空を見たことのない魚 ある日空というものを無性に見たくなって 陸にあがる 青く青く澄みきって広がる大空 白くさんさんと輝く太陽 見とれているうちに 空はどんどんピンク色になり 赤と青のグラデーションをつくり 太陽はオレンジ色になって沈んでいった その魚はしんだ 空の恐ろしいほどの雄大さにすべてをうばわれ 呼吸をするのをわすれていたし 自分がしんだことにも気付かなかった 空を見上げた形でしんでいる魚 わたしもどうせなら空を見上げた姿でしにたい 足元を見てしにたくはない もっと希望というものを持って生きていけたらいいのに