけど。私は今、透明と黒のどっちに近い色をしている?